チリの風 その225 07年5月28日―6月3日
とうとう雨が首都サンティアゴに降りました、木曜日。結構な雨量だったのでもちろん通勤通学の人間はトランサンティアゴの不手際をもろに受けて大変な迷惑でした。
でもそのおかげでスモッグが一掃され(ほんの少しの間だけですが)青空が見事です。快晴になった土曜日と日曜日、いつものように山を目指して走り登るマラソン練習をしましたが、アンデスの山が雪に白くはえ、最高でした
スキーは6月15日からシーズン開幕らしい。
首都圏の今週の最低気温はマイナス3度とか。まぁ札幌の冬を10年以上過した私からするとこれくらいの寒さは楽勝ですね。(といいながら戸外で働く機会を少なくしようとしている弱虫ですが)
(政治)
1)しかし今週はエネルギー問題がトップです。アルゼンチンは約束を守らずとうとうチリ向けのガスの供給を完全にストップしました。
両国の間に天然ガス供給契約が成立したフレイ大統領の時代は契約を遵守していたアルゼンチンですが、ラゴスの時代に入って供給量の削減が始まり、とうとう今回、二日間だけですが、完全ストップになったわけです。今回はたった?二日でしたが、これが1週間になると完全にガス会社の備蓄ガスはなくなり工場用のみならず各家庭への供給が停止します。つまり私が仕事から戻ってきて風呂に入ろうとしてもお湯はでないことになります。じゃ、コーヒーでもと思ってもお湯も沸かせません。これは社会問題ですよ。
さてこれが与党内の争いに転化しました。社会党対DCです。まずフォクスレイ外相(DC)が社会党を批難しました。その理由は先週、社会党一行がアルゼンチンを訪問し同国政府とガス供給について話をしたことについてです。同党首はアルゼンチン政府から供給ストップはないとの言質を取り付けたと自慢して記者会見。しかしこれに対し外務省はこれは一党の問題ではなく一国(政府)の問題だから、社会党がネゴするのではなく外務省が取り扱うべき分野と批判したわけです。その党首自慢からわずか二日あとにガス供給の全面ストップ。しかし政治家って言うのは厚顔だからか、その党首の懺悔の発言なんかゼロです。
DC内部でも党首のアルベアルと元大統領のフレイの激しいつばぜり合い。
いやはや。5月21日の大統領教書の中で与党間の調整を行い、無用な摩擦は起さないこととコメントした彼女ですが、一週間もしないうちにこのありさま。彼女の力量の限界ですね。
さて肝心の天然ガス問題ですが、備蓄を増やすためサンティアゴのペニャロレンにタンクを建設する許可が出ましたが、それに反対する地域住民ともめています。また使用を止めていた市内の古い発電所の再使用を検討中ですが、その近辺の住民も反対運動に立ち上がり・・・問題山積。
はっきりしているのはこの先、アルゼンチンからの天然ガスはますます供給削減になることで、国民にどうせ迷惑をかけるのなら、多少コストが上がっても供給ストップの恐れのない他のエネルギー源を確保することです。
2)バチェレット大統領は欧州に外遊です。
以前なら、大統領のチリ飛行場の出発からテレビのニュースに出ましたが、バチェレットの場合、本当にこっそり出て行きます。欧州での活躍もほとんどニュースになりません(活躍していないのかもしれないが)
本当に何しに行っているのだろう。もうチリがいやなので息抜きに外遊してるんかな?野党側から外(外国)に問題はない、問題は中(国内)にあると嫌味を言われています。ホンマやな。
そうそう21日の教書で大判振る舞いを約束した彼女ですが、新聞報道ではそのとおりに省や庁に新しいポストを作るとそのコストは年に8千万ドルなるらしい。今は金があるけど、いつまでも続かないのだから、コストがフィックスするそんなやり方はアカンというてんのにわからん人やな、彼女も。
3)トランサンティアゴは運賃の値上げか、国会の承認を待って2億9千万ドルの政府資金投入のどちらかになりそうです。
やられてしまいました、5000ペソ。別に強盗にやられたわけではありません。プリペイド・カードの残高が少なくなったので地下鉄駅で5000ペソ分を入れました。その日の夕方、会社の戻りにそのカードを見ると残がゼロだったので駅でクレームしました。ちゃんとそのカードの履歴を調べることができるようになっているので確かにその日は朝晩と2度使用していることが出ました。しかし朝に5000ペソ入れたのが記録に残っていません。じゃ読者の人は藤尾さんも老齢化が進んで、入れてもいない5000ペソをクレームしていると思うでしょうが、何の、ちゃんと5000ペソをそのカードに入れた領収書が残っています。で、駅員はここではクレーム処理は出来ません、お客様係りの事務所にどうぞ。しかし私は5千ペソのために手間隙かけてそこまで行く気がないのでその5000ペソは政府に騙し取られたことになります。こんな例が他にもあって怒っている市民が多いのでしょうね。
そうそうバス会社への支払い方式をどうするかもめています。現行は契約どおり毎月決まった金額が政府から各バス会社に払われていますが、それをこうして徴収された運賃とどう連結されるかはっきりしていません。つまり現在は乗客を運んでも運ばなくても一定の金額を政府から受け取れるわけです。このため乗客数による収入と、収入の分配(現行380ペソを乗り継ぎの場合、例えば地下鉄が180ペソ、バス会社200ペソと言った取り分協定)を結ぶ必要があるわけです。その際、バス、地下鉄、バスの3つの乗り継ぎがあれば最後のバス会社の取り分はないとなるかもしれません。でもはっきりルールを決める必要があると思いますがどうでしょう。
4)先週お知らせしたペルーの元大統領フジモリに対する裁判は今週は結論が出ませんでした。話は変わりますが、同じ外交問題ですが、チャベスはいつもニュースの焦点ですね。テレビ局を閉めさせるは、ブラジルをアメリカ帝国主義のしもべと呼ぶなど言いたい放題、したい放題。もちろんいつか彼の独裁も崩れますが、それまで何をやるのか逆に楽しみになります。これだけアホを続けるのは実力が要りますよ。
(経済)
1) 2月から4月の3ヶ月間の失業率が5.3%を記録。これは1998年以来の最低水準。たしかにバチェレットの言うように経済は順調に動いているようですね。
小売業を始め、利益を求めてチリ企業が外国に出て行く動きが顕著。しかし売上の増加は直接、国民の所得増と結びついていないのではと危惧。
(つまりチリ人は借金好きになってしまったのです)
2)ランチリはペルー、アルゼンチンでは成功経営を続けていますが、ブラジル市場への進出は失敗しました。今回、メキシコで一番大きな航空会社を買い取ることを計画中と発表されました。これが実現すると、ランチリはラテンアメリカでトップの飛行機会社になります。さてどうなるか?
(一般)
1) ストが相次いでいます
一番目はゴミの収集車が止まってしまったこと。ゴミの袋を木の枝にかけるのでゴミの花が咲いたと新聞に写真が出たほどです。まぁ2日ほどで待遇改善の合意が出来て解決しました。
その次は非行少年を扱う更生施設機関のスト。彼らは青少年の刑務所送りが決まっても現在彼らを収容する十分な施設はない。そこに多数の青少年が送り込まれれば、問題が起こるのは必至で、安い給料でそんな危険な仕事はやっていけないというもの。
これに続いて刑務官のスト、トランサンティアゴのバス運転手のストが準備されています。ストが流行りになってくるのでしょうね。
2)6月1日から車の走行時、安全性重視のため昼間でもライトの点灯が義務付けられました。もっとも付けないで走っている車の方が多いようですが。
3日の日曜日、マラソン練習をしていると2台のパトカーに出会いましたが、いずれも点灯していませんでした。それを止めて、警官に新法規を教えてあげようかなと思いましたが、余計なお世話と言われそうでやめました。
3)モンゴルで発見された恐竜の骨がチリで展示されることになりました。
1920年に始めて発見されて以来、数多くの恐竜の骨が見つかっていますが、その中で世界で2番目に大きなものらしい。来週からマポチョ駅文化センターで展示。
4)日本のニュースが三つチリの新聞にのりました
農相の自殺と71歳老人のエベレスト登頂、それに日本人女性がミスユニバースに輝いたことです。
記事の解説の中で、日本では毎年3万人も自殺しており、西洋の諸国でタブーになっている自殺が日本文化の中では容認されているとあり。
またエベレストの話では71歳の彼が記録を破るまでは同じ日本人の70歳が記録だった。何しろ日本人はエベレスト好きで既に2000人が登頂している。もっとも登山中の死亡も200名を記録となっています。
(スポーツ)
1) サッカー国際試合
日本はモンテネグロに快勝したようですが、チリは土曜日コスタリカと対戦しました。しかし喜んでテレビの前に座った私の期待を大きく外してくれました。もうとにかくプレーのレベルが低く、見ていて歯がゆいことばかり、これでは勝てないと思っていたら、私は見る目がある。2対0で負けました。来週火曜日の対ジャマイカ戦はもう見ないつもりです。不愉快だから。
あと1ヶ月にせまった南米カップに期待は出来ませんね、これでは。
2)テニス
ドイツの世界大会で活躍したチリは、3選手をATPの世界4大大会の一つ、フランスのロランドギャロス大会に送り込みましたが、為すすべもなく惨めに敗退。またの参加をお待ちしていますと軽くあしらわれてしまった。しかし安定性に欠けますね。どんな大会でも一人くらいベスト8とかベスト4まで上がってほしいのに。
以上