(一般)

1) 病院の問題はこの先チリの注目を集めそうです
今年の2月にバチェレットの訪問を受けて第7州の小さな町で公立病院の開所式がありました。ところが2ヶ月たってからその町の町長が式は嘘で、未だに機能していないとテレビカメラの前で爆弾発言、大問題になりました。なにしろ、開所式のために近くの病院からベッドを借りてきて、職員を病人に仕立ててベッドの中に入れ、大統領と会話させたとか。大統領は怒って7州の知事のクビをきりました。また厚生大臣も同州の厚生事務所長を更迭。しかし彼は事前に厚生省に通告し、病院の開設式を遅らせるかどうか相談しているのに、大統領の日程に合わせて無理を指示してきたと反応しました。つまり責任は自分でなくサンティアゴの幹部だと言うわけです。もっとクビが飛ぶかな?野党は厚生大臣の更迭を要求中。
7州だけでなく北のほうでも似たような事件があり、チリの公立病院の不手際が目立っています。
バチェレットの苦い顔が目に浮かぶようですね。

2) トンプキンスの話題
これはどちらかと言うとオタク向けの話題です。
アメリカの富豪ダグラス・トンプキンスはチリ南部の大地主です。
その彼はチリ在住14年にもなるのに未だに観光ヴィザを使用しているらしい。それを政府が批判しました。
ところで彼は世界の自然保護団体に1230万ドルを寄付している。(もちろんその一部はチリにも回ってきている)
彼がバチェレットを自然保護の考えがないと非難したのを受け、政府が彼の攻撃をはじめたのですね。もし彼が永住ヴィザを持っていないのなら、政治的発言はできないと言うわけです。外人法にはそう謳ってあります。彼はチリには年に3―4ヶ月しかいないから永住ヴィザがあっても無くても大きな変化は無いと涼しい顔。
もっとも与党の中から彼をかばう議員も出て、政府は自然破壊をもくろむ企業家には雇用促進の価値ありと甘い顔をしてすりより、真に自然保護を願う彼を非難するのはおかしいのではないか。確かにそうですね。
与党議員のジラルディはケネディJRがバチェレットと会談したとき、自分は大統領はアイセンの水力発電所ダム建設に反対しているのだと思ったと発言。同じ与党内でも見解の違いを明白にしています。これってバチェレットにとって痛い発言でしょうね。

3) 捕鯨問題
とにかくチリで捕鯨問題と言えば、日本を叩くことになっていますが、今週の新聞に今シーズンの日本の鯨の捕獲量が985頭の予想をはるかに下回る551頭だと発表されました。日本政府のコメントとして自然保護グループの作業妨害がその減少要因としています。
しかし日本政府も「鯨の虐殺をしているのは日本だけ」などという表現に、「捕獲と虐殺の違い」「絶滅の危機とはなにか」など数字を挙げて説得すればよいのですが・・・。

4) サンティアゴの大聖堂に置かれた聖カルメンの像が焼かれました。
カルメンと言うのはチリの母と呼ばれるそうで、その像は1828年にフランスで作られたものとか。それが金曜日、教会で使われていたろうそくで像の80%が焼かれました。犯人と見られる人間は捕まりましたが、カトリックの多いチリでは許せない暴挙と報道されています。

5) 海軍の帆船エスメラルダはその優雅な船体で有名です。日本にも何度も航海の途中、寄港しています。しかしその船で軍事政権時、拷問、虐殺が行われたことは周知の事実です。今週、1973年の9月、教会の神父が拉致されこの船で拷問されたあと、死亡した事件に関連して元海軍の高官6名が逮捕されました。30数年たってもまだこのときの実態が明らかになっていないわけですね。
今週、開催された社会党の創立75周年記念の式典でバチェレットは自分と母親がグリマルディ村で軍隊に拷問されたことを話し、その途中涙くみ、話が続けられなかったとか。無理もないですね。