(政治)

1) チリ生産商業連合CPCの年次総会の席で、会長が列席していたバチェレットを前にしながら政府批判。これには驚きました。労働組合員のデモ時の暴力行使や下請け労働者の過保護などから、政党の汚職問題、一般市民の安全問題まで各種の例をあげて、政策の過ちもしくはマネージの不足を強く訴えました。数年来,財界と政府は良好な関係を維持していたのですが。
彼女はその場では軽く防戦しましたが,翌日,気持ちが落ちついた所で厳しい言葉で批判の応酬。「財界と政府は一体となってやっていくべきで相手を批判するだけでは望まれる新しいチリは生まれない,おまけに何ですか、あの会長の傲慢な態度は。」
政府もバチェレットに続いて同会長を批難する声明を発表。もう一つの財界代表グループのソフォファは私たちの団体は政府と一体ですとごますりを見せる。

2) 政府の窓口をしていた大統領府長官のラゴス(前大統領の子供)が突然辞任しました。なんでも次期の総選挙に出馬するそうで、その準備のためPPD党の役員をするからだとか。選挙が近づいてきたのですね。彼は第5州の海岸地区の候補らしいが,その選挙区に右翼の前大統領候補ラビンも出馬予定で,彼がラビンに勝つ可能性は少ないでしょう。バチェレットはその辞任の報に驚き慰留したがだめだった由。
   さらに彼の後任になったのは国営テレビTVNの社長で、ラゴス大統領時の大臣だったビダル。これはラゴス前大統領批判が高まる中,それを抑える役目を狙って起用されたと噂されています。そんな男を任命せざるをえないバチェレットも可愛そう。(チリでは国営企業のトップは政府が任命しますから,地下鉄の社長がコデルコ総裁になったり、テレビ局から政府に戻ったりするわけです)
   そうそう、一人の大臣だけでなく,内閣の大幅改造も噂されています。その中に自分も入っていたりして・・・(バチェレットの辞任ですよ!)
   バチェレットはボリビア訪問して,そこでブラジル大統領と面談すると発表されていましたが,それは延期されました。今週はアルゼンチン訪問で,次期大統領のキヒネル夫人との面談が重要そうです。この外遊に共産党のメンバーも同行とか。共産党と大統領の接近なんてアジェンデ以来なかったことです。次の選挙では与党と共産党の連合も噂されています。DCが出て行った跡を共産党で埋めるのかな?
   チャベスが落ち目になっていく中でブラジルのルラの重要性がまし、ボリビアのモラレスはチャベスからルラに舵取りを変更するのか注目です。
   バチェレットとしてはこの二人と上手くやっていければ,チャベスもアルゼンチンのキヒネルも無視できますからね。

3) しかし国内のDCの内部争いはうんざりですね。党首のアルベアルは叛乱議員サルディバルの除名を主張していますが、DC党員で元大統領のフレイが現在我が党に必要なのは引き算ではなく足し算だと訳のわからないことを言っています。(彼を除名して党員の減少は避けたい)まぁ彼を除名するのは党分裂の開幕と考えるのは当たりでしょう。
もっともサルディバル・グループの属していた議員がアルベアルに擦り寄る例もあり,政治の世界は一筋縄では行きません。

4) バチェレット大統領はトランサンチィアゴの開始以前にこの計画は問題点を多く隠し持っていることを知っていることが確認されました。「私はなんか上手く行かない気がしたのよ」とのんきなコメントをして馬鹿にされた彼女ですが,それは単に責任逃れだったわけです。じゃ今から何をどうすれば問題の終了、もしくは軽減が出来るのか早く最終提案を出してもらいたいもの。運輸大臣は12月31日までに問題の目途がつかなければ辞任するといっていますから,彼の辞任は免れないでしょう。
バスの路線変更がかなり発表されています。新型バスが到着して,ルートを増やす余裕が出てきたのですね。

5) 与党連合から離脱したグループ(チレ・プリメロ)が野党のRNと最初の提携を結びました。これがさらに進んで党としての連立まで行くのか
注目される所。これに分裂したDCが参加かな?

6) ピノチェットが死去して1年たちました。やっぱり彼の晩年の影響力低下は著しく,1周忌にも目立った動きは見られません。

7) 来週からフジモリの裁判がペルーで始まるみたいですね。