(政治)

1) 年金問題
年金だけで生活出来ないとチリの多くの中高年が毎日、切実な問題に対面しているわけですが、「厚生年金を潰そう」運動がデモを繰り返し、大蔵大臣が街で食事もできないようになっています。(先日の抗議活動)
バチェレットは水曜日の夜、全テレビ・ラヂオ局を通じ新法案を説明しました。ニコニコ笑いながら年金を20%上げて皆さんが楽しい老後を送れるようにしますと言うわけです。
その放送の後に、テレビ局とコンタクトした大蔵大臣は厳しく突っ込まれるとしどろもどろに回答。用意が足りないようですね。この先3か月の間に、政府法案を用意し、それを国会審議にかけます。それが通るとこの先5年をかけて、現行の給料の10%を年金の基礎にしているのを15%に上げるとか。
そしてその5%を分離し3%は個人年金、2%は共通年金の基礎にするらしい。ほとんど年金の積み立てをしていない(いなかった)人にも10万ペソより少し上の額が支給され、受取額が少ない人は20%のアップになるとか。バチェレットの公約ですね。
つまり2%は税金のようなもので、貧しい人の懐に回されるのでしょう。
その追加5%の運営は公営の新組織が行い現在の民間年金会社AFPにはタッチさせません。
そのAFPは私たちにやらせてもらえば、その追加5%の運営には一切コミッションは取りませんと言っているのですが。 中堅クラスの労働者の懐からお金を引き出して、それを貧しい人の年金に充てると言う社会主義的方法は憲法違反ではないかと言うコメントも出ています。
数字の上から言うと、この法案が通過して給料の10%から15%を積み立てるのなら、今の若い人が定年退職した時貰う年金は確かに50%アップになりますね。
2) 教育法
何と政府案が国会の教育委員会で否決されました。数年前、ペンギン運動と呼ばれた学生運動のリーダーは数名、国会議員になっていますが、それらの元学生運動家が政府案を否決しました。これでは不十分と言うわけです。今よりましなのかも分かりませんが、新法案では前進しないとしました。
しかし教育省もメンツがありません。問題点として大学認可システム、大学教育の無料化、国立大学連携、私立大学の利益問題などが上がっています。来週本会議で採決されますが、その前に政府案は改善されるかな?
3) 人権問題
何とサンティアゴのプロビデンシア区の元区長ラべが逮捕されました。彼は延々と区長を続けたので、死ぬまで区長かと思わせるほどでした。彼はピノチェットの側近だったと言われますが、今回の逮捕の理由は、軍事革命が起こった1973年の10,11月に左翼グループに加えた人権問題とか。暴行か殺人かなどは明らかになっていません。もう40年以上も前のことですが、まだ逮捕の理由になるのですね。
4) 警察不祥事
警察軍の長官ビジャロボスがモネダ宮殿を訪ね内務大臣と面談。そして共同記者会見を行いました。先ず、内務大臣は警察軍の組織改革を4月28日に実施すると発表しました。
記者の質問に答えていた長官は、「問題が明らかになった時点から私は皆さんの前に顔を出し状況を説明しているではないですか、これは組織の問題ではなく各自の問題です。現在逮捕されているのは犯罪者で、彼らと警察組織を同じにしてはしゃぐような報道は止めてもらいたい」と声を荒げました。
それから彼の住居の家屋税が払われていないと指摘されると「私の住居のある所は農地になっており、農地は家屋税が不要と言うのを皆さんは知らないのですか」と馬鹿にしました。その地区の区長は、農地に家を建てるときに工事申請許可書を届け、工事が終わった段階で終了届けを区役所に出す義務があるが、彼はそれをしていないとしました。長官自身の言葉を使えば、それは警察軍の問題ではなく長官個人が犯罪者と言うことでしょう。
長官は今週までにすでに40名の警官を懲戒免職させています。しかしほんの先月まで同僚・部下だった人間を犯罪者と呼び捨てるのですが、そんな人間を警察幹部にしていた責任は誰か取るのかな? 
現在までに明らかになった公金横領額は165億ペソです。関係者、使途不明金額は毎日のように増えています。
5) 大統領選挙
与党側の候補者ラゴスは先週、社会党が自分を推さずにギジェルを公認候補にしたので、候補者を降りました。
これで与党側候補はギジェル、野党側はピニェラに決まってきました。予備選挙が予定されていましたが、ピニェラのグループは弱小候補者と討論会をして何の値打ちがあるのかと強気の発言。
新聞の論評で、政治家として力のあるラゴスを外し、マスコミ出身で人気のあるギジェルを推すことはベネスエラやアルゼンチンのように大衆迎合主義に陥ることになるのではとありました。共産党ラゴスを嫌い、ギジェルを推します。
ところで第3候補者になってきたサンチェスのこれからの活躍が注目されています。
6) ボリビア問題
全くニュースになりませんが、逮捕されたボリビア警察・税関職員は裁判継続で拘留されたままです。