チリの風 その118  05年3月28日―4月3日

しかし今週はもうこれ以上のニュースはチリにはありません。ローマ法王の危篤、臨終にいたる全過程が随時報道されました。とくに危篤になった金曜日、死去した土曜日など、テレビの1時間のニュースがそれだけで埋められ、全くその他のニュースは報道されませんでした。(日曜日もほぼ同様)
以前、天皇が死去した際、日本の異常性が浮かび上がりましたが、今回のローマ法王に関する報道ももはや尋常の域を越えています。
もちろん、これに異議を唱えれば異邦人として、無視されるか白眼視されるわけで、この国の宗教心の強さを感じざるを得ません。しかしキリスト教が強いのではなくその中のカトリックが絶対的な力を持っているという分けです。チリでは70%がカトリック、20%がそれ以外のキリスト教、残り10%が他の宗教(もしくは無宗教)ですが、やはり70%というのは国を牛耳る力があるわけですね。


(政治)
1)大統領選挙
昨年アメリカであれだけ大統領選挙が盛り上がったのに比べると、チリではまだまだという感じですが、チリ人の性格を考えると、最後には大きなうねりになって国中が浮かれるはずです。
今週はその第1弾、なんとキ民党の候補アルベアルが野党の国民改革党の元党首ピ二エラを、自分が政権をとったら閣僚に迎えたいと言明。与党と野党の合併?と大注目されました。ラゴス大統領は軽はずみな発言は与党内結束を乱すとクレームしましたが、この前自分が失言しているだけにクレームする力も弱い。おまけに彼の息子(親の七光りで次の選挙で国会議員を狙う)も父親の失言に続いて(?)自分も社会党の候補に投票すると発言。統制が取れていないことがはっきりしました。

2)ピノチェット
我がピノチェット問題は毎週マスメディアを賑わせますが、今週の話題としては収入がないはずの彼の妻が銀行預金を格も盛大に?持っているのはなぜか、彼とその家族が預金をあちこちの銀行に回すのは麻薬などの資金を洗浄するのと同じやり方だろうとか、未払い分の税金を早く払わせたいと国税局が発表するとか、盛りだくさんです。しかし彼の弁護士は、全く根拠のない、いいがかり的な発言ばかりで当方は痛くも痒くもございませんと平気なのですが何故?


(経済)
1)車の売れ行きが順調で、2月の販売は前年対比35%アップとか。国別では韓国を抑えて日本がトップ。日本車の人気はすごいものです。
一番売れているのは、100万円以下の低級車で38%、しかし最高級車(300万円以上)も10%売れています。

2)ついでに、チリ経済の好調を支える銅の価格は高値維持です(3月の平均価格は1989年以来の高水準とか)。しかしさらに原油はもっと超高値維持です。6週連続でチリのガソリン価格が上がります。誰が書いたシナリオなのでしょう?ガソリンはとうとう1リットルで550ペソ(100円)になりました
ところでチリはアルゼンチンから天然ガスだけではなく原油も購入しています。(04年で13億ドル)これは05年レベルでは全消費量の30%ほどになりますが、これが08年にはほぼゼロになるのではと予想されています。天然ガスも含めエネルギー源のアルゼンチン離れは現実性を帯びてきたわけです。ちなみにまだ冬も始まっていないのに3月のアルゼンチンからにガス供給ストップは04年の最悪の月を上回る削減で、今年の冬の乗り切りは可能なのかと心配です。


(一般)
1)車検の切り替え
毎年3月31日は車検の切り替え日です。この切り替えを忘れて、車両を運転していて、警官に見つかると当然罰金です。
テレビのニュースで、車の検査場の前で長い行列を作った人が文句を言っています。何でこんなに待たされなければならないのか、もう5時間も待っている・・・
それがわずか一日前なら1時間の待ち合わせで終了。1週間前なら待っている必要もなく10分で終わったのですが。
何でも明日に出来ることは今日にはしないというチリ人気質は毎年こうして確認されますが、しかしそれを直す学校教育とか痛い経験を次回に生かすことはないのですかね?来年も同じ事が繰り返されるでしょう。

2)トーレ・デ・パイネの山火事
国家安全委員会はこの火事の原因をおこしたチェコ人を裁判に訴える事を決定。しかし彼がチリの裁判所に出頭するとは思えないし、たとえ有罪になって巨額の賠償金を払えといわれても払えるわけがない。もし開き直って、じゃ私は現地で、一労働者として生涯森林の植林作業に従事しますとしても意味は少ないだろう。
私もよく山に登っていますが、石を集めてかまどにし、枝を集めて燃やしコーヒーを飲んでいました。火事にならないよう気をつけてやっていましたが、それでもこのチェコ人観光客のようなことが起こらないとは言えません。最近はコーヒーを飲むのを自粛しています。
またチェコ政府は復興費用として多額のエウロの寄付を決定しました。
新聞に投書が載って、「安全委員会は訴える先を間違えている。チェコ人を訴えずに、チリ政府か森林監督局を訴えるべきだ。火事が起こったときにそれを消火できなかったほうがもっと問題だからだ。」どうです?

3)もう夏のシーズンは終わり、太陽光線を浴びる機会は少なくなりましたが、チリではUV光線を浴びて皮膚ガンになるケースを多く、どの地区が危険かという統計が発表されます。それによると今夏はイキケとサンティアゴが一番危険性が高かったそうです。どうして北のイキケと中央のサンティアゴなのか分かりませんが、11時から16時が一番危険、身体に50箇所以上ほくろのある人は危ないとか、注意書きがでています。冬でも油断しないようにですって。

4)少数民族の最後
第12州プエルト・ナタレスの北40Kプエルト・エデンに住むカエスカル族の絶滅が避けられないことになってきました。残った純粋の部族の人はたったの7人。中高年ばかりとか。魚貝類の採集が主な生活手段だったが、赤潮の影響で貝類が取れなくなり、生活に困窮してしまったらしい。昔はそれでも同じ種族の人々が集まり、クラント料理を作って楽しんだのだが・・・とコメントしていた。きびしい。

5)トランサンチィアゴ計画
鳴り物入りで大宣伝されたサンティアゴ首都圏の公共バスの新計画に注意信号。テンダーに勝ったコロンビア企業が、約束を守れそうにないらしい。
巨額の資金をつぎ込んでサンティアゴの公共運送を一新しようとした画期的な計画ですが、どうやら実現性のないものだったようです。政府もアホだが、それにのった民間企業もアホということでしょう。この計画では現在運行中の年代の古い1300台のバスが廃棄処分になり同数の新車が導入されるはずですが、そのバスが来なければ、廃車になるはずの古いバスの使用を許可するか、コロンビアの会社との契約を解除して、新たにテンダーを準備するか・・・
現在、市内バスを運送しているチリグループがお手伝いしても良いですがと猫なぜ声で政府にすりよっている。もちろん自分に有利な条件で、10年計画か何かを勝ち取るつもりなのは明白。
しかしこれに関してはチリ政府の無策ぶりは明白。
私なら、地下鉄の路線を拡充し、地下鉄が走っている道路には原則的にバスの路線を認めない(これで交通渋滞が大幅緩和)、またバスと地下鉄の連絡切符を充実させる(これでバスが長い距離を走る必要がなくコストが下がる)、これで、安い費用でどこえでもいけるようにする。バスの台数が減ることで、空気汚染問題も減少。どうですか?
つまり今夏、道路の補修工事でたくさんの交通事故死が出たアラメダ通りなんか地下鉄がその下を走っているから、私の案ではバスは通行しないことになります。


(スポーツ)
1)サッカーwカップ南米予選
日本は相手の自殺点でからくも勝ち点3を獲得しましたが、我らがチリは私が予想したとおり、2対1でパラグアイに負けました。こんな予想が当たってほしくはない。
しかし毎回監督の采配がまずく選手起用が裏目に出ており、これでは勝てるわけがない。しかし毎月400万円の給料をもらっている彼は、辞任する気はないと言明し、これから全部勝てばまだWカップ出場の可能性ありと平気なのはすごい?
連盟は彼をクビにすると20万ドルを払う必要があり、その金がない。
私が会社で、同僚にチリは負けたけど、日本は勝った。チリはWカップで日本と戦う気はないみたいだねと嫌味を言うと、彼らも負けていません。
チリはWカップに出ることになっている(20歳以下の大会のこと)とか、もう日本とはテニスで対戦済みとか(デービスカップで日本に5対0で圧勝)返事が帰ってきます。

2)テニス
ATPのマイアミ大会に出ていたゴンサレスは3回戦で敗退。世界ランキングで20位以下に陥落。先週予想したとおり。先はもっと暗い。


以上