(政治)

1) 政党間の統合
ピニェラは良く眠れないのではないのでしょうか。野党連合の間の溝が深まり、一触即発、20年以上続いた連合の終焉さえ覗わせます。共産党をどのように連合に組み入れるかの問題ですが、社会党キリスト教民主党DC組みと、もう一方のPDDとPSRD、こっちは共産党に近い、に分かれます。今年の地方選挙の候補者選びから波長が合わなくなっています。 野党側の亀裂は与党側にとっては好材料だから、ピニェラが眠れないというのはうれしいからですかと聞かれそうですね。以前からチリの風で書いているように、私の見るところ、野党側が分裂し、力を弱めれば、与党側も分裂します。ピニェラは与党側のRN党ですが、最右翼UDI党から常に圧力を受け、お前が大統領になれたのは俺たちが応援したからなんだぞと言われています。もし野党側が分裂すれば、2年後の次回の大統領選挙で統一候補を出せるわけがなく、それならRNもUDIと組まなくても選挙戦を戦える。もし与党のRNが野党のDCと組めれば、勝てるかもしれません。(その時は右翼、左翼、そして中道の3者の戦いになる)
したがって、ピニェラは新聞などのメディアだけでなく、野党側の動向に関する情報を集めさせ、夜中までその分析に当たっているでしょう。今週、社会党の党大会があったとき、ピニェラは祝辞を送っています。チリの将来のために一緒に戦いましょうって。これってお祝いなのか嫌味なのか?  チリの経済は好調です。普通こういう状態のとき、大統領の人気は上がるのですが、ピニェラの場合は失業率が下がっても彼の人気は上がりません。政府でも不人気に慣れてしまったのか、人気回復策の手を打つといった姿勢はありません。不思議ですね。

2) アルゼンチン問題
隣国アルゼンチンはフォークランド問題でイギリスと戦い、今回はスペイン石油会社の国有化でスペインと争っています。国内の不満をそらすために外国と戦うというのは昔から良く使われる手段ですが、何をするか分からないアルゼンチンの隣に位置するチリは落ち着いていれません。
確かに両国の間で結んだアルゼンチンからの天然ガス供給の協定を彼らが守らなかったのは少し前のことですね。
そこでピニェラとすれば、諸外国に南米の中で安心して契約の出来る国としてチリを売り出すチャンスです。どんな手を考えているのでしょうか?
アルゼンチンはスペイン資本マルサンに売却していた飛行機会社を17年間の期間の後、最近、国有化しました。そのアルゼンチン航空は最初の年から赤字。国に営業能力がないなら、このYPF国営石油会社の将来も心配ですね。