チリの風  その902  2020年8月24日―30日

天気予報が当たって火曜日、サンティアゴは雨になりました。16ミリの降りでした。その後、先週とは変わり、冬のどんよりした日が続いていましたが、週末は少し太陽が出ました。今週は1日だけでしたが、来週はもっと雨が降りそうとか。
さて今週ですが、もちろん、雨の日以外はマラソン練習、丘登り散歩を続けています。寒い朝、走っていると指先が冷たくなっていますが、手袋ははめていません。ゴールして家に戻り、ベランダの椅子に座ってコーヒーを飲みながら嫁さんの作ったケーキを食べる。その時、生きている幸せを感じます。
後、2日で9月ですね。9月になるとチリでは、私のような老人に「厳しい冬の季節が終わり、もう1年長生きできますね」と言います。

(政治)

1)ピニェラ動向
  先週は最南端パタゴニアに行きましたが、今週は逆に北に飛びイキケの飛行場の拡張工事を見学。タラパカ州の問題・対策を州知事などと話し合ったらしい。そしてペルーとの国境の街アリカに飛んで北から入ってくる移民問題を地方幹部と話し合いました。彼は長い飛行機の旅が好きですね。
  そして今週の最大問題、マプチェ騒動関連のトラックストについては、彼らの要求事項は政府はすべて法案として国会に提出しており、議員が早急に法案を成立させてほしいとしました。

  さて新憲法投票まで2か月になりましたが、コロナ関連で投票者に陽性反応があれば投票所に入れるのかどうかもめています。‘10月25日の投票日は日曜日ですから、普通なら外を歩けません。その日は外出許可証がなくても投票所に行けるのかな?
  投票者が集まりすぎないよう投票所の数を増やすようなので10月になれば、各自の投票場所が指示されるとか。私の投票所も変わるかもしれません。
  でもその投票の前に憲法改正賛成派と反対派の闘争がひどくなり、毎日騒動が続くとみられています。昨年末の反政府運動の再発ですね。この週末も改正派のグループがイタリア広場でデモをして警察ともめ、20数名逮捕されました。近くの商店主は半年前の恐怖がまた戻ってくるのかと震えています。
  私はそんな動きに全く参加するつもりはありませんが、1988年の軍事政権継続可否の選挙を思い出します。右翼は政権継続、左翼は拒否に投票するわけですが、私は右翼の人にも「ノーと投票してください」と頼んでいました。その理由は「もしノーが勝ったら、その後、大統領選挙になります。そこで右翼は政権をとれます。今は軍事革命で政権を取ったと左翼から非難されていますが、次は正当な選挙で、つまり投票でチリの右翼は政権をとれるんです」
  ノーが勝ちましたね。私の一生で一番緊張した・興奮した選挙でした。
  同じようにこの憲法選挙も改正派が勝てば、新憲法はどうすればよいかの議論が始まります。つまり現行憲法と同じ若しくは相似のものになる可能性はあるわけです。この考えから与党の一部で改正案賛成を表明するところもでています。
  私はもうどちらでも良いと思います。自分と反対の意見を拒否して暴力行為が前面に出てチリを無茶苦茶にしてしまう、そんな選挙はしたくないと言うわけです。それから前にも書きましたが、2005年に当時のラゴス大統領は現行憲法の改正を行っていますから、現行憲法に左翼の見解も入っています。今週からテレビでその投票の説明が入り始めました。
  大統領候補者がいろいろ出てきました。今まで右翼はラス・コンデス区の区長ラビンが最も人気のある候補者でしたが、隣のプロビデンシア区の区長マテイが立候補を表明しました。その女性区長と近くの公園で2度あったことがありますが、嫁さんは昔のクラス友達だったとかでずいぶん話し込みました。私は挨拶だけでしたが。二人の区長はどちらも最右翼のUDI党員です。左翼の方は共産党の区長ハヅゥエが手をあげています。

(経済)

1)失業率
  5ー7月の失業率は13.1%で、2010年以来、最悪の数字になりました。180-200万人もの人が失業しているとか失業者、そして庶民層への政府援助計画は終了しますが、その延長計画を国会で審議中です。仕事がなければ一般庶民は生きていけませんね。
 2)銅価格と為替
  銅の価格は3.02ドルと大台の3ドルを超えました。このため1ドルは778ペソとなり、チリペソがドルに対して強くなっています。
 

(一般)

 1)コロナ問題
   今週は落ち着いて、大きな動きはありません。2週間ほど新規患者数は2千名以下でしたが、金曜日少し超えました。土曜日は元のレベルに戻っています。死亡者数は50名以下くらいです。来週から首都圏の多くの区で自宅待機令が緩和されます。それでもまだ半分くらいの人が毎日自宅待機の指示を受けていますが。それから75歳以上の高齢者は週に3日自宅から散歩に出られるとなっていましたが、来週からそれがなくなり、75歳以上の人も、それ以下の人と同じ条件になります。つまり緩和地区では、月曜から金曜日まで家の外に出られㇼわけです。私の住むラス・コンデス区は第3フレーズになって自宅待機がなくなりました。

 
   テレビのニュースにコロナ病患者の話が出ました。最初の人は本人が患者で入院し、治療の結果良くなって退院。もう一人は父親が発病し、入院しましたが、そこで死亡。その二人の手元に病院からの請求書が届きましたが、その額が1千万、2千万ペソもの巨額で、二人とも支払い不能ですと途方に暮れていました。緊急病棟に入っている重症患者とその家族は生き抜けるか死ぬかの問題と、もし退院したらどんな領収書が届けられると緊張でしょうね。仕事がない人に支払いできる可能性はありません。
 2)マプチェ問題
   8.9州(ビオ・ビオ、ラ・アラウカニア)で放火と車両への攻撃が継続。毎週、勢いを増すようなマプチェの攻撃です。放火場所に置かれていたパンフレットにハンスト中のマプチェ運動のメンバーを釈放せよと書かれていました。今週、5軒の家屋に火がつけられました。その他、重機とトラックも燃やされました。これだけ犯罪が続き、その場所もかなり特定できるのに警察・陸軍は何をしているのでしょう。

   マプチェの問題で、最右翼なら、500年前のスペイン人のようにマプチェが逆らうなら殺してしまおうかと思うでしょうね。左翼はマプチェ問題を利用して反政府運動を盛り上げようでしょうか。しかし意外な組織がマプチェに援助・示唆をしている可能性があります。証拠はないのでその組織の名前は書きませんが読者の皆さんも考えてみてください。
   2100台のトラックが各地で道路でストを実施しています。木曜日から今日で4日目、この先延々と続きそうです。トラック組合は政府の提案を拒否し、トラックへの放火・発砲などが根絶するまでストを継続するとしています。9州ラ・アラウカ二アで昨年1年で約500台のトラックに火がつけられたと言われています。
   道路に止められたトラックの前面に「いつまでトラックへの攻撃が続くのか」、「犯人が捕まっても直ぐに釈放されるのは止めてくれ」とか書かれています。もちろんストに入った大型トラックが複合2車線の内の1線を抑えると、他の車両は残りの1線を使って走るわけで制限時速120キロの所が時速30.40キロに落ち、渋滞が多く発生しています。南部の町でガソリンが不足してきた地区が出ています。首都圏もこれが続けば食料不足とかが起こるでしょうね。
 3)警官の発砲
   先日、デモ隊に発砲したサンティアゴの元警官が裁判になりましたが、同じことが近郊で起きています。警察が発砲した催涙弾が顔に当たり、その女性は失明しました。その警官(罷免されたので元警官)は裁判になっています。彼女は私に発砲したのは警官ではなく犯罪者だとし、裁判所がその元警官を厳しくさばくよう要求しています。人権委員会は警官の悪行を裁判所が裁くというのは今までより1歩進んだと言えるだろうとしています。今までは警官が仕事の上での行動に司直の手が入ることはほとんどなかったからです。
 4)大気汚染
   サンティアゴの空気は過去20年で最も汚染レベルが低いと確認されました。もちろん政府・市民の協力があったわけではなく、自宅待機令で車の動きが大幅に低下したからですね。つまりそれはチリの実際の数字ではないということになります。
 5)年金積立金の引き出し
   85%が受け取り、10%は問題があるとして拒否され、残りの5%は手続き中とか。一部の議員は2度目の引き出しを認めさせようとしています。
   

(スポーツ)

1)サッカー
  3月以来5か月ぶりに1部リーグ戦が実施されました。初日、首位だったカトリカはホームでまさかの敗戦。人気2チームですが、コロコロは最下位のチームにホームで敗戦。もう一つのチリ大学は引き分けと、リーグ戦をドキドキしながら楽しめるようにしました。この結果、首位はカトリカとウニオン・カレラが同点で並んでいます。それにしても観客のいないサッカー場の試合は異常ですね。


以上