(政治)

1) バチェレットのテレビ演説
火曜日に全テレビ局を通じての政見放送がありました。汚職問題解決のための方針演説です。もちろん新味のあるものではなく今までの内容を繰り返していました。権力を利用した金儲けは許さない、怪しい選挙資金のやり取りは認められないとか。自分の息子夫婦が刑務所に入ることになれば、市民はバチェレットは約束を守ったと思うのでしょうか。 
意外だったのはこの9月から現行憲法の改革についての準備に入るとしたことでした。経営者側は税制改正、労働法の改変に続き憲法改正では、この先の見通しがあやふやになり投資意欲が鈍るだろうと疑問視しています。
教員組合と病院関係者が今月ストに入ると宣言しています。うまく処理しないと学生もそれに加わり、第1次バチェレット政権の時に大問題になった街頭デモが再発しそうです。

2) ソキミチ鉱山問題
破産寸前だった鉱山会社が世界のリーダーになってきましたが、彼らはリチウムを持っています。ボリビアにもリチウムは大量にありますが、そこは政府の方針で外国資本が自由に採掘できないので、ソキミチ社は有利な立場になります。需要が増えれば売り上げ・利益は倍々ゲームですね。このため外国資本も同社に投資をしています。
同社の幹部が、私たちは政治資金の援助をすることは考えたが、それは税金を支払わないためではないとコメント。同じことでしょうね。政界に影響力を強めるため寄金をし、それをコストに加算して税金を払わないなら、彼らに損はないですから。
先日その社長を辞めたポンセは軍事政権が終了後、自分たちの立場を確固たるものにすべく、新政権に取り入り、政府の中で一番、右翼に近いキリスト教民主党DCと接近したもの。 新社長の給料はポンセのとっていた年収の3分の1になるらしい。それでも億円の単位ですよ。
ペンタ銀行に続いてソキミチ社の幹部が自宅留置の処分を受けました。裁判はどうなるかな?
同社から出た金が、選挙資金になったわけですが、怪しい動きをしたとみられる政治家の中に現在の内務大臣・大蔵大臣も入り、ピニェラ前大統領も怪しいし、2009年にそのピニェラと争ったDCのフレイ候補も怪しいとみられています。バチェレットの選挙に関連した男も怪しいし、そいつと現在の国税局のトップが絡んでいたとされ、国税局が政治家を訴えるのは困難な状況とか。もう大げさに言えば、チリのすべての政治家・関係者が怪しいわけですね。贈与側ばかりでなく受け取った方の議員関係も留置処分が必要なのではないでしょうか?
私の記憶力が悪いだけでなくマスコミに今まで流れませんでしたが、今週の政治番組で似たような事件が2006年バチェレットの第1政権に起こっていたことが報道されました。その時バチェレットは今週発言したことと同じことをコメントしています。DC党の党首は問題議員は辞任すべきと明言しています。9年前にそこまで行ったのにその後の9年間、辞任した議員は一人もいません。つまり彼らに私たち市民がだまされたわけですね。同じことを今回もう一度繰り返すバチェレットを国民は許すのかな?
先週、政府に汚職関係報告書を提出した専門家グループのリーダのエンヘルは「チリは汚職蔓延国ではない。とはいえ、政財界の汚職、地位を悪用した商売などが実存するわけで それをどう削減していくかを考え、実行しないといけない」 バチェレットがんばれ。彼女が不正是正の自分の言葉を追い続けてほしい。先ず息子夫婦問題を片づけ、そして自分のところにそれが来れば・・・あっさり辞任しなさいね。
3) 選挙制度
従来の怪しい選挙制度が通常の制度に変更されますが、同時に現行の上下院議員を保護するように議員数を増やすことになり、その議員増に関する費用の拡大について3年以内に決定することになりました。議員のことを議員が決定するのはどうにも不可解ですが。彼らにとって悪いようにはしないでしょうね。ホンマ不愉快やな。
4) ボリビア問題
いよいよ来週からオランダのハーグ国際法廷でボリビアの海問題が討議されます。チリとしては法廷がその要求には根拠がないとして拒否し、裁判に入らないことが理想です。どうなるかな? 
この週末、ラ・パスの大統領府の前でチリ人報道陣がモラレス大統領にインタビューしようとしたところ、彼から「チリ人記者はチリ政府の秘密警察だ」とし断られました。報道の自由はないわけですね。