チリの風  その176  06年5月15日-21日

チリの風  その176  06年5月15日-21日

相変わらず大気汚染はひどく、気温が下がって ,気管支炎などの病気が流行ってきます。それでも毎日、私は大過なく過していますが, 幸せなことです。感謝, 感謝。
エジプトの旅の紀行文の掲載が始まりましたが,数名の方から感想をいただきました。ありがとう。今週もその2ヨルダンが載ります。よろしく。


(政治)
1)フジモリの話はその2)に残してチリ国内の話から。5月21日はチリでは祝日です。イキケ海戦の日で、今から120年程前の今日、太平洋戦争でチリ海軍がペルー海軍と一戦を交えたのを記念する日です。
この日、大統領は国会で所信表明を行い,これから1年間の目標を明らかにするのが慣例です。
今年も例年どおりバチェレットが演説を行い、自分が大統領として国をマネージする4年間を予想し、またこの先1年はチリにとって素晴らしい年になるとしました。
BBCの夜のニュースを見ていたらちゃんと放送されました。チリもすごいやん。国際的に認められている。
しかし本当にこの先1年間、チリが順風満帆でいけるかどうか疑問です。彼女の演説の中で一番拍手が大きかったのは軍事政権下の行方不明者の捜索は最後まであきらめないとしたときで、こう言いながら、見つかった白骨が誰の死体か見極められないようでは遺族の応援は得られないのではないでしょうか。
大きな問題では無いにせよマプチェ族の問題は継続されそう。せっかくカトリック教会, 国会議員が仲裁に入ってハンストを止めさせたのに、国会での動きが遅いと彼らはハンスト復活。たぶん4人のハンスト中のマプチェの内, 一人くらい死ぬまで続くのでは。
今週も高校生の攻勢が激しく, 幾つかの高校が学生によって占拠され麻痺状態。彼らの主要な要求は大学受験料の無料化,バスなど公共交通機関の無料化ですから, 学校に行くバス代は日本のように半額、受験料は無料ですぐに落着できるように思うのですが, 教育相は無能で毎週同じような学生警察の対戦を繰り返しています。
サンティアゴの目抜き通りアラメダの舗装工事が大失敗とのニュースは先週も書きましたが, 全くそれについて政府からコメント無く、前政府の失政を棚上げにしています。自分たちの失敗でないから良いということでしょうか?
さて銅の高値からくる国庫増収をどのように使うかがこの教書の最大議題になるべきと思いましたが、そうではなかったようです。どうして?
彼女は最近最高値の時から10%も価格が下がっている。つまり高値というのはいつまでも続くものではない。従いそれを基にした案は意味が無いとの発言をしていますが, そうかな?

2)新聞の記事によると04年に比べ05年の各省のアドバイザーに払った給料が急上昇とか。なんでも総額で66%アップらしい。身内だけで、国の儲けを浪費するのはやめてほしいです。

3)少し前,チリの風よりボリビアの風になりそうだと書きました。ボリビアに勢いがあって,そこから風が来たからでした。一方ペルーは大統領選挙の決選投票が近いというのに霞んでいました。候補者の二人の争点がぼけているのと争っている二人がいずれもこれからのペルーをリードできる力を持っていないからでした。一人が国有化をしてペルーの力をつける, もう一人は外国資本の導入でペルーの力をつけるとしています??とにかくチリを追い越すのが目標らしい。
ところが、今週サンティアゴの刑務官学校に入れられていたフジモリが仮釈放になったことから, ペルーの話題が今週のトップになりそうです。フジモリ出獄!!!です。
しかし6ヶ月間辛抱していた彼ですが、得意満面, 出てきました。しかし抜群のタイミングですね。もう少しで大統領選挙。フジモリグループの票はのどから手の出るくらいほしいのは両候補者とも同じ。じゃフジモリ訴訟問題をこの先軽くするからよろしくと言ってくるでしょうね。
選挙は6月です。その後、新大統領が最高裁判所とネゴして彼に対する訴訟取り下げに入り, 軽微な犯罪事項を一つか二つ残して後は全部政府の方から取り下げる。これでチリ裁判所も無罪放免としてフジモリに国外退去の自由を与え, 彼はペルー全国民が見守る中リマの国際空港に到着というストーリー。今年の末と見ますが。
チリ政府はペルー政府との関係を懸念していますが、それは全くの杞憂でしょうね。トレドは全く人気の無い大統領であとわずかで舞台から去っていくわけで, 彼のクレームは誰にも届かないでしょう。
話は全然変わりますが, テレビでブッシュの不法入国の移民が国に多大の損害を与えているとの演説をライブで見ました。まじめな顔をして(当然ですが)わが国は世界でもっとも先進技術を持っている国だ,だからその技術を使ってメキシコからの不法移民を断絶するんだ!笑ってしまいました。何らかの理由でイランとの戦争が始められないので、それを不法移民にすり替え, 何とか予算を消化しようとするのでしょう。
しかし浅い,ブッシュの作戦はと思ってしまう。


(経済)
1)ボリビアがアルゼンチン向けの天然ガスの値段を上げたので,アルゼンチンからチリ向けの値段も上げさせてもらいますと言ってきました。
新聞の政治マンガでアルゼンチン大統領のキヒネルが子供姿でバチェレットはぼくのこと好きじゃないんだとすねながらガスの栓を締めていました。

2)チリの輸出は5カ国でその半分を占める。
アメリカ,日本,韓国,中国それにオランダの5カ国でチリの輸出の50%を占めると発表されました。余りにも寡占化が進んでいると政府内で心配する声が出ている。

3)アメリカの金利上昇を心配して各国の株式市況が後退しています。それにつれて銅の値段も3ドル70セントと一休み。チリで産出する銅の量は少しですが減少しています。それを心配するより高値の銅価からくる利益の使い方の方が心配されています。チリの銅の埋蔵量は世界の38%、2位はアメリカと中国の7%ですから後塵に追い抜かれる心配は全くありません。それで唯我独尊でいけるわけでしょうか。


(一般)
1)今週チリで一番の話題はバスの事故です。20数人が死亡という大事故になりました。バスが橋の上で事故を起こし、欄干を突き破って下に落ち,川のそばで横転するという大事故でした。前輪タイヤの故障と言うニュースも出て、じゃどこのタイヤだ(まさか私の会社の関係するブランドではないだろうねとか)大変でした。結局, 原因は居眠り運転による事故になったようです。しかしバスの事故により死亡なんて悔しい死に方ですね。自分で運転していての事故なら責任は自分ですから文句は言えないでしょうが。
同じようなことですが、サンティアゴ国際空港の発着ターミナルビルの3階から軽4トラックが下に転落。大破しました。
上記のバス事故も下の空港事故もガードレールの強度が国際規格でなく、単に飾りについているものにすぎないので事故になったという見方もあり, チリが1級国になるにはまだ時間がかかると思わされます。

2)あれから1年間立ったのですが、アンツーコの45名の死者を出した雪による陸軍の遭難事故に関し, またニュースが出ています。事故の前日,上官が下級兵士に無理やり酒を飲ませ酔っ払わせています。そんな状態で翌日雪の中に出て行った兵士が抵抗力の低下から急激に体温を下げ死にいたったのではといわれます。

3)チリの最南端ペンタアレナスでオイルのドラム缶を二つくっつけてボートにし, それに乗って流れている人間を海軍が発見、救助しました。台湾籍のイカ釣り漁船に乗っていた二人のベトナム人船員がこれ以上過酷な労働条件では働けないと船から逃げ出したもの。しかしペンギンが住むのにはぴったりの海かもしれませんが, 冷たい海に普通の服を着て飛び込むなんて勇気のあるものです?


(スポーツ)
1)テニス
国別世界大会開始。チリはアメリカと同グループに入っています。先のデービスカップ惜敗の借りを返したいところ。初戦のスペイン戦はなんと3対0で軽く片付けました。さて次の戦いはどうなるか。
この大会の優勝国の回数はトップがアメリカとスペインの4回,チリは2回で6位に付けています。さぁ今年はどこが優勝か?

2)サッカー
さぁいよいよ欧州遠征ですね。アイルランド,スウェーデン,象牙海岸の3チームと対戦。監督のアコスタは常識から行けば全部負けるのだがとコメント。一つは勝ってほしい。サモラーノとサラスがいたころ、欧州勢と互角の勝負をしていたのですが。サラスのイギリス戦での鮮烈のゴールが今でも目に浮かぶ。選手は21日,欧州に出発。

以上