チリの風  その212  07年2月19日―26日

チリの風  その212  07年2月19日―26日

連絡するのが遅れましたが、この土曜日NHKの地球ラヂオと言う番組の世界文化遺産コーナーでチリのバルパライソの紹介をさせてもらいました。5分間のスピーチでしたが、さすがNHK、日本の友人から「ラヂオを聞いていたら急に藤尾さんの声が聞こえて・・・神戸弁が良かった」とか、「始めて藤尾さんの生の声を聞きました」(チリの風のファン)などのメールを頂きました。
さてサンティアゴ・マラソンが近づき、相棒たちは緊張してきました。私はもうレースには不出馬と宣言しましたが、仲間に付き合って練習にも身が入っています。来週はいつものコースを2周(32K)。きついですよ、これは。
ところで南米にリュージュを普及しようと来られた女性二人組みはチリ、アルゼンチン、ボリビアをへてペルーに入り、そこでもリュージュ講演会を実施しました。そして現在はエクアドルガラパゴス島に滞在とか。でもその前に、リマで荷物をそっくり盗まれる大事件があったとかで、被害にあった小林さんの健闘をお祈りします。がんばれ!
私のアフリカ旅行記はその1からその4まで書いていますが、そのうちの第一部を来週中に発表したいと思っています。乞うご期待


(政治)
1) バチェレット大統領が休暇を少し繰り上げて首都に戻ってきました。休暇中も各大臣との連絡は怠らなかったので、大統領は何をしているのだとの野党の批判は的外れだと強気の発言。でもちゃんとコントロールをしていたのだったら、今回の不始末は全部彼女の責任となるのですが。
   閣議を直ちに招集してトランサンティアゴの問題点の確認とその解決案を検討中ですが、日曜日の新聞に、これらの問題点は既に昨年の5月の段階で外部の機関が詳細に検討済みと漏れてしまいました。それに対し政府は全く手を打たなかったことが明らかになってきています。
   利用者の声としては、
a)今までなら家の前からバスに乗れたが、バス停が遠くになり、ずいぶん歩かなければならなくなった。
b)バス・地下鉄を乗り継ぐので以前より面倒になった。
c)最終バスの時間が早くなったなどがあります。
特に最後の項目はちゃんと数字が出ており、夜の23時から翌朝5時までの間に出ることになっているバスの68%は運行されなかった由。走ったバスのほうが少ないわけだ。
   ただし私個人の関わりとしては
a)交通費用が安くなった。(今まで乗り継ぎは2回払っていたが現在は一回だけ払う)
b)バスの速度は変わりなし。頻度も変わり無し
とトランサンティアゴは順調に推移です。
ところで、月曜日、私の乗っていたバスが事故を起こしました。運転手が連結バスの感覚を誤り、追い抜こうとして前のバスに横腹が接触。怪我人は出ませんでしたが、驚きました。それから後ろの扉から、料金を払わないで乗り込んだ若者3人組がいましたが、運転手が車を止め、彼らが出て行くまでバスは動かないとしたので、乗客が出て行けと怒り出し、追い出しました。更にバスの中に入れないはずのギターを持った芸人や、アイスクリーム売りが以前と同じように出没しています。運転手が決まりを破って彼らがバスに入るのを認めているからです。まぁチリらしい。
それから正規のバスが来ないから乗客が困っているのを飯の種にして白タクならぬ白バスが横行しています。そのバスの一台がトラックに追突され4名死亡の大事故を起こしました。別に白バスでなくてもこの事故は起こったのですが、白バスだったからとして政府の間でこの対策が問題になっています。
   いよいよ夏休みが終わり、学生が大挙してバスや地下鉄に乗り込んできたら、新交通計画はどうなるのか?!その山場は3月5日です。
   古いバスは環境汚染として絶対に使用禁止を命令してきた政府がこのさい、うるさいことは言っておれないと、廃棄寸前の古バスを再採用することにしペンキを塗りかえ中。なんだか恥知らずですね。
   地下鉄の混雑も激しさを増し、なんと今週の詰め込みぶりは東京と同じくらいらしい。現在の一日の乗客は144万人とか。東京は世界的な詰め込みだからサンティアゴもそこまできたのかと灌漑深い(嘘です。そんなことで感心できません、ね)
   全く政治とは関係ありませんが、休暇を中途で戻ってきた彼女の顔は以前ほどふっくらしていません。どうしたのかな?連日マラソン練習でもして鍛えたから身体が締まったのか、それとも夜もろくに眠れずやつれてきたのか、どっちだろう?

 2)ラゴス元大統領がのどの手術で入院。喉頭ガンではないそうですが、彼を応援する陣営はかなり動揺しています。次回の選挙で彼が出るかでないかは与党グループに大きな影響があります。
与党を占める一党PPDはラゴス派と反ラゴス派に分裂しそうで、このさい、ラゴス(69歳)が引退してしまえば、この党内対立は消散するのでしょうが。反ラゴス派は次回の与党グループの候補選定でDCのアルベアルに投票したいとしています。

2)またフジモリのニュースが新聞に載りました。住んでいる場所を替えたとか(同じラス・コンデス区ですが、一軒家からアパートに引っ越し)ペルー側からしっかりフジモリの見張りをしてくれと注文が入ったとか報道されています。トレドの時と違い、現大統領のガルシアはフジモリを特に毛嫌いしているわけでもないし、フジモリの影響力も半年前に比べると著しく低下しているので(大統領の可能性の候補として第5位に低迷)、このまま放置してもチリ・ペルー両国間の緊迫した関係を生み出す原因にはならないだろう。
しかしガルシアの人気に陰りが見えてきたので、またぞろチリとの国境問題を持ち出し、国民の反チリ感情を煽る作戦に出ることは容易に想像できるが。


(経済)
1)どういうわけか原子力発電が話題になっています。政府の一部から21世紀になっているのにいつまでも原子力というと原爆としか頭に浮かばないようでは困ったものだとし、発電のひとつの方法として原子力発電を考慮に入れたいとしています。05年にバチェレットはチリに原発を導入しないと明確に発言していますが、与党党首が最近フランスの原発を訪問したり、導入に向けての動きは活発です。

2)銅の値段が上がって、これとつりあうようにドルの値段が下がっています。
  しかし不思議ですね。銅の値段が下がり始め1ポンド3ドルなんてもう夢だなと思っていたら(何しろ最近2.3ドルまで落ちたのですから)それがグングン値を上げて2.97ドルまで。しかし誰がこの価格操作をしているのか知りませんが、高いときに売って、安いときに買っておく。こんな単純な操作で2ヶ月ほどの間に何億ドルと設けた会社(個人)がいるのでしょうね。

3)外人重役などの安全性を調べた統計がラテンビジネス誌に発表されましたが、それによると最も安全というランク1はチリだけ。ランク2はコスタリカ、3がエクアドル、4がペルー、パラグアイパナマグアテマラ、アルゼンチン、5はメキシコとボリビア、6はブラジルドミニカ、ニカラグア、オンヅラス、最悪の7はベネスエラ、コロンビア、エル・サルバドール、ハイチでした。たまには言いたいチリ万歳!バチェレット良くやっているぞ!

4)チリ産サーモンから禁止物質検出。
カナダと英国でチリから輸出されたサーモンから禁止物質化検出され、そのロットは輸入禁止処分になりました。
これらの化学物質は成長促進や色を鮮やかにする、腐敗を遅らせるなどの効力があるのでしょうが、輸入元でもチェックしていることは承知のはずでなぜこんな不祥事が出るのか不可解。
チリのサーモン業者の組合ではチリは禁止物を一切使用しておらず、今回問題になっている物資がどのように発見されたか、どうしてサーモンの中に入ったのか鋭意、調査したいとしています。
06年のチリのサーモン売上は対前年28%アップの大幅上昇になりました。22億ドルの売上のうち、日本向けは第2位の7億ドルとか。チリのサーモンって美味しいですから、今回のクレームもチリと対抗する欧州の国からねたまれて起こった事件か?
日本の皆さん、スーパーマーケットでサーモンを買うときは原産国を調べて間違いなくチリと書いてあるものを買ってください。


(一般)
1)ビーニャ歌謡祭が行われています。夏の最後を飾るチリのビッグ・イベントです。今年は懐かしいトム・ジョーンズが来ました。私の時代の、40年前の歌手ですね。懐かしさで見ていたら、やっぱり声量が落ちてるし、動きも悪いし、そりゃ66歳で昔と同じステージができるわけがありません。
それにしてもチリ人は深夜までこの祭りをテレビで見ますが、翌日の仕事に差し支えるでしょうね。

2)チリにも高層ビルが立ち始めていますが、今まで有名だったエンテル・タワーは115メートル。ここから大晦日に打ち上げ花火が上がります。それを抜いてインヅスツリアル・タワーが120メートル。私はこのビルの隣りのビルで働いた時期があります。それらをはるかに抜いたコスタネラ・センターが工事中でこれはなんと250メートルの高さとか!!!
その建設費用は1620億ペソといわれます。

3)肥満が国に与える影響
  1年間に2億ドルから3億ドルのお金がチリ国内で肥満に関連した疾病治療にかかっている由。この増加を何とか抑えようと政府と民間企業が一体になって対策を考慮中。何しろ心臓のバイパス手術は4.5百万ペソとか肥満者は通常者の77%アップの薬代がかかるとか、悪い話ばかり。国としても企業としてもこれ以上肥満疾患を放置できないというわけです。
私がチリに入国した1979年ではチリはみんな貧乏でしたが、今のように太っていませんでした。金回りがよくなってハンバーガーとかフライドチキンとかポテトチップとか食べ始めたからでしょうね。

4) 映画「硫黄島」が封切られましたが、それに関連して栗林中将など日本陸軍や第2次大戦時の日本のニュースが良く報道されています。これはチリ人に日本は神がかりの不可解な国という印象を強めるのか、それとも統率が取れて、勇敢に戦ったという好印象を与えることになるのでしょうか?


(スポーツ)
1)サッカー
しかしサンティアゴで試合したのだから、せめて1対0でも勝ってほしかったが、アルゼンチンのリバー・プレーは強かった。リベルタドール杯の1回戦。2対1でコロコロを一蹴、楽しんで戻っていきました。
   国内リーグでは先週まで不敗のカトリカが負け、無敗はコロコロだけになりました。人気チームのチリ大学は今週も引き分けと勝てません。

先週のチリの風は量が少なかったとのコメントがありました。別に量を書くのが目的ではありませんが、今週は通常のボリュームです。念のため。


以上