(政治)

1) 大統領の行動
先週に報告した通り、バチェレットは11月4日はプエルト・バラスで住宅の完成式, 6日はタルカで病院訪問といつもの通り。その後ベトナムに飛びAPECの総会に参加。しかしその会議で彼女がどんな活躍ぶりを示しているのかあまり報道されません。ただ彼女は習近平中国首相と並んで写真を撮りましたが、それはチリ・中国の自由貿易協定を深化させたからです。中国はチリにとって重要貿易相手国ですからね。
日曜日に帰国して、明日の月曜日は近郊の病院の開所式に参加とか。不思議なことに国の内政・外交の大統領らしい仕事はあまりないですね。
2) 大統領選挙
今週、8名の候補者の最後のテレビ討論会が実施されました。
ピニェラは表面は公共事業で働いていることになっているが、実は与党関係者の幽霊・不要社員を解雇したいと発表。与党側のギジェルはピニェラが勝てば恐怖政治が始まる、これに今から対処しなければならないと大声を出しました。 
普通の職人を解雇するのではなく、幽霊職員をあぶりだすと言うのですが、両方とも本気でけんかしています。
例えば県庁ですがアリカの場合、48%の職員が与党の党関係者(例えば社会党員)、7州のマウレはもっとひどく57%。各種の機関*例えば幼稚園関連組織INJUVは87%がそうした人間とか。ピニェラが勝てば、それらの人は大変ですね。 それと選挙の宣伝が与党側と野党側が入れ替わっているような気がします。与党側が教育の無償化、病院の拡充、市民の安全確保を図りますと言いますが、それならこの4年間、何をしてきたの?と言われそう。
ピニェラはバチェレット第1次政権の時高かった犯罪指数が自分の政権時は下がったが、この2次バチェレット政権で再度高くなったと攻撃しています。
JPモルガンの発表では来週の選挙でピニェラが過半数を占め、決選投票はないかもしれないとなっています。
私は情勢を面白くするためピニェラ以外に投票する気でしたが、外から見ても彼が勝つだろうとするなら、最初から彼に投票して一気に決めてしまおうかと考え直しています。
昔から左翼だった私がピニェラに入れるのですからね、チリの左翼のレベルが低いのは明白です。
来年度の公務員の昇給に関し、政府は1.9%を提示、組合要求の6%とは大きな差がある為、これから揉めるでしょう。
物価上昇率を考えると実質の昇給はほぼゼロですね。
3) 軍隊関連の刑務所
軍事政権時に左翼系の人間を拷問・死亡させた軍人が入っている刑務所を廃止し、彼らを一般の刑務所に移すとバチェレットは公約しましたが、それはまだ実施されていません。 それどころか、今週、法務大臣が「私はバチェレットがそれを言ったのを聞いたことが無い、どこかの女性がコメントしたのは知っているが」と発言し大騒ぎになりました。
どこかの女性とは軍隊に火をつけられ焼死しそうになった女性で、顔は大きく焼けただれています、彼女が2015年にバチェレットに面接した時、軍人だけを優遇するような刑務所は廃止すると決定したようです。与党内からも法務大臣の辞任を要求する声が大きくなり、彼は最終決断はバチェレットですと逃げました。
4) 入国禁止
今年になってイミグレで入国を拒否された訪問者が8千人を超えています。今週、元ボクシングの世界チャンピオンだったマイケル・タイソンがサンティアゴの空港で入国を拒否されました。既に逮捕歴のある人間や指名手配中はもちろん、観光客と思われない人も入国拒否になる可能性があるとか。
それからこの4年間で私服警官は飛行場で3千人を逮捕しましたが、それには指名手配になっていた人間とひったくりなどの現行犯が含まれます。飛行場は安全そうですが、そうでもないわけですね。
5) 妊娠中絶法案
先日、これが成立しましたが、今週、南部のチロエ島で問題が発生。その地区の14歳の少女が暴行され妊娠、この法案で中絶しようとしましたが、地区の医師がそれを拒否。厚生省は仕方なく彼女をサンティアゴに移し手術を実施しました。中絶反対の医師の信念も分かるが、その少女の人生を考えられないのは悲しい。