(政治)

1) 大統領選挙の予備選挙
予備選挙が今月末にあります。これで左右ともに一人の候補者に絞るわけですね。そのためのTV討論会が実施されました。最初は野党側で、バチェレット以下4名の参加。2時間ほどの番組でしたが、バチェレット関連で目に付いたのは

(1)27F: 地震のあとのツナミで多数の死傷者がでているが、的確な避難指示を出さなかった大統領に責任はないのかとの質問に、彼女は海軍のショアがツナミはないと連絡したのを受けたからで、海軍のツナミ関連機関はまだレベルが低かったと自己の責任を認めず。

(2)環境汚染: 一番多数の火力発電所が建設されたのはバチェレット政権の時代だが、環境汚染問題に関心がなかったのかと質問されると、彼女は他の選択肢がなかったと軽く回答。

(3)弱者救済: 中高年層への救済方法として、年金から自動的に徴収している健康保険の額を軽減させることを何故しなかったと聞かれた候補者の一人、元大蔵大臣のべラスコは、自分はそうしたかったが、上司のバチェレットが許可せずと発言。彼女は平気な顔で、いろんなこととバランスを取る必要があったからと動ぜず。まだまだあるでしょうね、彼女の失政は。これからドンドン出てきますよ。
次に与党側の代表候補2名が対面。アラマンとロンゲイラですが、盛り上がりはなく、視聴率も野党側の時の半分くらいの低調。お互いの攻撃はなく、どっちが勝っても本選のときはもう一人を応援するというのが基調で仲良し子供会の雰囲気。
与野党の候補者の論議の中に年金問題がありました。良く出るコメントですが、50万ペソの給料をもらっていた人間が年金生活になると15万ペソしかもらえないというものです。
候補者の中で一番過激なのは現行の制度を壊して政府の管轄下におさめるというものでした。
私の考えでは、解決案は二つあります。一つはもし国民が責任を政府に持たせたいなら、次の選挙で共産党に投票する。もう一つはチリの制度は各自の出した基金を運用しているのだから、年金額を高くするには現在より多く納めるだけ。つまり給料の10%を徴収している現行システムを12か13%に上げれば、年金額がはるかに多くなる。先の例で15万ペソもらっていた人は25万ペソほどになる見込み。どうでしょうか?


2) 軍事政権下の被災者援助の認定裁判
とうとう裁判所に下駄が預けられました。先ずはPDI(私服警察)を使って2000件ほどの受給者を調べるらしい。調査するのは本人が生存しているのか死亡しているのか、さらに政府援助申請に正当性があるかどうかなど。それによって裁判所への出頭が要求されるのでしょうね。どうなるかな?
大半が不正だったということになれば左翼陣営には大きな痛手になりますから、選挙の前に右翼が反左翼のキャンペ−ンを張っているのだと切り替えしています。

3) マニャリッチ厚生大臣
彼は少し前に、煙草関連事項で新聞社と衝突しましたが、今週、薬品関係で同じような問題を起こしました。現在、チリでは薬局以外では薬品の販売は行なえませんが、これをスーパーマーケットなどに拡大すれば値段は明らかに下がると思われます。医者の処方箋が必要な薬剤以外はどこで売っても同じはずですね。これを審議する国会で、主に野党側が反対に立ち、案は棄却されました。
この時、同大臣は野党の(社会党)議員などが薬品メーカーのロビーとして働き、この法案を潰したと議員を名指しで批判。言われた方はどんな根拠で言っているのかと、名誉毀損で裁判沙汰にもするような姿勢です。
大臣は前回、「私は大きな傘の下にいる」と彼を保護する勢力の存在を公言していますが、どうなるかな。

4) ボリビア・ペルーとの国際紛争
ペルーの領海問題は近々結審されそうですが、もう一方のボリビアの件は正式な審議が始る前からボリビア側の一方的な攻撃が続き、うんざりです。何時までモラレス政権が続くか分かりませんが、彼がいる限り明るい見込みはありません。しかし反アメリカで結集するべネスエラ・エクアドルボリビア・アルゼンチン・・・は政治だけでなく経済的にも苦しい状況ですね。もちろんそれは反アメリカ政策が悪いと言うわけではありませんが。アルゼンチンが近々もう一度デフォルトすると言うニュースもありますね。
アメリカの国家安全保障局の盗聴問題は欧州でも大きな話題になっています。個人が行なえば犯罪になることを国家がやれば正当化されるという論理は理解できませんが、ブッシュもオバマもやることは同じですね。私が何度も繰り返しているように政治家は右も左も同じですよ。