チリの風   その1072     2023年11月27日ー12月3日

今週の一番の話題は南米諸国を調査している人に会った事です。彼から依頼のあったチリの政治・経済の現状と歴史の話をしました。もちろんモネダ宮殿にも行って軍事革命50周年の話もしました。彼の仕事に役立ったかな。こういう機会が巡ってくるのが嬉しいし、ちゃんと責任を果たせるのが幸せです。
スポーツはいつもの通り、マラソン練習と登山です。10年前には、そんなことは考えもしなかったですが、今では毎回、いつまでこの元気が続くだろうと心配しています。会社員をしてフルマラソンを走っていたころは週に50-60キロ走っていましたが、今では20キロにもいきません。もちろん、今週もいつもの週日の10キロと日曜日の仲間との練習はばっちり決めました。
登山は第3展望台まで3時間コースを歩きましたが、そろそろアポキンドの滝7時間コースに挑戦する気になっています。
つまり、毎日、疲れてベッドに入ると、今日も楽しい一日だったとニッコリするわけです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 夜のニュースの時間に全テレビ局で来年度予算について政府の方針を説明しました。毎週、犯罪が増加して市民が恐れていると言われるので、「今までより大きな予算を作り、市民の安全を確保したい。凶悪犯グループを放置してはいけない」としました。来年度予算でなく、今すぐその方針を実行してほしいと市民は言うかな?今週、不法入国して、チリ国内で犯罪行為をした犯人29名を空軍機で、その犯人の母国へ送り返しました。

地下鉄2号線で新しく4駅が完成し、その始発の祝いがボリッチも参加して行われました。
そこの終点から都内の中心までかかる時間が、今までより1時間近く縮小するので市民は大喜びです。1日で2時間も自由な時間が増えるなんて。
ボリッチは隣の州のバルパライソまでの鉄道路線の近代化を図ると張り切っています。
ボリッチに近い新左翼グループが貧民層の家屋建設援助の政府基金を不正に使用し問題になっていますが、今週、検察が政府の事務所に取り調べに入りました。
何それ?と思われますが、政府は検察は自由に調査をする権利があるとしています。その住宅相大臣はまだ辞任をしません。野党側は強烈に怒っていますが。
モネダ宮殿の2階部隊にもこの件で怪しいと思われる人がいますが、ボリッチは全く手を付けません。

キッシンジャーが先日100歳で死亡しました。彼は1970年にアジェンデがチリの大統領選挙で30%を少し超えた票を獲得して予備選挙の首位になったとき「どうして私たちは共産主義がどこかの国を抑えようとしているのを黙って見逃さなければならないのか」とコメントしています。そしてアジェンデを外そうとチリ陸軍長官を味方にしようと図ったのですが、彼がそれを断ったため、CIAを使って暗殺しました。
この動きを好ましく思わなかったキリスト教民主党DCは国会の大統領最終選挙でアジェンデに投票しました。アメリカはアジェンデ外しをして失敗し、アジェンデを大統領にしたわけです。民主主義の国と思われるアメリカは世界各地で、このような薄汚い政策を実行しているわけです。
COP28の会議で原子力発電を大幅に増やすことが決められたようですが、環境保全の集まりで、それが決まるのは不思議ですね。気温の変化で各地の氷原が縮小していると言われますが、南米の国の領土の氷原の80%はチリ領土とか。それなら温暖化は氷が解けるのでチリに不利になりますね。
2)新憲法
 投票の17日まであと2週間になりました。今まで拒否をすると言うグループが承認するより圧倒的に多かったのですが、その差が少しづつ縮まっています。
 もう今回は2回目ですから、これが否決されるとこの先どうなるのか、未来永劫に新憲法作成を図るのか、もうそれをやめて今回が最終になるのか問題になり ますね。新聞の社説に「長い期間をかけてここまで来た。今回の法案は理想のものとは言えないかもしれないが、安定化を含め承認する価値のあるものだろう」とされました。じゃ、私は承認に投票しましょうか?
 承認グループは犯罪を抑制するためには新憲法に替える必要があると宣伝しています。

このテーマとは異なりますが、世論調査で国民の声としてチリには各部門でリーダーが足りないとしています。その中で政治部門のリーダーが足りないとするのは57%です。
借金のコスト増に需要が縮小してチリの多くの企業が2023年は厳しいとコメントしていますが、経営者の多くの声は「政府は公約を実行してほしい。口で言うだけでそれを実施しなければ私たちの将来は苦しい」としています。政府でもリーダーが足りないのですか?
3)健康保険
民間の健康保険イサプレがこの20年間、顧客から規律以上に集金していたとされ、それを全部、国民に払い戻すよう最高裁判所から判決が出ました。しかしそれを一時に払い戻すことは多くの企業にとって倒産の危機になるので、何とか緩やかに払い戻せないかと要請が出ていますが、全く展開は無く、経営危機が拡大です。たとえ一部でもイサプレの会社が倒産すると、その契約者は保険が使えなくなり病気・けがで入院する時、即時に困窮事態になります。それなら国営健康保険のフォナサに移ればよいよ思われるかもしれませんが、その事態が起きればフォナサも通常の営業が出来なくなると思われています。つまり国を挙げての緊急事態になりそうです。ここでも政府の無策が問題になっています。

(経済)

1)銅価格と為替
 銅価格は1ポンド3.84ドルと先週より上に上がりました。為替は1ドル870ペソと先週とほぼ同じでした。
2)株式市場IPSA
 11月は何と7.6%も上がり5815ポイントで終わりました。過去12か月で10.6%の上昇です。銀行がおすすめする投資信託は1年で10%の利益とか。
3)経済成長率
 中銀の発表で10月が0.3%の上昇になり、これは2か月連続の上昇だが,1-10月の総合ではまだマイナス0.2%とか。つまり今年はマイナス成長かゼロ成長が見込まれるとか。厳しいです。

(一般)

1)犯罪
4年前と同じような地下鉄タダ乗り問題が起きました。ただ乗り犯を警備官が逮捕しようとして揉め始めると、一般客がそのただ乗り犯を助けるため駅の施設を壊し始めました。一部の市民は機会があれば、いつでも暴行・破壊行為をする用意があるわけですね。・・・
まだあります。地下鉄のホームで露天販売をしていた業者を警備官が抑えようとするとそれに反抗して大騒ぎになりました。
それから最近、話題?の誘拐事件が継続です。誘拐して身代金を手にすると釈放すると言うやりかたです。同じようにグループとしての犯罪で、首都圏郊外の倉庫に30人が侵入しました。犯人側も同じことを続けるだけでなく新方式を考えているわけです。
 第9州(アラウカニア州)で空き地に不法に建築した住居のオーナー5名を逮捕し、それらの家の取り壊し作業が始まりましたが、一部のオーナーはすぐに釈放されました。
首都圏のラ・レイナ区は特別宣言を出して、区民が犯罪から自衛する運動を始めました。警察や区の組織と組んで地域を見回ると言うことですが、国の作業が上手く行っていないことをこうした行動で証明しているわけです。他の区にも影響するかな?
2)コロナ問題
11月19日ー25日の数字は、新規感染者数3776人、陽性率4.4、死亡者数46人でした。
3)山火事
キリプエ地区で山火事が発生。今年も山火事が大問題になるでしょうね。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は来週で終了します。その終了直前で3チームが優勝を争っています。さて今週のその結果は首位のコブレサルと2位のワチパトは勝ちましたが、もう一つの2位だったコロコロは敗戦。これで来週の最終戦でコブレサルが勝てば、2回目の優勝、そこが負けてワチパトが勝てばそこの優勝になります。
さぁどうなるかな?


以上