チリの風  その214  07年3月5日―11日

 チリの風  その214  07年3月5日―11日

日中はまだ暑い日が続いていますが、朝晩は確実に涼しくなっています。
この土曜日から夏時間が終了し自然時間に戻りました。つまり夜が早くなったわけです。野党は早く暗くなると交通の混乱に拍車がかかるから夏時間の継続を提案しましたが、政府は面子もありそれを蹴りました。
さて4月1日のマラソンが近づいてきました。別にエープリル・フールじゃありません。先週は長距離耐久性をチェックしたので,今週は相棒とスピード試験をしました。16Kを全力で,きつかったです。古巣のBSからも数人参加するとのことでかなり大規模な大会になりそうです。


(政治)
1) 最初はやっぱりブッシュの南米訪問でしょうね。ブラジルでルラ大統領と親密な所を見せました。今まで、ブラジルはどちらかといえば反アメリカの感じで、チリのように明確なアメリカ寄りの態度を表明していませんでしたが、何かの裏取引があったのでしょう、一緒にやっていきましょうと両大統領がニコニコ顔で写真に写っています。怪しい?
同じ日に、チェベスはアルゼンチンを訪問,キヒネル大統領と親密振りを見せ付け,テレビの番組でヤンキー・ゴーホームと叫んでいました。
そのどちらの動きにも入れてもらえなかったチリはブラジル,アルゼンチンに比べると政治的に存在感の小さな国というのが明白になりました。頭の中では分かっていても、残念な気がするのは事実です。
おまけに、アルゼンチンはチリ向け天然ガスの供給を時折ストップして意地悪をするというのを以前から繰り返えしていますが,今回は小麦のチリ向け輸出を止めました。チリのパンの値段が上がりそうです。
ボリビアのモラレスは訪日して、日本からの投資をもっとお願いしたいとしたらしいですね。(国内は水害でかなり被害が出ています)
ベネスエラ,エクアドル,ボリビアそしてアルゼンチンの連結が深まってきましたが、いつまでそれが続くのかな?特にアルゼンチンは情勢が変われば,仲間をすぐにでも裏切るでしょうが。
それらに関連して、最近の南米は軍事拡大の過熱化が言われています。コロンビアは今年の予算が40億ドル、ペルーが6億5千万ドル、もちろんベネスエラの軍事物資の買い付けはそれらよりずっと上でしょうね。けちのアルゼンチンでも1億ドル以上とか。チリだって例のアホな法律によりコデルコの利益の何%が軍隊の懐に直接入るので今年なんか笑いが止まらないほどの予算です。じゃ派手に戦闘機でも買おうかとなっています。いつになったらピノチェットの作り出したその制度を変更できる勇気ある大統領が出るのですかね。もうピノチェットの亡霊に脅かされる必要はないのに。


(経済)
1) 地球温暖化や対アルゼンチン問題からエネルギー源の選択が最近特に問題になっており,その中でも原子力発電にスポットが当たっています。もちろんまだ政府内で統一意見が出るほど煮詰まっていませんが。与党内で賛否両論があり、これからいっそう激しい駆け引きが予想されます。

2) アメリカのある機関の発表では,ラテンアメリカの中でチリが知的所有権を最も尊重する国となっています。私が知人に「チリはそんなものないじゃないか,道端で海賊版CDとかDVDとか売られており,大学生も本を全部コピーしているし」と言うと、「他の国がもっとひどいということさ・・・」と軽くいなされました。

3) チリの2月の物価上昇率はマイナス0.2%でした。バス代が何日も無料だったというのも響いているらしい。1月の過去12ヶ月の経済成長は4.6%とか、まぁまぁですね。
電気製品(PCやテレビやカメラ,携帯電話など)の価格下落は著しく1年前の30%とか40%ダウンまで報告されています

4) フォーブスに10億ドル以上の資産をもつ人間のリストが発表されました。世界に947人いるこのランクの人間の中に、チリからは3人が登場し,これはラテンアメリカではブラジル,メキシコについで3番目でした。しかしトップのセバスチャン・ピニェラ(先の大統領候補)は128億ドルの資産とか,いったいどこからそんなお金が生まれるのかな?まぁ他人のことを妬んでもしかたないですね。


(一般)
1) まだまだトランサンティアゴの話しが続きます
土曜日,サッカー教室のため私は日本人学校に行きました。これまではバス1本で行けました。それは大体15分おきに来て、所要時間は30分。つまり1時間前に家を出れば間に合いました。今は3本のバスに乗り継ぎです。最後のカンタ・ガジョから学校までのバスが来ません。かなりの人が私の周りで待っていました。30分待っても来ません。遅れるのがいやだから,タクシーを探したら,それもこないので、歩き始めました。早足で30分と見ました。半分くらい歩いた所でそのバスが来ました。バスはバス停しか止まらないのであわてて停留所まで走り,汗をかきながらバスに乗り込むと、中にはさっき一緒に待っていた人たちがイスに座っていました。確かにこんなことを毎日繰り返していればいやになりますね。
   これに関連しての話題で、

a) 自転車,オートバイの売れ行きが増加中。

b) 今までは3月から自家用車の交通規制が行われましたが,新交通計画が上手くいっていないので、今年はそれを4月からに延期しました。すると今まで使われていなかった古い車まで道路に出され,交通渋滞が一気に悪化とか。打つ手を間違っている例でしょうね。

c) それに地下鉄が限界まで乗客を運んでいますが,痴漢が続出して女性客から怒りの声。日本のように女性専用者の設置検討が始まっています。こんな所で日本の名前が出てほしくはないですが・・・。
   しかし日曜日の新聞の特集記事で,政権1周年を迎えたバチェレットは「実はこの新計画の延期も考えたのですよ」ともらしています。しかしそれを言ってはおしまいよ、大統領。部下の身にもなってみてね。彼らは新聞記者の追及に「問題はありません」とか、「問題は軽減しています」とか、「問題の解決案を探っています」とか、「悪いのは契約を守らないバス会社だ」とか毎日違うことを言って逃げてるのに、親方が自分で「あまり自信なかったのよね」などと言わないでください。
   まぁ彼女はそれくらいの実力でしょうが。
   この新交通計画に反対する地域住民の動きが活発になり、この週だけで21の抗議行動が記録されています。しかし野党も考えが甘い。私なら地域の住民をたきつけて 「私たちはみなさんと一緒に交通計画の改良を要求していきます」とすればすんなり味方になってくれるはず。その後、反政府のスローガンを植え付けるわけです。
   しかし現行380ペソの運賃が500ペソなんかにアップされれば、住民は黙ってないでしょうね。値上げ発表翌日のサンティアゴは街中が麻痺するくらいの大混乱は避けられません。

2) オペラ歌手のプラシド・ドミンゴサンティアゴ訪問。フリー・コンサートを行いました。行きましょうと言われていたのですが、有名歌手のフリー・コンサートなんて無数のファンが詰め掛けて身動きも取れず、
音楽を楽しめるどころではないとして断りました。これも政府が不人気挽回のために用意した計画じゃないかな?テレビで見ると確かに会場のアルマス広場は満員の人手でした。

3) 昨年バスがティンギリカ川に陥落し、多数の死傷者を出したツールブス社の当時の社長や運行責任者の責任を問う裁判が始まりました。運転手が正規の休憩時間を与えられず、連続運転を余儀なくされたため,過労から居眠り運転になり橋げたを破って川に転落したというのが検察側の事故の展開ですが、弁護士側はどういう論争を挑むのかな?その社長を私はもう20年以上も前から個人的に知っているだけに裁判の行方が気になります。

4) 第11州の児童保護局の女性ダイレクタ−がマリファナに関連して逮捕され免職になりました。彼女はマリファナが好きですとはっきり答えています。それが見つかった原因は、彼女の車を友だちに貸したら,事故をおこし、警察が車を調べていたら、マリファナが見つかったというもの。

5) 大多数の大学で今週から新学年が始まりました。伝統の通り,授業の最初の日,新入生いじめが行われました。新入生の靴を脱がせ、カバンを取り上げてから街にでて乞食をして来いと校外に追い出すとか,髪の毛を刈り上げる、ゴミをつける(マヨネーズとかケチャップ),服を破るなど狼藉のしほうだい。これがもとで入院する学生も出ています。いい加減に大学当局もこんな悪さを止めさせなければ。私の娘もこのひどい悪戯に半泣きで帰ってきました。


(スポーツ)
1) サッカー
  あかんなぁ、コロコロはエクアドルのキトに行き、リベルタドール杯の試合を闘いましたが、惨めに敗戦。これで2戦2敗で、2次リーグへの進出は苦しい。その弱いコロコロが国内リーグでは無敗ですから,チリのサッカーファンは外国との試合を考えないほうが良さそうです。
  そのコロコロは今週はチヤンでニュブレンセと対決。これにも勝って無敗の7連勝です。
  コロコロの宿敵チリ大学は下位に低迷し,ファンはアルゼンチン人の監督を解任するよう要求しています。
  さて国際親善試合のチリ戦に出るブラジル代表メンバーが発表されました。ロナルドはよばれていませんが、ロナルディニョは召集されました。どんな試合になるか楽しみです。
  エクアドルで開催中の世界選手権の出場をかけた17歳以下の南米予選でチリは負けが込み,A組の最下位で本大会出場はほとんど絶望。あかんな。

以上