チリの風 その1040 2023年4月17日ー23日

秋の雰囲気で街路樹の紅葉がすすんでいます。気温が最高20度最低5度の日があったサンティアゴです。今年は今まで雨が降っていません。平均では18ミリの降雨ですが、今年はゼロです。
今週は、旅を楽しんだ先週と違ってサンティアゴの通常の毎日でしたが、楽しいことが多くありました。家屋税の支払いをし、イサプレ健康保険の支払い過剰分を戻してもらいました。
それから大使館主催のカレンダー展を見に行きました。
ラソン練習は2回走りましたが、その中で週日の10キロで今年のタイ記録が出ました。もう1分で新記録だったのですが、喜びです。もっとも足のあちこちが痛くいつまで好調が続くか分かりません。
今は10キロを走ると疲れます。昔はフルマラソンの42キロを走っていたのですが。
山歩きは仲間と第1展望台に。久しぶりに大気汚染が少ない日で、下の街がきれいに見えました。
水曜日は父親の命日でした。小説になりそうなストーリーです。弟から電話があって、父親の様子がおかしいと。すぐに訪日して両親の住居に行き、一週間ほど同居しました。
スーパーに買い物に行って食事も作りました。そして弟に後を任せてチリに帰国。空港で意識不明になって倒れ、頭を割って血だらけになり救急車で病院に。エコノミークラス症候群(静脈血栓症)になったわけです。父はその後、1週間で死去。彼の魂が私に乗り移ったようです。私は死ぬまで抗血栓症の薬を飲まなくてはいけません。彼を追って私も最後の日が近いかな?
こうして毎日、幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
「今までの政権と同じく、私も問題山積の中で、どう解決していくか日夜努力をしているところです」と言ったスピーチをテレビカメラの前でしました。
しかし最悪だったのは、モネダ宮殿の2階の彼の事務所で働いているとき、ドアを閉めていなかったので、下からカメラマンが彼の写真を撮りました。もちろんその人は政府公認のカメラマンで写真を撮るのは許可されています。ところが誰かが彼に写真を撮っていると連絡すると部屋から出て1階に降り、そのカメラマンに悪口雑言を浴びせました。それがテレビ・新聞に報道されました。
かなり苛立った毎日を送っているのでしょうね。しかし今週の彼の動向のトップはリチウム関連です。全テレビ番組で、リチウムにチリは国として参入するとしました。現行の契約は尊重するとしていますから
アジェンデの時のように直ぐに国有化をするのではないようですが、銅の場合のコデルコ銅公社のような企業を作り、順次に参入していくようです。北部のアントファガスタを訪問し、「リチウムが世界で注目
されるこの機会を利用し今までと違ったやり方でリチウム市場に参入したい」とコメントしました。もちろん資本家は彼の考えを厳しく批判しています。新聞の社説に政府方針は方向に疑問があると書かれました。
彼の中道左派への方向転換は極左新左翼共産党)から問題視されていますが、このリチウムに関しては極左方式を採用しました。(させられましたかな?)
その事項をどうするか彼の頭の中で混乱しているときに写真を撮られたのでコントロールを失ったのでしょう。
カデムの最新世論調査ですがボリッチを支持するは30%、反対は64%と変わりません。
大臣変更
大統領府の大臣だったウリアルテが病気で1か月以上、職に就けなかったので、彼女の辞任を受け新大臣エリサルデを任命しました。彼は社会党の主要メンバーで現在は上院議員で少し前に上院議長をしていました。
両者とも社会党員です。中道左翼が政府中枢に入るわけです。ところでそのエリサルデ議員の後任を誰にするか揉めています。結局、ボダノビッチになりました。彼女は社会党の党首です。
2)国会
 厚生年金の積み立て分から6回目の引き出しをすると言う提案がまた議論されます。大蔵大臣がそれはチリ経済に最悪の状況をもたらすから止めるように要請を出しています。
 それを提案して実行しようとしているのは野党ではありません。与党の新左翼です。
3)選挙
憲法委員会の委員を選ぶ選挙があと2週間と近いですが全く盛り上がりません。素人の私が言うのではなく識者のコメントでも同じことが言われています。
世論調査では半数以上の国民が興味を示していません。あの社会騒乱のころ、ピノチェットの作った憲法をぶっ潰し自分たちの手で新憲法を作ると盛り上がったのが噓の様です。

(経済)

1)銅価格と為替
銅価格は1ポンド4ドルと先週より少し下がりました。1ドルは795ペソとそこそこ安定です。チリの銅の生産量は昨年は前年対比5.3%のマイナスでしたが、順調に元に戻っているとか。この先、銅の需要は
大きくなるとみられているので銅の将来は明るいです。
2)リチウム
 ボリッチが国営企業がリチウムの分野に入るとコメントすると、その分野で世界最大のSQM社の株価が15%も下がりました。国営企業には勝てないとするわけでしょうか。
リチウム産業はこの先、情勢が落ち着くまで大きく動く(揺れる)でしょうね。ボリッチは現行契約は尊重すると言っていますから、それが終わった段階で、所有権は国に戻り、それを国と民間の会社が
共同で運営することになるのでしょう。国にはまだリチウムの事業の経験はないですから。それで大蔵大臣はテレビ番組で民間が51%を占める可能性はあるのかと聞かれると、それはネゴをしなければなりません
と回答しました。極左の中では「自分たちに経験がなくても現行会社の幹部を引き抜けば問題ない。国が過半数の資本を出しても問題ない」としているかも。

(一般)

1)犯罪
学校の先生が逮捕されました。彼は聖フランシスコ教会の壁に警官を殺せとか落書きしていました。初めての逮捕ではなく、3年半前の社会騒乱の時、地下鉄の駅の改札口を壊すのがカメラに写っていて後で逮捕されました。もうどうしようもないですね。昔はボリッチの仲間でやってきたのでしょうが、頭の中を変えれないなら教師の職は止めるべきですね。
マイプでゴミ箱に頭が入っていました。誰かを殺して首を取り、ごみ箱に捨てたわけですね、多分、チリで初めての事件でしょう。犯人はすぐに捕まると思いますが。
北部のカラマでデモが起きました。今週、犯罪行為が続き死亡2名負傷5名となりましたが、それに反応してボリッチでは何も出来ない。彼を辞めさせようとする動きになっています。その先頭を走るのは同市の市長ですが、彼は新左翼です。それが拡大して市民のデモだけでなく、トラックなどの運送関係、近くの銅鉱山チェキカマタ労働者も反応しているようです。
同じようなデモがサンティアゴでもあり、「犯罪を抑えるには警察の力が必要だが、政府はまだ1973年の軍事クーデターのころのように警察を嫌がっている」と市民のコメント。
ボリッチはそれを知って新左翼共産党と別れ、中道左派と手を組み、警官を守ろうとしているのでしょうね。

2)コロナ問題
もうチリでは終焉したようです。新規感染者は500人ほど、陽性率は3%ほどと昔の派手な時代とは全く異なっています。私もマスクを使うのをやめています。

(スポーツ)

1)サッカー国内リーグ戦ですが、11試合が終わった段階で首位はワチパトです。人気3チームはチリ大学が2位、カトリカは4位。コロコロは6位です。


以上