(政治)

1) マプチェ問題
おばちゃん、どないしたん。今週は最低のできでしたよ。先ず第9州の州知事を更迭。それからトラック業界のデモの前にもろ手を上げる最悪の事態。彼女は全く表舞台に立たず後ろでウロウロしていたようです。
最初の州知事更迭ですが、理由は今ひとつわかりませんが、州知事がマプチェ寄りすぎると見られ首になりました。彼はキリスト教民主党DCの党員ですが、同じDCの内務大臣によばれ降ろされたもの。旧知事は厳しく政府批判を行いました。彼が用意したマプチェ問題解決もしくは軽減のための提案書を政府は十分な検討をしなかったとコメント。
2番目のトラックのケースですが、マプチェの攻撃でトラックを燃やされた業界が政府の安全対策が全く改善されず同じ問題が継続しているとし、テムコから焼け落ちたトラックを搭載したトレーラーをモネダ宮殿の前に運び、抗議としたいとしました。そして13台のトラックがサンティアゴを目指して出発。政府は都内に巨大なトラックが入ることは道路交通法で禁止されているとして、当初から頑なに拒否しました。 トラックの列が高速道路を使って第6州のランカグアを越え、首都圏への入り口の料金徴収所に着いたところで、朝早くでしたが、それをストップさせました。木曜日です。トラックはそこから動けません。すると各地のトラック業界が支援のための道路封鎖に出ました。
政府のスポークスマンは「私たちは最初から同じスタンスです。決まりを守っていきます」と明言しましたが、各地の混乱が拡大してくると、8時間も待たした後、テムコのトラックの中の6台にサンティアゴ市内通行の許可を出しました。
その頃モネダ宮殿の周りで二つのグループがデモ。一つはトラックデモを応援し、もう一つはマプチェの応援グループです。先年、マプチェに家を燃やされその中で焼死した老夫婦の息子が抗議の声明を上げているとマプチェグループが後ろから彼に攻撃。「ピノチェットの息子」と叫んでいました。つまり右翼対左翼の戦いになり、マプチェの応援が左翼、逆が右翼となっています。
労働法案改正で問題になっている労働組会のリーダーは政府はトラック屋の脅しに負けてはいけないと強く批判しました。  
彼女は共産党ですから、左翼代表の意見ですね。
焼けこがれたトラックを見るのは一般市民にとってはショックなことですが、それを右翼・資本家の見せかけ行為としたわけです。左翼側はピニェラの時には抗議デモをしなかったから、バチェレット降しの作戦だろうと批判していますが、ピニェラの前のはバチェレット政権で、その時も抗議デモはありませんでした。つまり最近マプチェの行動が激しさを増していると言うことになります。
マプチェの代表もテレビのインタビュー番組に出演して自分たちの立場をコメント。それによると「マプチェはインカに負けなかったし、スペイン人にも負けなかった。チリが独立した時、(今から200年ほど前のことですが)現在の第9州はチリの領土に入っていなかった。ペルー・ボリビアと戦った太平洋戦争の後、チリ政府はマプチェの領土に入り、傍若無人な殺人・略奪行為を繰り返し、マプチェの人権を奪ってしまった。したがって私たちの領土をマプチェが守ろうとするのは当然だろう。
現在でもチリ政府は軍隊・警察を使いマプチェの土地を蹂躙している。マプチェが市民を殺害したと言うが、警察に射殺された私たちの仲間のことはどうなっているのか。
トラックの火災に関しては、オーナーが保険金目当てに自分で火をつけたとか、反マプチェグループが火をつけたケースもあるのに、それはなぜ報道されないのか」
他人の土地に入り込み略奪行為をすることや、植林された森林を切って売ってしまうなどのマプチェの行動をすべて正当化しました。
マプチェのこの考え方は新しいことではなく以前から継続されています。アジェンデ政権の時に、大統領自身が「マプチェはラテンアメリカの中でもっとも資本家との格差是正の戦いを進めている」コメントしていますが、その考えは今もどこかに残っているわけですね。
夜8時ころでしたが、彼らのトラックはアラメダ通りのモネダ宮殿の前を通過。彼らのリーダーはモネダ宮殿に入り、当初の要求通り内務大臣と面談しました。政府の一方的な敗北になりました。     
しかしそれらのトラックにマプチェ応援側のグループが投石。何台ものトラックのフロントガラスにひびが入りました。運転手は投石が続き怖かったが警察は全くコントロールしようとしなかったとクレームしています。モロトフ爆弾も投げられたらしい。
そしてこの事件の翌日、中小企業援助の集会に出たバチェレットは、トラックデモについて渋い顔をしながら、「規則を守る、話し合いで解決するの基本方針は全く変わりません」と発表しました。トラックは市内に入れないと言うルールを破ったし、最初、彼らの要求の話し合いをしなかったのも政府です。
その日の朝、内務大臣が彼女の事務所にきて、「どうしましょうか、トラックが首都圏のすぐそこまで来ていますが」と聞くと、「何を言っているの。規則を守る、それだけよ」 昼過ぎにまた彼が来て「全国各地でトラックが道路の封鎖を行い、このままでは日常業務に支障をきたします」「テムコのトラックを市内に入れさせればすぐに問題解決でしょ。頭の悪い男ね」・・・これは私の想像です。
その内務大臣と補佐官の間にもめごとがあったようです。政府案をあくまでも貫くとした補佐官と、柔軟性を見せてトラックを市内に入れさせた内務大臣の考えの差ですね。彼が柔軟性を見せたので、大事には至りませんでしたが、突っ張っていればチリ各地で大騒動になっていたでしょう。
内務大臣はこの問題が政治問題になれば私の責任ですとコメントしています。似たようなケースがこれから各地で起こるでしょうね。人権問題としてマプチェの問題は国際問題になるでしょう。同じように、これがイースター島に飛び火し、現地住民がチリ政府ともめています。
それにしても今年の年初(夏休み)まではバチェレットも安泰でした。それがおかしくなったのは息子夫婦の農地不正売買問題からです。その後、政治資金問題が出て彼女の人気が急落しました。つまり対応を間違ったと言うわけです。
2) 妊娠中絶問題
政府内で与党のDCはこの法案に基本的に反対していますが、キリスト教カトリック大司教は明確に反対の意思表示。それに対して社会党の議員が「一部の機関が、道徳に関して他の機関の上位に立っているようなコメントを繰り返すのは民主国家として見逃せない」とカトリックを批判しました。 その大司教は、会話が足りないと政府のマプチェ対策を批判しています。自分たちも神父の年少児への性的いたずら事件などについて自己批判してほしいけど。
3) 新州設立について
バチェレットは第8州を二つに分けるとコメントしましたが、次期の大統領候補の元大統領ラゴスはいかがなものかと反対の意を表明。しかし与党内も支離滅裂ですね。