チリの風 その120  05年4月11日―17日

良い気候になりました。たまには30度近い日もあるけど、たいがい20度前後の涼しさです。
今週、首都圏高速のコスタネラ・ノルテ(日本語では北湾岸高速でしょうね)が開通しました。その一日前、無料で高速道路が開放されました。予行演習ということでしょう。私はたまたまその日、そこを走る機会に恵まれました。わざわざ行ったのではありません、たまたま行ったのです。ホンマやで。同僚の車に乗ってほとんど他の車が走っていない高速道路を飛ばして気持ちよかったです。ただ自分たちがどこを走っているのか、次の出口はどこかの案内が全くなく不安でした。案の定、出るところが分からず、目的地を通り越してずっと先まで行ってしまいました。これで一般道路の交通渋滞が大幅に緩和されると言われますが・・・


(政治)
 今週はニュースがありました
1)米州機構の議長にチリの内務大臣が立候補し、メキシコの代表とその座を争っていましたが、いよいよ投票日が来ました。その結果ですが、何と5度も投票を繰り返したのに、その都度引き分けで、決着がつかず。次回、5月にもう一度投票をやり直すとか
.この議長の座を取るのがチリにとってどれほどメリットがあるのか私にはわかりませんが、国の金や人員を大々的に使って票固めなど行っていたようですが。アメリカはメキシコの肩を持っていたようです。

2)やっぱり彼のニュースも外せません。
ピノチェットの本丸に敵の手が!(あっ、敵ではなかった、検察の手だった)何と、彼の個人秘書と財産管理人が逮捕されました。
国税局が最近の数年間、納税義務を不正な手段で回避したことを訴えていたことからの処置です。人権問題以外での始めての司直の追求ですがどうなるか?
もちろん、不正納税問題の基になるのはそれらの巨額の預金がどこから出てきたかということでしょうが。外国の銀行に口座を開設するときに虚偽のパスポートを使用したというのも明らかになってきているし・・・。
この先、彼の自身の身に追求がかかるのか老人、国会議員待遇による非逮捕特権が有効に働くのか、虚虚実々の戦いが日々繰り広げられそうです。

3)幼児性的いたづらで訴えられているキ民党の国会議員ラバンデロが自宅逮捕になりました。彼は尚もこれは検察官の一人プレーと全く自分の非を認めようとしませんが、もう後がないでしょうね。

4)大統領選挙
もう今回の選挙は社会党のバチェレット女史が勝つことに決まったようなもので、ドキドキハラハラすることがありません。ただ中道左翼の与党連合内で、民政復帰後第1代と第2代大統領はキリスト教民主党から出ましたが、現大統領は左翼系、4代目も左翼系

になりそうで、これでその次に現職のラゴスが色気を示せば、3代続けて左翼系となりキ民党としては面目丸つぶれ、よってラゴスの大統領復帰を拒むシナリオを作りその実現に向けて努力中、むなしい


(経済)
1)チリ経済が好調というのはもう毎週のようにお知らせしています。ここに長い間住んでいる私としては、昔、経験しましたが、今の景気は過熱、消費ブームの行き過ぎの感もあるような気がします。大丈夫かな?
一番最近のブームはアジア危機が来て消え去りましたが、その後、今まで約10年近く落ち込んでいましたから、はしゃぎすぎが反発を呼ぶのはよく覚えています。
ラテンアメリカでチリが最高の成長率を今年、来年と継続するだろうというのは外国の機関も認めるところです. その基本になっている銅の高値で、しかも中国の高い買い付け欲(チリが銅を生産すれば中国はいくらでも買う)ですが、コデルコなどの銅山会社は増産計画を緊急に実施中です.
しかし現在の中国での反日政策などを見ているとチリのバブルがはじける前に中国のバブルがはじけそうですね。中国に深入りするのはいま少し待ったほうが良いのでは?
これが数年前のアジア危機の再現でなければよいのですが.

2)そうそう良かった、7週間ぶりにガソリンの値段が来週月曜日から下がります。340ペソに上がったバス代は下がらないでしょうが.

3)サンティアゴ首都圏の地代は90年から何と5倍に上昇と発表されました.物価上昇率をはるかに上回る土地代の上昇はマンション建設ブームを示しているわけです.


(一般)
1)タバコの宣伝
しかしタバコの宣伝が目立ちます。新聞広告、地下鉄の車両の広告、道路のたて看板など。国会で審議中のタバコ規制法案が成立するとタバコの宣伝は一切出来なくなるのでそれまでに派手に手をうとうとしているのでしょうね。それと今年1年分の予算は全部使ってしまおうということかもしれませんが。

2)イースター島で活動したカナダ人芸術家が逮捕されました。
で、何をしたかというと、島民を雇って、石を集め、それで円形の柵、矢印のようなものなどを作り写真にとっていたもの。彼は世界各地でこれと似たような活動を行っている。
コレと同じ犯罪として、日本人のモアイ落書きが列挙されている。どっちも悪いといえるのか、落書きのほうが質が悪いというべきか?

3)ペルー人の犯罪グループが逮捕される
彼らはサンティアゴの高級レストランにくる客のクレヂットカードの情報を盗みそれを使用して例えば、航空券を購入、半額で売りさばくなどして利益を上げていたらしい。たしかに最近レストランのウエイターに外人が増えたからな・・

4)ビジャリカ火山
毎日2度小噴火を繰り返しています。危ないのでこの山の登山は禁止になっています。第9州に位置するこの山は日本の富士山に似たきれいな形です。

5)準非常事態宣言
16日の土曜日、山登りをしたら下界はスモッグで真っ黒でした。で、次の日曜日、やっぱり準非常事態宣言が出て、工場の作業停止(日曜日はほとんど工場は停止していますが)車両の一部通行禁止などの処置がとられました。まだ冬も始まっていないのにこれでは先が思いやられる。

6)偽札
隣国ペルーでは米ドルの100ドル札の偽が出回ってパニック状態ですが(ちょっと大げさか?)それがチリにも飛び火。まだ発見された偽札は少しですが、新聞などで大きく報道されています。


(スポーツ)
1)サッカー
しかし今週チリで一番話題になったサッカーの話といえば、リベルタドール杯のアルゼンチンとブラジルチームの対戦した時にアルゼンチン選手がブラジル人選手を黒い猿と呼んで侮辱罪で逮捕された事件です。もともとアルゼンチン人は他国人を馬鹿にするという悪い癖がありますが(優越感があるのでしょうね)人種差別をなくそうと国を挙げて努力しているブラジルにとってこの発言は容認できないとなったもの。チリ人の大半は(?)ブラジル警察の判断は正しいとしています。
チリのサッカー界にもそんな事件は今まで何度もあったのですが???
おまけにチリ人がペルー人やボリビア人に取っている態度はどうか?また同じチリ人でもマプチェ族などインディへナの人たちへの態度はどうか?さらに同じサンティアゴ市内でもラス・コンデスなど東部に住んでいる人間がプーダウエルなど西や南部に住んでいる貧乏な人間を差別する態度はどうか?ねっ結局どこの国でも、どこの階層でも差別は抜けきれないということが良く分かります。 

もう一つの話題は、チリの20歳以下の代表がオランダで開催される世界選手権に出場しますが、それに先駆けて、外国遠征を準備中。その一つが対日本戦で5月24日、日本(多分、豊田市で)で対戦。テレビの中継は出勤中で見れないだろうが(日本の夕方8時開始ならチリでは朝7時です)日本のゴールを叫んでみたいもの。

2)テニス
ゴンサレスATPモナコ大会でベスト16まで勝ち上がり、そこで現在世界1位のフェデリと対戦、1セットを奪ったものの2対1で敗戦。惜しかった。


以上