チリの風  その107  05年1月9日―15日

いつものように昼食を会社の食堂で職工さんと食べていると
「藤尾さん、髪の毛、少し切ったらどう?チリでは年寄りは髪の毛を短くするものだよ」
「藤尾さん、いつもマラソン練習してるけど、ギネスにのるんじゃない?何回レースに出場しても一回も勝てなかったランナーとして」
「藤尾さんが、勝つレースは最後のレースだね。棺おけに入って皆の前を歩く。全員が藤尾さんの後ろを歩くじゃん」
こういう雰囲気で毎日、食事して楽しいんかな?


(政治)
 今週は盛りだくさんの話題ですね
1)ラバンデロ上院議員の幼児性的いたずら問題
本当に下らない話題だけれど、チリ中が見守っている感じ。何でも彼は30年間もこういう趣味を止められず問題を引きずっていたらしいが、地位と金を使って表向きにさせず、隠しつづけていたらしい。それがここにきて一気に爆発し裁判沙汰に。その性的いたずら例の中でも目立つのは、現国家安全委員会の委員長(女性)と一時同棲していて、その彼女の息子にもいたずらをしていたらしい!!??
しかしその上院議員はテレビのカメラの前で、「自分を落としいれようとする策略に負けず皆さんのために戦っていきたい」と強気に表明していたので、当初、国会議員に対する冒涜だとか、スキャンダルで彼がかわいそうと言っていた同僚や、彼の所属するキリスト教民主党(キ民党)も次第に見限っていく様子。しかしどこの国にもこんな恥さらしがいるものですね。   

2)そのキ民党ですが、週末に党大会。今年実施される大統領選挙の党内候補者選びが熱烈でした。党内外の人気から言えば、前外務大臣のアルベアル(女性)ですが、それに対抗してキ民党党首のサルヂバルが「人気という点でいけばアルベアルも与党を構成する社会党のもう一人の女性候補者バチェレトに勝てない。つまりキ民党が与党内統一候補選に出て勝つ可能性のあるのは(男性の)私だけ」という論法。嫌味なやつだが一理はある。しかし、最終的にはアルベアルの順当勝ち、チリでは女性の進出はまだ先のことという予想を吹き飛ばしました。
さてその与党内の競争相手、バチェレトは今週ニューヨークに飛んで、大統領になったときの予行演習。ヒラリー・クリントンとも面談しています。

3)ピノチェットは2百万ペソの保釈金を払って仮釈放。もっとも監獄に入っていたわけではありませんが。なんだか、ここまでやったからもうこれくらいにしましょうという風に見える。しかい実はまだ後一つ二つどんでん返しがあるはずです。でないと見ていて面白くないもの。彼も逃げ切る自信があるでしょうが、それが一瞬覆りそうになる瞬間が来るはずです。なんだか秘密を握っているようないいかたですが、もちろん私は素人、当たるも八卦当たらぬも八卦

4)元公共事業省の大臣は、国立銀行(国の出資の商業銀行)の頭取に就任しました。
どこからも大した反対が出なかったようで、無事に就職。いろんな事故の責任も取らず、すっと逃げ出して、すぐに就職。そんなことでよいのかと思ってしまうが、日本でも同じかな?
さらに不可解なのは、この事件で下院議長が更迭されましたが、新しく議長に就任した人間が翌日、国会でその承認を確認する投票で、なんと否決されました。これは与党側の人間が何人か欠席したために起こったチン事件ですが、いったいチリの国会、どうなっているのだろう。否決された議員は再度、議長職に挑戦すると言っていますが・・・。


(経済)
1)一番、興味深かったのはデパート業界2番手のパリスに、スーパーマーケットの大手ジュンボを持つ会社が買い付けを表明。この社長はドイツ生まれで子供の頃両親に連れられチリに来ていますが、(戦後ドイツから南米に移住してきた多くの家族の一例)それが成功してチリのみならず、隣国アルゼンチンでも小売業界に大きなマーケットシェア−を占めています。この買い付けが成功したら、チリデパート業のトップ、ファラベラとの戦いが興味深い。

2)アルゼンチンからの天然ガス買い付け(供給)問題に絡んで、この先の不安を感じて株価がさがり、一部から経済大臣の辞任を要求する声もでています。
おまけに来週からガソリンが1リットル当たり5円も上がるらしい。

3)厚生年金
チリでは、従業員(独立して一人で働いている人間も含め)は厚生年金に加入する義務があります。それを扱うのは、以前は国でしたが、現在は私企業が扱っています。
仕組み自体は良いのですが、いかんせん、各自の積み立てた金額を元に老後の設計(年金支払い)を立てるわけで、将来、受領額が政府が最低と考えて
いる月75000ペソ(約1万5千円)に達しない人が大勢を占めています。(通常は男性65歳、女性60歳が年金受領開始時期です)
とくに女性の場合、40%近くが最低ラインに達しないといわれています。


(一般)
1)交通
サンティアゴ市内の目抜き通りアラメダを歩いてみました。中央分離帯に使われているセンターの公園をはさんで、東西に走る片道4車線の道路です。その内、南側の道路の補修工事が開始され、車両はここを通れません。バスは北側の道路を分けて東行きと西行きが共有していますが、さすがにもうバスの渋滞、数珠つなぎで、見ていても気持ち悪くなるくらい。そこを歩行者が無理して渡ろうとするので毎日けが人。バスにはねられて死者も出ています。チリらしい。
それにしても、チリは夏のバケーションシーズンに入ると見事に交通量が減りますね。毎日、会社のバスで市内から郊外の事務所まで通勤していますが、車の流れが目に見えて減っています。
最後に、先日公表された市内公共バスのテンダーの結果が、政府から最終的に確認されました。新らしく路線を獲得したバス会社が、独占的にバスの運行を始めることになります。上手くいくかな?

2)インカの壁の落書き
捕まっていた二人のチリ人のうち一人が出獄。彼はその場にいたが、落書きには参加しなかったとされた様子。もう一人はどうなるのかな ? 

2)政府の観光局の発表では2004年に観光産業は12億5千万ドルを生み出し、対前年10%以上のアップの由。鉱物資源の輸出などには遠く及ばないが、毎年チリを訪問する観光客が増えていることは喜ばしい。

3)サンティアゴの夏を飾るジャズフェスチバルが来週から始まります。毎年、これを楽しみにしている私ですが、残念、今年は参加できません。

5)TVN(日本でいえばNHK)のネットに日本の話題として、日本は中国の侵略を恐れ5000人の兵士を配置とありましたが、長崎沖の孤島のことでしょうか?
まさか、中国が九州に上陸することは無いと思いますが。
でも北朝鮮のミサイルが落ちることは・・・あるかな?


(スポーツ)
1)テニス
久しぶりにチリ選手の活躍が、話題になっています。ゴンサレスニュージーランドの大会で優勝。マスを抜いてチリのトッププレーヤーになりました。
もうすぐ始まる世界4大大会の一つ豪州オープンが楽しみです。
彼のコーチをしているのは、デ・ラ・ペーニャでアルゼンチン人です。彼はチリのデービスカップ・チームの監督もしていますが、ところが正式にベンチ入りをするには国籍がチリで無ければなりません。先のオリンピックでの活躍を勘案してチリ政府は彼にチリ国籍をプレゼントすることを提案していますが、チリ人コーチの間からそれに反発する意見が続出しています。どこでもこの手の問題はセンシチブです。

2)サッカー
来週からの公式戦開始を控えて、練習試合が始まりました。今週はコロコロ対カトリカ、コロコロ対チリ大学が行われ、最初コロコロが連敗。チリ人の半分はコロコロファンだから、国民の不満は大変なものです。私はカトリカファンなので、昼食時など、カトリカと一緒のテーブルにはつきたくないって・・・アホな話。
しかしコロコロの財政難もひどいもので、選手がサッカー場に行くのに、子供用のスクールバスを使用していました??
それから20歳以下の世界大会の南米予選がコロンビアで開催されています。チリはウルグアイパラグアイなどと同じグループです。チリが南米で勝ち抜くなんて、当分考えられないけど・・・。やっぱりテレビの前で応援してしまいます。


さて来週はバケーションで、アルゼンチンのウスアイアに行きます。で、チリの風の掲載が少し遅れるかもしれません。


以上