チリの風 その139 05年8月22日―28日

週末、雨になりました。中部から南部にかけて広範囲で大雨。もちろんチリの道路や河川はそんな雨に適応できるように作られていないので、洪水騒ぎ。サンティアゴは土日の二日で一年分の半分の両が降りました。
私のアパート近くの道が冠水していましたが、見ると排水溝が枝や葉で覆われていました。で、雨の中、傘を差しながら掃除を始めました。やっときれいになった頃、トラックが止まり、おいらも掃除をしようと思っていたのさと声をかけられました。
毎年同じ騒ぎが繰り返されるので,今年のように銅の価格が上昇し、政府のフトコロがあったかい今、抜本的な水害対策をしたらいいのにと思います。
さて雨の降る寒い日は,チリでは子供が母親にソパイピジャ作ってと言うところ。これは小麦粉でつくるお菓子ですが、どういうわけか雨の日に作るらしい?
私も好きですが、自分では作れません。そう言えば、チリの風読者の清冶さんが連絡してくれたパステル・デ・チョクロも好きだけど自分では作れません。情けない。まぁカスエラくらいなら出来ますが。


(政治)
1)笑ってしまった事件。現大蔵大臣が、私もいつか大統領になりたいのですがと出馬発表。ここまではまぁよくあることですが、そこで脱線。現在の候補者バチェレットをおでぶちゃんと呼んでしまった。たしかに彼女は肥満だが、新聞のトップにどうどうとおでぶちゃんと書かれれば彼女も怒るだろう。私は誰にもデブと言われる筋合いはないときっぱり。大臣はごめんなさい,単に親愛の情を表しただけと釈明。
これは彼女にとって有利な出来事なのか、不利な出来事なのか見方は分かれます。やっぱり彼女は女だからなと思われたのか、サッチャーのように男女の差別なんか感じさせない強さ,固さを示すことが出来たのだろうか。

2)大統領候補の一人で野党のピニェラが、以前チロエ島に広大な土地を購入しようとしたとき、政府がそれを監視していたということが分かりました。それが公になったのはメルクリオ新聞にそれに関する記事が出たためですが、調べていくと、それを書いた女性ジャーナリストは、ラビン候補の参謀の男と同棲しており、さらにその男は元部下だったプエルト・モンの現職警察から情報を得ていたことが分かりました。
で、面白いのは、その現職警察は即時首になりました(仕事上の秘密をもらした罪)さらに国務大臣がテレビでピニェラ氏には悪いことをしたと謝罪。これで一見落着のように見えましたが、ラゴス大統領は政府は全く謝る必要を認めないと大臣を悪者にして公然と反発。
もう一人のラビン候補は言っては悪いがレベルの低い争いで、全く意味はないと厳しい。確かに大金持ちが土地を買いに出たところで、それが違法でなければ政府が干渉する必要はないと思われる。

3)隣国ペルーは相変わらず稚拙にチリとの関係を維持しています(変な言い方ですが)。今週、同国国会で右翼グループの国会議員が首相のテーブルにチリの国旗を置き、あなたはチリのために働いているのかと詰め寄ったところ、首相の横に座っていた防衛大臣が怒って、チリの旗を床に投げ捨てています。これがチリで報道されると、ペルーのトレド大統領はラゴス・チリ大統領に電話をかけ、まぁ申し分けないことが起こってしまったが政府の本位ではないのでよろしくと謝ったらしい。こういうことが繰り返されていくうちにチリとペルーの関係が悪化していくことをもう少し真剣にペルー側も考えなければ・・・。

4)我らがピノチェットは依然として顕在です。その家族が逮捕され留置されていると前回の風に書きましたが,奥さんは既に自宅に戻り、息子も今週仮釈放が通告されました。不思議なことに保釈金が払えず留置場から出ていません??多額の金を持っている彼が何故保釈金を払わないのか理解できません。
さて外国口座の自分の金を自由に引き出せないとはいえ、何の不自由もなく生活しているのですから、ピノチェットにしてみれば、問題なんてないのと同じ。しかし老人とはいえ、まだまだ影響力があるのを感じさせる。

5)さて注目の司法界の今週の動きは・・
二つあります。一つは例のおかしなおばさん(もう60歳の半ばを過ぎているのにあちこち整形手術をして若作りしている)裁判官が辞職を出しました。あちこち古い傷を調べられるより自分から辞職しようと言うわけでしょう。なにしろ昔、裁判沙汰になって競売にかけられた豪邸を安い値段で自分のものにし、それが値段が上がり現在では購入価格の百倍で売れるとか。しかし裁判所もアホではありません。彼女の件は辞職の後も継続調査すると発表しています。(まぁ無理でしょうね)
もう一つは極左のテロリストが刑務所から月に一度、自由になれる特権を手に入れたが、帰りの時間を守らず好き放題と新聞に書かれました。
困った法務大臣は、新聞報道は間違っているとし、彼らは一日15時間刑務所から離れる権利を持っているがそれは朝からでも昼からでもよく、したがって夜になって帰ってこなくても規律違反ではないとか。ほんまかな?


(経済)
1)原油価格の高騰がチリでは社会問題化してきました。今週の始めガソリン価格があがり、1リットル1ドルをとっくに越えましたが来週さらに値上げが発表されており、このまま上がれば市民生活に大きな影響が出てきます。とにかくすべての物価に影響してきますからね。
これと対象的なのが銅の価格で今週さらに記録を伸ばし、1ポンド175セントになっています。3年前は(02年1月)70セントで始まった市場ですが、2倍を越え、その3倍(210セント)が視野に入るところまで来ています。しかしこれだけ銅価が上がるなんてやっぱり中国効果ってすごいですね。
で、それはマイン会社だけでなく国家財政に与える影響は甚大でその02年は国家収入の3%だったのが、今年は何と25%(40億ドル)までになるだろうと予想されています。ねっ、儲けが上がりすぎて隠せないっていう状態でしょ。
チリの05年の前期は6.3%の経済成長が記録され,このまま持続すれば約束された通り05年は躍進の年になりそうです。

2)さてヴァルデビアのセルロース工場が2ヶ月の閉鎖の後再開されましたが、なんと今週また罰金を払わされたと報道されました。いったいどうなっているのか,再開が間違っていたのか?
しかし自然公園に6千羽いた白鳥が百羽になったたというのは異常な事態です(もちろん5900羽全部が死んだのではなくその大半はこの地区を逃げて他の湖沼に移ったのでしょうが)
大統領が汚水はパイプラインで海まで運びそこに投棄すればよいと発言していますが、海辺の零細漁民はもちろん大反対しています
から、パイプライン建設は困難なものになるのは間違いありません


(一般)
1)大雨関連
第6州の鉄道橋が流水の圧力で曲がり線路がゆがんでしまった事故もありました。これなんか思い出しますが、インカの橋はこの種の事故を防ぐため橋の前に大きな岩を置いて橋げたを保護する仕組みを使っています。なんと数百年前に実施されたことが現在のチリより有効なんて。ごめん,嫌味を言ってしまった。

2)父親にも産児休暇
チリも進んできましたね。新しい法律で父親にも5日間の産児休暇が認められました。会社を休んで母親と赤ちゃんの傍にいなさいと言うわけです。

3)旧ナチのドイツ人グループによって作られた共同体がチリの軍事政権と結びつき犯罪を犯していたというのは既に何度も書きましたが、その共同体がとうとうチリ政府の管轄におかれることになりました。反社会性の共同体と位置付けられたわけですが、現政権も思い切ったことをやるものです。

4)薬の値段
チリの物価は近隣諸国に比べると若干高いのですが,最近話題になっている薬品の場合,アルゼンチンに比べ同じ品物が2倍どころか数倍になっていおるものもあるらしい。それが病人が毎日飲むものであれば、1か月分では非常な負担になってくるわけで、どうしてそんなに大きな差が出ているのか患者とその家族からクレームになっている。一部の家族は飛行機会社のスチュワーデスに買ってきてもらうとか、近くのメンドーサまで買いに行くとかしているらしい。薬品会社やチリの薬屋さんは黙っているが、それは高い値段で売れるのにわざわざ安くすることはないということだろう。

3)政府のおみやげ
9月18日の建国記念日と12月25日にクリスマスの前に、年金生活者や貧困家庭に政府が約5千円づつのプレゼントをすることになりました。ラゴス大統領は、そのお金は金額として小額に見えるかもしれないが、毎月2―3万円で生活している家族にとって非常に大切なお金になるだろうとコメント。そうですね。

4)パタゴニア
パタゴニアはチリとアルゼンチンの両国にまたがった広い地域を指しますが、自然が残されている貴重な地域です。チリ側で有名な観光地はトレ・デ・パイネですがその入場料を上げようとする動きが出ています。
外国人には現行20ドルから一気に50ドルにするらしい。外人は金持ちだから少々上げても影響しないとする考え方は世界中どこでもありますが、チリもその流れに乗るなんて悲しい。


(スポーツ)
1)もちろん私はチリのスポーツと言えばサッカーと考えているわけですが、それが最近は本当に今ひとつで泣けてしまう。
今週、Wカップの対ブラジル戦のメンバーが発表になったが、メキシコでがんばるナビアの名前がなかった。体調が今ひとつだからと監督のアコスタは言うが、それならサラスなんて最悪の状態なんだけど選ばれているのは何故?彼は意地を見せ28日の試合で2得点を挙げました。他にも外国リーグで活躍中の選手が何人も選出されていません。
引き分けで、ええねんけどと頼んでも、敵地でブラジルと対戦すれば軽く粉砕されるでしょうね。しかしそれを何とか・・・
さてチーム対抗の南米カップのチリでの1回戦チリ大学対カトリカ大学の第2戦は注目のサラスも90分プレーして行われ、チリ大学の勝ちで終わりましたが、合計得点でカトリカが優位になり、第2回戦に進出が決まりました。次はペルーのチームとの戦いが予定されています。 ラ・ウー期待のサラスは動きがにぶく全く良いところがなく終わっています。
ひいきのカトリカが勝ったので喜んで会社に行くと、昼食時チリ大学ファンからいい気になるなと嫌味を言われました。これが楽しいんですよね。

3)テニスは全くいいところがなく、USオープンの前哨戦ATPニューへブン大会でもチリ選手は簡単に負けてしまいました。このままじゃ今年中にゴンサレスがトップ10に入ると言う目標達成は無理かなと心配です。


以上