チリの風  その119   04年4月4日―10日

もう一日の最高気温が20度なんていうすっきり涼しい日がありました。朝晩なんて6度とか7度まで下がっています。秋ですね。
さてマラソンシーズンが終わってから、毎週山登りをしています。あきもせず同じ山に登る私ですが、気持ちいいですね、山を歩くのは。山の風はもう完全に秋風です。
さて今週はほとんどニュースらしいニュースがありませんでした。珍しいくらい。何もニュースがないのが今週のニュースというのは洒落にもなりませんが。


(政治)
1)ローマ法王の死去にともなう大騒動はやっぱり政治的な背景無しには語れないでしょうね。チリでこれだけ法王の死去が話題になり続けるのは、与党にとってこれが悪いことではないからでしょう。政府もバチカンと友だちのスタンスを見せておきさえすれば、国民の反感は買わず、少なくとも次の法王が決まって再度大騒ぎをするころまで、国内政治は休戦のようになって時間稼ぎになる(大統領選挙の各候補の運動が消えてしまうから現行のことが有利に運ばれている条件の維持が可能)深読みしすぎかな?

2)同じような話題ですが、ラゴス大統領のお母さんが亡くなりました。なんと108歳で。しかしチリでこれだけの高齢は珍しい

3)公共事業省の不正事件を調べているチェヴェシッチ判事のコンピューターが盗まれました。
しかし彼女も一時はその名前がしょっちゅうニュースになっていましたが、長い間、マスコミから消えています。もちろん、その間、彼女が居眠りをしていたと言うより、すっきり活動結果を発表できない何かがあるのでしょうね。報道規制もあるだろうし・・・
しかし事業省の高官のコンピューターを押収した彼女のPCが盗まれるなんて、不思議な因縁。これで彼女の捜査の秘密が全部、敵の手に渡るのか?政府の間でもその情報が流されたりして・・・じゃ政府筋が盗ませたのか?まさか


(経済)
1)アメリカドルの暴落が近い?
これはチリ経済に大影響を与えますが、最近のペソ価格は対米ドル対し、強含みです。これはチリから出たニュースではありませんが。

2)しかし原油価格の暴騰はどういうシナリオになっているのか?
世界の原油生産国で10%以上のシェアーを持っているのはサウジアラビア、米国とロシアの3カ国だけ。あとは数%シェア-。
この後も価格の暴騰が噂され、世界経済に大影響を与える可能性大。しかしアメリカは赤字が続いて経済破綻寸前といわれるが、それとこの原油価格の暴騰はどんな関連があるのか?
チリでは7週連続のガソリン価格の上昇が発表され、来週からバス代が320ペソから340ペソへ20ペソの値上げになる。7週連続で上昇ですからね。チリはガソリン税が高いので、政府としては、銅の値段の高値安定とあいまって税収増でホクホクでしょうね。しかし運送業界は死ぬ思いですが、マイカー族でも負担増が顕著。
しかしガソリン税をある期間下げるとか、特別財源からガソリン価格安定のための補助を出すとかの抜本的改革はせず、生活困窮者にボーナスを出して援助する方向で政府は事態を切り抜けようとしているが、さてどうなるだろう。

3)アルゼンチンの天然ガス問題
もう毎週のようにこの話題が出ますが、アルゼンチン産の替わりに石炭を使うと、地球の温暖化、首都圏の大気汚染など、他の問題の深刻化が心配されます。かといってアルゼンチンからもってくる代わりに他国からのものにするとコストが上がる。
軍事政権時の大蔵大臣だったビッヒは政府の政策を批判して、アルゼンチンと波風を立てたくないとして、気を使いすぎ、自国のエネルギー政策が混乱してしまっている。はっきりしているのは、アルゼンチンから来月はいったいどれだけの量が送られるか心配するのではなく、それを使う消費者に、アルゼンチンのものを使いたければコストは低いが供給削減の危険がある、一方他国産のものを選べばコストはあがるが安定性はある。この選択をさせれば、問題は一挙に解決する。


(一般)
1)タバコ法案が国会へ
これが成立するとチリは南米ではブラジルに続いて2番目に喫煙者に厳しい国になります。現在国民の40%が喫煙者ですが、これによりタバコの宣伝の禁止、公共の場所での喫煙の禁止などが実施されます。どうなるかな?

2)サンティアゴ公共運送問題
現在3000社の小企業がサンティアゴの公共運送を担っているが、これを近代的な10社に肩代わりさせようというのが新計画の骨子。
サンティアゴの公共輸送は欧州レベルの地下鉄とアフリカレベルの路線バスといわれるが(ごめんアフリカの人)これをどっちも欧州並みの高いレベルにもっていきたいとするもの。つまり現行の300路線を10の幹線、10の支線に集約し、バスの大型化(新車導入)、走行距離を現行の平均62キロから幹線36キロに収縮しバス代アップを縮小すると見かけはよかったが、テンダーに勝った企業が資金力不足で約束の時期に約束したバスをもって来れないことがはっきりしたことから混乱が始まったわけ。現行バスを運営する小企業グループを牛耳る男が、じゃ、ちょっと政府をいじめようかと、路線を走っているバスの数を減らしたので乗客がドアから落ちそうになるくらいの混み方になっているというのが実態。
私の住んでいる東部地区ならエスクエラ・ミリタール駅までバス、そこから地下鉄にすればバスの運行距離は半減以下、幹線道路でバスの混み方は激減、乗り継ぎ料金を認めれば、現在のバス代、地下鉄代を別々に払うより安くなるのですが・・・。同じ事を地下鉄の始発駅で行うべし。地下鉄の車両の増車は国が保証人だから車両メーカーもよろこんで納入するでしょう。
今週、長距離バスを運営する会社を訪問して、そこの社長とこの問題の話をしたら、彼も政府の方針のまづさや市内バス組合の政治力に押されている状態を嘆かわしいと言っていました。

3)捕まった犯罪者の半分はスーパー・マーケットでの犯罪
04年は4百万件の犯罪が記録され、そのうち逮捕されたのは27万人。その内約半数がスーパーマーケットでの犯罪によるものだったと発表されました。
いつだったか、昨年、私も同じ犯罪の目撃者になり、店の警備員に通報したら、その後、犯人グループのメンバーから店を出た直後、逆に脅されたことがありました??!!
(スーパーマーケット犯罪での逮捕者増加は、理由があります。以前は被害額が3万ペソ(約5千円)以下だと犯罪にならず、説教して放免になっていました。したがって頭の良い犯罪者は窃盗をするとき必ずそれ以下の額しか盗まなかったわけです。つまり犯罪といいながら、商品を持って店の外に出るか、運悪く見つかっても商品を戻して、自分はしばらくして外に出ることができました。それが法の改正で犯罪に相当する被害額を半分にしたため、犯罪検挙者が急増したもの。なるほど理解できる話です。
しかし家族の誰かが犯罪の被害者になったパーセントが04年11月で37%と言われますから、全国で3軒に1軒は被害家族というわけです。
ピノチェットの時代はこんなに犯罪はなかったのに・・・

3)汚職の話
会社経営者のアンケートとして、最近汚職が増えているとは思わないが、その60%が自分の周辺で起こったことがあると回答しています。トップレベルで60%の高さなら、部長、課長クラスならそれより高い割合でしょうね。チリもけっこう賄賂が効くんだと認識。幸い、私は今までこれを商売に使ったことがありませんが。

4)仏教の人気
チリでも仏教が知られるようになってきました。昔からZEN(禅)は知られていましたが、最近話題はチベット仏教です、ダライラマってチリでも有名です。ラスコンデス文化センターで現在チベット展が開催されています。
新聞記事ではこの仏教を通じて心の平穏とか、ストレスからの回避を図ることが出来ると書かれています。
チリでもストレス問題はよく話題になるようになってきましたからね。

5)チリの新聞
私は家ではラ・テルセラ、会社でメルクリオを見ていますが、最近の新聞の売れ行きとして次の数字が発表されました
一日平均として 1位 メルクリオ       14万4千紙
            2位 ウルチマス・ノチシアス 14万2千
            3位 ラ・クアルタ      13万1千
            4位 ラ・テルセラ      12万9千 でした。
人口1500万人とすると、日本に比べると新聞を買う人の数が少ないことが分かります。新聞代は週日が60円、週末はその2倍くらいです。


(スポーツ)
1)サッカー
アホなチリ代表チームの話はしたくもないが、監督の奥さんが、ある代表選手の奥さんと組んで会社を設立し政府のスポーツ援助プランで金をもらっていたとか、代表チームの医者グループに同じような政府補助が不正に使われていたという悲しい話が飛び出して、さらに憂鬱な気持ちにさせてくれる。(まだ結論が出たわけではないが)
ただし20歳以下の代表は今年の世界選手権に出ます。そして17歳以下も1次リーグ戦を切り抜けベスト4チームに入りそうだったが、最終戦ウルグアイに大敗して予選落ちでした。つまり若手はしっかり育っているようだ。

2)オートバイ
オートバイの世界でデ・ガバルドがチュニジア・ラリー選手権で2位をキープしています。何のスポーツでも世界のトップに立つのは容易じゃありませんよね。