チリの風 その213 07年2月26日―3月4日

チリの風 その213 07年2月26日―3月4日

チリ北部第4州のビク−ニャの近くに禅の道場があります、そこに今月から大学生になる娘が研修に行って来ました。その経営者はチリ人で、何でも福井のお寺で10年間修行したとか。道場内では日本語が使われると聞いてびっくりしました。例えば般若経を訳もわからず全員でとなえるらしい。(もっとも私もハンニャハラミタと言われても理解できません。実家の神戸の両親は朝晩となえているのですが)
その他仕事を始めるのに「サムハジメ」と言うらしい。サムって作務と書くのでしょうね。娘にとって良い経験になったようです。20人以上の人間が道場にいて,数人のアルゼンチン人,一人アメリカ人もいたとか。国際的ですね。そういう施設がチリにあり、そこに人が集まるというのが面白いです。
さて3日の土曜日,仲間と走りました。32Kを3時間2分で。もう疲労困憊です。午後は何も出来ませんでした。誰や、スポーツは身体にええとゆう奴は?
それからアフリカの旅(その1)を掲載します。その4までありますが,まずはその1。旅の初日から緊張の連続で、書いているだけで興奮します。まだエラーがあると思いますが,最終校正は全部終わった段階でします。


(政治)
1) チリは2018年先進国の仲間入りするというレポートが出ました。それによるとチリの独立200周年にあたるその年に、チリの一人当たり国民所得は年に20000万ドルとなり、それは現在先進国と呼ばれている国のなかで一番低い所得のポルトガルと同レベルになるというもの。そのころのポルトガルの所得がどうなるかわからないので一概には同調できない論理ですが、チリが先進国の仲間入りできればうれしいニュース。
しかしここに30年近く住んでいる私としては、先進国の仲間入りをするにはまず国民の意識の改革が必要と思います。

2) 今週のチリの話題としては,政府の海外留学奨励金の行方でしょう。野党は汚職の匂いがぷんぷんすると政府関係者(大臣の息子とか,政府次官の親戚とか)が優先的に選ばれていると攻めました。これに対し,政府はじゃ軍事政権のときの奨学生はどうだったか発表しましょうかと例の引き分け作戦に出ました。(チリでは攻撃を受けると相手側に同じ手で反撃する作戦が良くとられます)
この奨学制度を使ってイギリスで勉強したラゴス前大統領の息子で現在の大統領府代表のラゴスは自分の留学時代の成績を公表し,親の七光りで遊びに行ったのではないと反発しています。
バチェレットは奨学生の選出の透明化を図ると発言しています。
さて彼女は今週ガイアナでおこなわれた南米首長会議に参加しました。そこでブラジル大統領他と会談しています。
彼女の人気はトランサンティアゴの不評もあって日に日に落ちるありさまで就任1周年を暗い表情で迎えています。
   もっともそれを受けて浮かび上がるはずの野党の人気も今ひとつで国民の政治を見る目は覚めています。


(経済)
1) 中国発の世界同時株安問題はもちろんチリにも影響し,大幅な株価の下落を呼びました。2月の累計結果としては約3%の損失とついこの前までの絶好調とは大きな差があります。
それに関し、チリの場合はやや他国とはおもむきを異にするのではと思います。それはチリの厚生年金システム(AFP)がその投資先をチリに限定されていたので、その巨額マネーが(もちろんチリにすれば巨額という意味ですが)チリ国内に使用されており,それがチリの経済成長に貢献していたと考えられます。今回の改定で,それが諸外国にも回せるとなりました。つまり資金がチリから流出することになったわけで、各企業の資金繰りに影響が出ると見て、チリの株安を招いた可能性があります。
私の積立金もその中に入っています。どこに投資してもええから安全で高いリターンを期待しとうで。
それと現行の年5%の金利を下げるのはどうかとの意見も出てきています。かなり動きがあるわけです。

2) 失業率の低下
11月―1月の平均失業率が発表されましたが,それは6.1%と過去9年間で最低の数字になり、政府は自信をつけたようです。もっとも新聞にはこの数字は一部の女性が仕事を探すのをあきらめたからとの辛口の批評もついています。

3) 農産物の輸出
これが好調なんですね。チリの輸出の先兵となったのがブドウで、チリ農産物の名を上げました。これを利用してアボガド、キウイ、リンゴが後に続き、現在はさらにミカン、レモンと続々と輸出品目を拡大しています。


(一般)
1) トランサンティゴ計画
   市民の評価は最悪ですが(日本式評価では5段階の2か3)一応、事態は落ち着いてきました。都市の周辺,末端地区の住民は相変わらず苦しみが続いていますが、全体には混乱が終結しつつあります。ただし最終的には5日の月曜日を乗り越えれば,事態収拾となります。(その日に、全学生の新学年が始まります)
   先日,朝早く私がバスを待っていると,若い男が近づいてきて,「お願いがあるのですが」彼はプリペイドカードを持っていないのでバスに乗れない。で、500ペソ払うから私のカードで乗れないだろうかという頼み。かわいそうだから、私のカードを2度使い,二人でバスに乗り込みました。人助けです。
   地下鉄の人気が急上昇ですが、1平方メートルあたり7人の乗客とサンティアゴが東京の詰め込みを凌いだと発表されました。そんなもんで東京に勝ってもしょうがないねんけど。
大統領は地下鉄当局に運行時間を現行の10時半終電から深夜12時までに延ばすよう要請中。始発は6時半から6時に繰り上がっています。
(注 東京の総路線距離はサンティアゴのちょうど2倍とか)
ところでラゴス元大統領は記者との会話の中で、この問題に触れ「高速道路の認識器タッグがないと騒いだのを覚えているかい?その問題は全部解決したよね。問題が終わってしまった今、誰も話題にしない。トランサンティアゴも同じだよ。そのうち,この問題が解決されて誰もがそれを忘れることになる。君たちが大騒ぎしているだけさ。」
しかしすごい論理ですね。問題を起こしているのは政府の側で、それが解決されるまで市民に迷惑をかけるわけです。しかし解決されれば,問題があったことさえ帳消しになるなんてどういう頭をしているのか。
どこかの機関の調査で次の大統領候補の上位にランクされていたラゴスは今週の調査では12ポイントも人気を下げ、3位に沈没。このままどんどん下がるでしょう。

2) 航空旅
   07年1月の乗客数は新記録になりました。乗客総数は80万6千人。そのうち国際線が46万5千人と国内線の乗客を凌いでいます。国際線の乗客は前年対比45000人の増加と飛躍的。チリも観光国として認知されてきたのですね。

3) 確かにこの夏チリを訪問した外人観光客は9%のアップになり、その中では日本からの観光客の17%アップが光っています。がんばれ日本、もっとチリに遊びに来てくれ。
とは言え、数から言うと日本からはたった1788人でドイツからの12515人に比べるとはるかに少ないが。


(スポーツ)
1)サッカー
7月にカナダで行われる男子20歳以下の世界選手権のグループ分けが発表になりました。チリは弱い国ばかりのグループに入り1次予選突破は出来そうです(ごめん,甘い予想を立てて。相手国はカナダ,コンゴそしてオーストリアです)この大会には日本も参加しますが、そのグループはスコットランド、ナイジェリアそしてコスタ・リカです。日本も行けるかな?
ところで女子の20歳以下の世界選手権のチリ開催をFIFAに申請しています。その調査団が来チし、各地のサッカー場を調べた結果、「驚きました。チリの国情とかけ離れたひどい状態です。これでは世界選手権は,無理です」
とコメントしました。
チリ政府はそんなことを言わないでください、急いで、球技場の補修改修新設を行いますからだって。ほんまかな?
それからチリ代表がブラジル代表との国際マッチを3月24日にスエーデンで行うと発表されました。よーし、天下のブラジル相手に一丁やってみようじゃないか!がんばれチリ!
国内リーグではコロコロが無敗を誇り,ダントツ。カトリカは今週今シーズン低迷中の弱いチリ大学にも勝てず引き分けに終わり,ファンをがっかりさせました。


以上