チリの風  その901  2020年8月17日―23日

先週と同じくサンティアゴの最低気温はほとんど毎日零度でしたが、昼から暖かくなり、特に金曜日は24度まで上がりました。
半そでで歩いていても汗が出ました。春と言うより、初夏みたい??朝、干した洗濯物がちゃんと夕方に乾きました。   
今月は今まで雨は全く降っていませんが、日曜日、朝起きると珍しく少し地面が濡れていました。来週は雨の日があるとか。
さて年初、高級レストランでシェフとして活躍していた人が、今は失業して生活に困っていると言うニュースがありました。
同じように嫁さんの友だちで、4月から仕事が上手く行かず困っていたところ、今回の年金払い戻しを受け、さらに政府の50万ペソ寄金を受けたので一安心と言う声を聞きました。つまり、実力があって努力をしても運がないと生きていけないわけですね。
私はリキャップ・タイヤ部門の責任者の仕事をしていたことがありますが、その時にこのコロナ問題が出れば、工場を閉鎖することになって、工員さん・セールスマン、それに私も失業したかもしれません。でも、今は年金をもらっているので生活には困りません。運がありました。

(政治)
1)ピニェラ動向
  今週の市民調査で彼を支持するは19%、反対は47%でした。今週は彼はあちこち出かけています。
  都内では国立競技場で、サッカーを楽しみました。ボール・リフティングもシュートもさえませんでしたが、それでもカメラの前で皆さんがお待ちのプロサッカー1部リーグは今月29日から再開幕ですとコメント。
  そして南に旅に出て先ずニュブレ州でチリ建国の父オヒギンス生誕242年の記念行事に参加。それからもっと南下してプエルト・ナタレスでトレス・デル・パイネ国立公園に行き、新ルートの工事を観察。そこはチリのパタゴニアで一番有名な観光地です。3月に私も嫁さんとそのプエルト・ナタレスに行きました。その後、ピニェラはプンタ・アレナスで南極のチリ領土保全について新法案を作ると発表しました。
  ただモネダ宮殿では問題がありそうです。先日、内務大臣を入れ替えました。新大臣は最右翼UDI党です。ピニェラは「同大臣は自分の考えで行動できる。しかし彼の上司は私だということを忘れてはいけない。」つまり大臣はピニェラの意見よりUDI党の意見を聞くわけですね。仕事以外には二人の関係は全くないとさえ言われています。
  先週、バチェレットのことをいろいろ書きましたが、今週の新聞に同じようなことが出ました。彼女は次の大統領選挙には出ないと言っているのに彼女のニュースが良く出るのは何故かということです。他の候補者がいないとか他の候補者が出たとき、バチェレットがそばに立てば、イメージが良くなると思われているわけですね。素人の私が思うことと同じことをプロも言うわけです。
  
(経済)
1)経済成長率
  第2四半期はマイナス14.1%になりました。想定通りですね。ほかの国よりは悪くないかな?問題はそれをどう転換し、プラスの方向にもっていくかです。建設現場では、工事中の物件を含め、労働者の雇用・移動などに関し、政府は援助するとしています。
2)銅価格と為替
  銅価格が今週、一時久しぶりにポンド3ドルを超えました。2年ぶりとか。
  為替は乱上下価格で1日で15ペソ上がったり11ペソ下がったり。
  結局、ポンド当たり2.98ドル、為替は1ドル794ペソでした。
  この銅価格の上昇で国庫に入る金が19億ドル増えそうと言われます。
 3)経済効果
   各自が厚生年金の自己資金の10%を引き出しましたが、それが小売業に大きく影響。久しぶりに売り上げが増加したとか。一般市民の懐にボーナスが入ってきたので、派手に使ったということでしょうか。
 4)サーモン
   2年前、生け簀が破れて69万匹と言う大量のサーモンが海に流れ出、自然破壊の問題を起こしましたが、その会社に53億ぺソの罰金が命じられました。今年も似たような問題が起きていますが、生け簀で鮭を飼うというのは難しいのですね。
   サーモンの値段が上がらなければ利益も少なくなるし、今年は厳しいです。

(一般)
 1)コロナ問題
   最近、毎週のように状況は良くなっていると言われましたが、今週は少し雰囲気が変わって黄色の信号になっています。昨日は新規患者数は1942人、死亡者は60人でした。
   つまり完全自宅待機令を緩める区と厳しくなる区が出ています。つまり一本道ではないわけですね。
   今週から週日、自由に歩けるようになった中央部の区は混乱状態。
   安い卸店で物を買いだし、それを道端で少し高い値段で売れば差額は懐に入ると群衆がその卸商の店に殺到。長い列ではないです、入り口付近は人の海です。それではまたコロナが拡散するでしょうね。
   ただ病院の緊急病棟などはまだ少し余裕があるようです。しかし医者・看護士の人の過労は大変なものでしょうね。コロナで倒れるのではなく過労で倒れないか心配。本当にご苦労様です。
   さて外出禁止令が今までの夜10時から11時に遅くなりました。
   サンティアゴからチヤンに行く汽車が5か月ぶりに運航再開地下鉄最終便は夜9時までと運行時間を延ばしました。昨年のデモで延焼した駅も開通して正常化が進んでいます。
   冬季は大気汚染問題で大騒ぎですが、今年はその非常事態宣言は出ませんでした。
   確かに今週、丘の上から街を見ると雨も降っていないのに意外に空気がきれいでした。
2)警察
   まず警察学校の名前に元の警察軍長官の名前を付けることにしました。ピノチェットが軍事革命を起こしたとき、陸空海と警察の4軍の長官が政権のトップにつきましたが、その時の警察軍の長官です。これに対し、野党側から民主化して30年以上もたつのにまだ軍事政権のイメージを大事にするというのはどういうことかと強い反発がありました。UDI党は野党は何を言っているのか、彼らはアジェンデのイメージをいまだに大事にしているくせにと馬鹿にします。
   政府はその件を事前に聞いていなかったとしました。内務大臣は知っていたけど、情報を共有しなかったのでしょうね。
   それから昨年の暴動デモで警察が発砲した弾でデモ隊の大学生が失明した事件がありましたが、その警官(元警官)は裁判になっています。彼は下級警察官ではなく警官を指揮する立場にあったとか。事故が起きたとき、その晩20名ほど負傷していますが、デモ隊と警察の争いは激しく継続し、彼はデモ隊に警告のつもりで発砲するのではなく、力で抑えるため攻撃としてデモ隊員の顔に発砲したらしい。 
   人権委員会の会長はその警官が裁判で正規に裁かれるのは当然だとコメント。内務大臣は裁判の様子を注目したいとしています。
   久しぶりに、この週末イタリア広場にデモ隊が集まったらしい。
3)マプチェ問題
   いつものようにまたトラックに放火する事件が発生。燃やされたトラックに発砲し、父親と乗っていた9歳の少女に弾が当たって負傷しました。
   アラウカニア州はいつまでたっても同じで、コントロールは全く進んでいません。
   トラック業界は全国的な抗議行動を起こすと発表しました。政府は行動を起こす前に話し合いましょうとコメント何時も同じで話し合いをしても政府は手を打ちません。
   それからマプチェのリーダーでハンガーストライキをしていた男は政府と合意に達しストを止めました。
   なんでも刑務所から外に出ることを特別に許可されるとか。他のストの同僚はどうなったのか分かりません。
   もちろん、右翼側はこの政府の提案を拒否し、どうして彼にそんな特別なことをするのかと批判しています。
   ところで人権委員会の会長は、殺人事件を犯した人間はハンガーストで特別待遇を要求する権利はない。
   彼の場合はチリ人がマプチェに偏見を持っているということに抗議しているのだとコメント。一般とは違った見方をしています。
   確かに市民調査で、76%の市民はマプチェは偏見をもって見られていると感じています。 
4)キンテロ大気汚染
   2年前に大問題になったバルパライソ州キンテロも問題ですが、住民が再度抗議のデモをしました。一向に問題が解決しないということです。その地区にはいろんな工場があり、排気ガスを出していますから、そのうちのどれか、もしくは全部の操業を止めれば問題解決はできます。どの工場が一番の原因なのか調べたはずなのに、どうして問題解決・軽減の手を打たないのか不思議です。マスコミからもそういった情報は漏れてきません。
5)皆既日食
   昨年はラ・セレナの近くでその日食が見えました。チリ人だけでなく世界中から観光客が訪問してきました。今年は、南のプコン地区でそれが見えるとかでニュースでホテル・レストランが準備を整えていると出ました。
   チリの観光産業は壊滅的打撃を受けていますから、この皆既日食が今年最後のそして最大の希望ですね。最も外人観光客はその日、12月14日、ほとんどチリに来れないでしょうね。

(スポーツ)
1)サッカー
   とうとう来週から国内リーグ戦が開かれます。無観客ですけれど。
   ただリベルタドール杯などの国際戦のゲームは外国チームの入国を認めるかどうか、まさか14日間のホテル待機は強制できないでしょうから、まだ決まっていません。
  
2)スキー場オープン
  サンティアゴの後ろのアンデス山脈にあるスキー場がオープンしたそうで、リフトが動いていました。昨年なら溢れるほどのスキー客がいましたが、その多くは外人スキーヤーで、特にブラジル人、しかし今年はリフトに乗っている人はほんの少しでした。


以上