チリの風 その1041 2023年4月24日ー30日 

土曜日、傘をさしてスーパーに買い物に行きました。嬉しかったです。そう書くと私の頭はおかしいと思われるかもしれませんが、今年初めての雨ですからね、喜ぶのは無理もないでしょう。後ろの山脈に雪がかぶりました。少し前は最高気温が30度を超え暑い日が続きましたが、今はすっかり気候が代わり、ベッドに厚手の毛布をかぶせました。
それでも今週も楽しい毎日でした。登山は仲間と第3展望台へ登りました。マラソン練習も楽しく実施しています。ただ週日は走りましたが、日曜日は雨だったので中止でした。
明日の月曜日はメイデーの祝日で3連休になりますが、雨のため郊外に出ていく家族はほとんどいないようです。
それから来週の選挙の投票所の学校に行きました。前回と同じところですが、少しルートを忘れたので確認のため、片道40分で着きました。
久しぶりに昔からの友だちと昼食を一緒にしたのもうれしかったです。また知り合いを招待して食事を共にしました。いろんな話を楽しみました。
今週も幸せでした。
さて妻の車にGPSが付きました。これで駐車しているときなどに盗まれても、その機械を使ってすぐにどこにその車があるか分かるとか。時代は進んでいますね。

(政治)

1)ボリッチ動向
先週はリチウム国有化で世界中に話題を投げかけましたが、今週は静かに姿をひそめています。南部のプエルト・モンを訪問し、地方の自治権の拡大を図るとしました。
さてリチウムのニュースは世界中に、政治・経済の両分野で広がりましたが、それが今週は姿を消しました。政府がチリのマスコミに少しボリュームを落としてくれと頼んだのでしょうか?
ボリッチの頭の痛い問題の一つは民間の健康保険イサプレが上手く機能していないことですが、イサプレを運営する会社の一部は倒産の可能性もあるとされます。
そんなことが起きれば、その会社を使っている人は健康保険が使えなくなるのか、他の会社に移すのかなどはっきりさせる必要があります。イサプレから国が運営する健康保険会社フォナサに大量に移動してくればフォナサが能力を超えて機能しなくなる可能性もありそうです。
2)移民問題
ペルーとチリの問題になり、国連の人権委員会から両国の真摯な会話を願うと言うコメントが出ました。
チリ最北端のペルーとの国境で、チリに不法に入国してくる移民をチリ警察が阻止し、ペルー側に送り返そうとしている実態に関し、ペルーのタクナ市長はチリ警察のやっていることは正常とは思えないとし、ボリッチ政権を批判しました。それに関してチリの外務省はペルー大使を呼び出しチリ政府を批判するのは受け入れがたいとクレームしました。
ボリッチはそれに関し、全くコメントしていません。
不法移民の一人が「私も私の子供もここで苦しんでいますが、チリ政府は私たちの人権も考えていただけませんか?」とコメントしました。
もちろん、その人に「人権を大事にするなら不法に他国に入国しようとしてここにいるのは止めるべきですね」と言うべきでしょうね。そこに多くのベネスエラ人がいます。
その国の大使館から係員が派遣され、その難民?と話し合ったとか。彼らは帰国したいと言っているようです。その近くの飛行場に飛行機を用意して彼らを本国に送り返す案がありますが、難民に費用を払う力はないしベネスエラ政府にもその費用を払う能力はないでしょう。今回のチリ政府の不正移民に対する姿勢は昨年と大きく違いますね。

3)新憲法委員選挙
新左翼の議員が次の選挙で新左翼共産党の委員数が前回より減少すればボリッチ政権に悪影響するだろうとコメント。
現状を見れば、市民が自分たちを嫌っているのが感じられるので、減少は避けられないと言うわけですね。
50の議席を353人の候補者が争っています。
識者の予想として与党側は38%(新左翼共産党グループと中道左派)、野党側(中道右派と極右)は60%の得票が見込まれるとか。
前回の委員選挙で与党側は勝利を収めましたが、そこで出来上がった新憲法は昨年9月4日に国民の大多数に拒否されました。それを政府・与党側政党は分析が出来ず、同じことを繰り返そうとしていると書かれています。学習効果がないわけです。その予想は当たるでしょうね。
つまりピノチェットの作った憲法を変えるんだと言うのではなく、その憲法のどこを変えたいのかを検討することが必要なのでしょう。
今回の選挙の候補者が高等教育や医療費の無償化とか言うのは全く無意味ですね。それを実施できる財源がなければどんな政権でも憲法違反になりますから。

(経済)

1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり3.99ドルと4ドルを割りました。銅の価格は当面安泰だとするプロの意見もありましたが、4ドルを割るのは残念です。
それでも為替は1ドル795ペソと落ち着いています。
さてリチウムの価格が大きく下がり、昨年対比半額になったと少し前に書きましたが、今週は3分の1まで激減しています。
チリの国有化宣言がどう影響したのでしょうか。隣国ボリビアとアルゼンチンのリチウム鉱山は好機が来たと喜んでいますね。
新聞のリチウム特集で現在チリのリチウム鉱業に参加している若しくは参加希望の企業が紹介されました。その16か国の内訳はチリが4社、アメリカと中国がそれぞれ3社、そして豪州とカナダが2社などですが、日本の名前は出ていません。
2)失業率
失業率は1ー3月で8.8%と上がりました。前年同期の7.8%より1%アップ。昨年の元気が今年は減少しているわけですね。今年のGDPはマイナス成長と言われています。
これに関して、大蔵大臣はチリの経済危機は最悪期を超え、徐々に良くなってきているとコメントしていますが、識者は全くそれとは違って状況は極限に近いとしています。
失業率が上がり、市民の生活に影響を与えている例として、統計がとり始められてから初めて昨年の個人の貯蓄額が減少したとか。それで新左翼が各自の積み立てている厚生年金を引き下ろさせようとするわけですね。最低賃金を毎年のように上げようとする動きも経済の停滞に関連すると言われます。さぁ、どうなるでしょう。

(一般)

1)マプチェの攻撃
 毎週のようにこの問題が出ますが、今週も家屋への放火、重機・トラックへの放火など問題継続です。
 マプチェの過激派グループCAMのリーダーが裁判になっていますが、他のグループが「一人のリーダーが裁判になったから私たちの抗議活動が消えることはない」としているとか。彼らにすれば、「チリが独立したとき、このアラウカニア州はチリの領土ではなかった。私たちマプチェのものだった。そこへ暴力的にチリ人が侵入してきて、自分たちのものと言い始めたのだ。私たちを犯罪者として裁判にかけるなら、まず自分たちの犯罪を見直すべきだ」でしょうね。
 それとは別の問題ですが、先日、政府が確認した全国の問題のある地区の歩行者安全計画ですが、各市が警察のバックアップを受けて取り調べを始めた結果ですが13000人を取り調べたら、337人が犯罪に関連していることが分かり逮捕されました。
同じように警察が独自で全国各地で取り調べをしたら、裁判所から逃げている犯罪者が619人いました。つまりこうした取り調べは有効ということが確認されたわけです。
もっともそうした取り調べは共産党新左翼は嫌いますが。
2)コロナ問題
もうチリではコロナ問題は終焉しているようです。先週と同じく、今週も新規感染者数は500人を割り、陽性率は2%とごく少数でした。

(スポーツ)

1)サッカー
伝統のチリ大学とカトリカ戦 がコンセプシオンでありました。チリ大学ファンが規則を破って火薬花火をあちこちに発砲し、その一つがレフリーに当たり負傷しました。もちろんゲームは即時に中止になりました。先日、似たようなことがコロコロのサッカー場で起きサッカー協会から、次の試合に観客を入れさせないと言う罰を受けました。
こんな事件は昔はチリにはなかったのですが、最近は大げさに言うと日常茶飯事ですね。悲しい現実。
さて今週、その人気のコロコロは引き分けでした。
その結果、11試合の終わった段階で成績は首位ワチパト、2位チリ大学、カトリカは4位、そして人気のコロコロは6位でした。

以上