チリの風  その847  2019年8月5日-11日


サンティアゴはまだ寒い日がありますが、街路樹に緑の葉が戻ってきました。寒い冬と言われてもちゃんと自然は動いて春の兆しが近づいているわけですね。もっともミモザの木の黄色の花があちこちで満開で、それは私には花粉症の原因になるので近づけません。この冬は、少し風邪をひきましたが、予防注射もしなかったし薬も飲まず、寝込むこともなく通常の生活を楽しみました。       
土曜日の登山教室は18名の参加者で第2展望台に行きました。その日は最低気温マイナス1度で出発したころは肌寒かったけど、歩いているとポカポカしてきました。目的地で子供が「汗をかいてしまった。これなら半そで半ズボンでくるべきだった」とか。何それ? 3時間半歩いて 全員無事に戻ってきました。                 
日曜日はマラソン練習。仲間が学生を一人同伴してきましたが、私は彼らとせって走る力はなく残念。その後、3人でコーヒーを飲みながら楽しい会話を楽しみました。
                    

(政治)

1)ピニェラ動向
 テレビの特別番組で軍隊を国境に送る件について説明しました。野党から軍隊派遣に反対する声があったからです。軍隊を警察組織の上に置くのではなく警察の仕事の手伝いをするとしました。北の国境(特にボリビア側)から麻薬が送り込まれるのを防ぐためですが、チリの麻薬汚染は想像以上にひどいのは先週のチリの風にも出てきました。昔はその密輸された麻薬はチリを経由して欧米に送られていましたが、今では外国に出る前にチリ国内で使用されています。サンティアゴ市内に10カ所以上も麻薬組織の抑える地区があるなんて信じられないことです。              
さぁ、軍隊を使ってそれが少しは軽減されるかな?もちろん、チリに入る麻薬の量が減少すれば、麻薬の値段が上がり、麻薬患者の間で取り合いになるでしょうね。
ピニェラが要請したテロリスト対策法案が成立、そっちも一歩前進。
その後、彼はリマに飛んでパンアメリカ大会に出場のチリ選手の応援をし、当地の組織と面談しました。と言うのは次の大会は2023年にサンティアゴで実施されるからです。閉会式の最後に大会旗をペルー側から受け取りました。

(経済)

 1)経済成長率
  今年の上半期は1.7%の上昇で。その数字は予想の3%を大きく下回っています。
 「3%の予想はじっくり考えて出てきたもので、私は3%を目標に働きますが、毎晩、ゆっくり眠れることをお知らせしま
 す」と大蔵大臣は言っていましたが、最近はあまりニュースに出てきません。ゆっくり眠れないから?
 今年の後半は大きく伸びるという声もありますが、銅の価格が落ちて、ペソ価格が落ちているのに、今年の後半に数字が
 大きく上向くとはとても思えません。落ち着いて眠れるためには辞任するしかないかな?
 アメリカと中国の経済戦争がチリ経済に大きな影響を与えていますが、今年の上半期のチリからの輸出は規模の大きい順で調べると中国が11%、アメリカが11%、EUが13%、日本が1%と前年対比すべて減少しています。
 中銀の発表でこの7月は9か月ぶりに貿易赤字になりました。しかし暗いニュースだけでなく外国からのチリへの投資はこの上半期66億ドルになり、それは前年対比2倍を少し超えています。

 2)銅価格と為替
月曜日、銅の価格がポンド当たり2.56ドルに下がり、そのためチリペソも1ドル721ペソまで下がりました。銅価格が3ドルに戻るのにはかなりの期間が必要でしょうね。
3)労働時間の短縮
  現在の週45時間労働を40時間に下げるという共産党の提案に関し、もちろん一般労働者はそれを支持していますが、政府は平均41時間ではどうかと逆提案。平均と言うのは今週42時間働けば来週は40時間(それで平均41時間になりますね)はどうかとしています。

(一般)

1)移民反対デモ
 ある団体から移民反対デモの許可依頼が出ましたが、首都圏知事 はそれを拒否しました。移民から安全を守るため武装して
 デモをする予定だったとか。右翼か極右か知りませんが、まだそんな考えのグループがいるわけですね。
 しかしマプチェなどの先住民が移民反対というのは理由があっても、それ以外のチリ人が移民反対と言うのは理屈に合いません。
 今のチリ人は大半が移民の子供で、それも3代目くらいが多く、つまり祖父母が欧州から来ているわけです。その移民の子供が移民反対と言うのはお笑いではないでしょうか。
 2)爆弾騒ぎ
警察のレベルが低いので犯人が捕まらないと思っていましたが、今週、容疑者が一人逮捕されました。20代の青年ですが、彼の家を捜査したところ爆弾を作る材料が発見されました。彼は過去6件の爆弾事件に関与しているとみられています。もし彼が犯人とすると、多くの事件の一部が解決になるわけですね。最も先日の警察への爆弾事件はほかの犯人の手によるものでしょうが。もちろん、彼が一部の爆弾事件の犯人としても、すぐに他の人間がそのスペースを埋めて問題を起こすでしょうね。彼らには爆弾製造は情熱ですから。この種の事件は1996年に始まり、当初は数年おきに爆発しましたが、2009年から毎年、事故が起きています。今まで約70件の爆弾騒ぎが起こり、何人か犯人が逮捕されていますが、事件は継続。今年の初めの騒ぎは、この逮捕された男の犯罪のようです。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は2位のコロコロが負けたため、首位カトリカが引き分けたのに差が10に広がりました。
 もう誰が見ても今年の優勝はカトリカでしょう。
  人気のチリ大学は数か月ぶりに勝ち、下から3番目に上がりました。このままなら2部リーグに落ちません。
2)パンアメリカ大会
 チリの成績は、メダル獲得数で第8位になりました。金メダル数が13個、メダル総数は50個と今までの最高記録。
 選手は帰国したらモネダ宮殿に招待されますね。


以上