チリの風 その1052 2023年7月10日ー16日

火曜・水曜と二日雨になったサンティアゴです。それでも今までの所、今年の降雨量は平均より少ないらしい。
その次の日、木曜日に山歩きをしました。山に入ると下草が真っ白。霜です。最初はかなり寒かったですが、その後、歩いていると太陽が出てポカポカ。幸運でした。プロビデンシア山の頂上は雪で真っ白ですが、それを見たいと言うグループに3組も出合いました。5時間くらいの歩きで頂上に着きます。グループの事を係員に話したら、「現在は登山道は最悪の状況で、誰も頂上には行けませんよ」とか。可哀そう。
ラソン練習も2回実施。ところがその1回目は調子が悪く、途中で歩いてしまいました。まぁエエヤン。たまにはそういうこともあります。日曜日に仲間と走ったときは完走しました。良かった。
それからチリの歴史の講義を頼まれました。準備を進めています。楽しみです。
イースター島での劇団の公演の話も進んでいます。ドキドキしますが、楽しみです。

毎日、いろんなことを実施しているし、嫁さんともうまくいっているし幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 欧州へ外遊しました。先ずスペインでサンチェス大統領と面談。ボリッチは彼に「あなたはスペインの内政をうまく運営し、ラテンアメリカとのコンタクトもベストです」とコメントしました。それに関し、大統領選挙中のスペインで、それを言うと他の候補者が勝った場合、チリに対するイメージを傷つけると言う声が出ました。もちろんそれはボリッチがまだ若いからでしょうね。その後、スペイン国王とも挨拶をかわしました。
そして軍事革命50周年の集会に参加してチリが置かれた現状を説明しました。スペイン政府関係者だけでなくかなり多くの参加者があったようです。
そこでガルソン元判事に会い、彼に感謝の言葉を捧げました。その元判事はピノチェットがイギリスに行ったとき、1998年ですが、ピノチェットはチリで多数の市民を虐殺したと訴え裁判にしようとしたわけです。ピノチェットの運命を変えました。
更にその場で、チリ人記者に9月の軍事革命50周年記念の儀式をすべての政党・関係者を集めて実施するとコメントしました。共産党は通常の儀式なら、それを認めないと強硬です。そしてそこに右翼の政党、UDI党と共和党の参加は拒否するとしています。
最近、テレビで毎日のように50周年記念に関する番組が組まれています。
 
出版記念式典 
民主化しての最初の大統領エルウィンに関する本が出版されました。軍事革命50周年記念ですからボリッチもその記念式に出席しました。
そこへ来たバチェレットが「50年の歴史を私たちはよく理解しなければならない。いまだにチリの大統領で最も素晴らしいのはピノチェットだと言うグループがいる」としました。共産党ピノチェット批判をするのと同じように自分たちの失敗も考えなければいけないと思いますが。
エルウィンが大統領になったとき、ピノチェットはまだ軍の代表でした。つまりエルウィンと上手くいかなくなれば第2次軍事革命を起こす可能性もあったかもしれません。そんな状況下で自分の思想を明確にしそれを実現させる努力をしたエルウィンは素晴らしい大統領でした。

文部大臣の弾劾議会
国会でそれが実施されました。現状では野党議員の方が与党より多いので、通常なら文部大臣は失職するはずです。しかし与党グループの一つのエボポリ党の一部議員がそれに反対したため78対59で否決されました。野党の中では大騒ぎです。じゃ次の選挙でエボポリは野党仲間ではなくなるのかな?エボポリの党首は各党が自主性を持って問題にあたることにしたいと方針をはっきりさせています。野党連合の危機と報道されました。右も左も混乱は同じようですね。
新聞の社説に文部大臣はその職を確保したが、野党が疑問視した彼の職務については結論は出なかった。つまり教育レベルの停滞もしくは上昇をできない点が問題として残ったとしています。
簡易住宅建設の問題点はもうはっきりしているのに、誰がその責任を取るのか分かりません。司法が上手く機能していないのでしょうか。
その他に学校給食の件が出ましたが、いろんな分野で同じような問題が隠されているでしょう。その例としてレコレタ区が区営の薬局を運営していますが、同じように不正が起きているとして司法の手が入りました。同区の区長ハヅゥエは共産党員です。与党の新左翼共産党が不正をしているのは明白ですね。右翼の元ビタクラ区長が裁判になっていますが、右も左も同じです。
病気の治療に手術が必要ですが、チリは病院・医師の不足から長い間待たされます。半年とか1年とか。で、その間に症状が悪化して死亡する患者がもう1万人にもなったとか。医者の数を増やすため各病院が医師を雇用すれば、もちろん給与を払う必要がありますが、その支出を賄える収入が無ければ、どの病院も医師数を増やしません。チリの患者はそんな高い費用を払う力はありません。それが実態ですね。厚生大臣の責任とは言えません。

(経済)

1)銅価格と為替
 1ポンド当たり3.92ドルと先週よりかなり上がりました。嬉しい。私は銅に投資をしているのではありませんが、銅価格の上昇が素直に喜びとなります。
 為替は1ドル809ペソと800ペソを切っていますから、ややペソ安ですね。
2)IPSA
チリの株式市場IPSAで歴史的に始めて6000ポイントを越えました。水曜日に6050まで行きました。そして木曜日、それをさらに越え6100ポイントまで。すごい。金曜日も6000ポイントを超えて今週を終えました。みんなニコニコ顔でしょうね。株価と経済の実情が同じ道を歩いていないのが不思議です。
3)労働市場
労働は正規職員と非正規職員に分かれます。その非正規分の割合が世界で一番低いのは日本とアメリカで19%。チリは低い方ですがスペインと同じ27%。ブラジルは39%です。


(一般)
1)犯罪の増加
10万人当たり6.7人の殺人が記録されました。コロナ問題の前の3年前は4.5人でしたから50%も上昇しています。
一番悪いのは首都のサンティアゴでそれに続いて北部の州です。そこは不法移民がチリに密入国してくる地区です。
サンティアゴでも一部の地区に犯罪数が多く、その地区に住む人が違うところに移ろうとしても「誰も私の家を買ってくれない」と嘆いていました。
そうでしょうね、危ない地区にわざわざ行くのは麻薬組織だけでしょう。
ピニェラのころ、左翼が「犯罪の増加、治安の悪さは政府の責任。ピニェラは全く無能だ」と言っていました。
じゃ、ピニェラのころより50%も殺人が増えるなんて、「私たちのリーダーのボリッチは何をしているのか」と言うべきでしょうね。ピニェラのころには外国からの麻薬組織はあまりなかったようですが、今はどこの州にでもあると言う感じです。警察がのんびりしているとは思えませんから、どこに問題があるのかな?


以上