チリの風 その1033 2023年2月27日ー3月2日

首都圏近辺の2月の平均気温は観測史上最高の温度だったとか。2月28日もサンティアゴは32.6度を記録しました。3月1日も30度を超えて・・・暑いです。

明日からイースター島に飛ぶのでチリの風は今日までです。
忙しかった、今週も。日本に行く前にする静脈血栓症の検査や歯の治療の最終手当などあちこちへ。
毎日地下鉄に乗りましたが、なんと一度、席を譲られました。譲られた席に座ったのは初めてです。私はまだ若いと思っていても、外から見るとおじいちゃんなのですね。
夕方、涼しくなってから公園に行ってオカリナ笛の練習をします。ある日、知らない人が近づいてきてほめてくれました。演奏しているのが老人だから?
さて山歩きは無理だったけど、マラソン練習で10キロは走りました。朝早い時間に走りましたが、交通量が増えているのが分かりました。
イースター島での仕事を楽しんできます。

(政治)

1)ボリッチ動向
大統領府の発表では最後の日は2月17日で彼はもう2週間も仕事をしていません。やっとこの月曜日から事務所に戻りました。モネダ宮殿の事です。
しかし先週もマスコミには彼の動きが出てきます。ということはバケーション中に個人的に仕事をしているのでしょうか?
話題になったのはツカぺル・ヒメネスの追悼式で彼は演説しました。ヒメネス労働組合のリーダーでピノチェットの軍事政権の時に軍隊に殺されました。ボリッチは「労働者のいない社会はない。世界は動かない。ヒメネスの素晴らしい仕事を讃えたい」としました。その事件は40年ほど前のことです。その事件の時、私はチリにいました。
私は反軍事政権だったのですが、日本での大学紛争の時のように反政府運動をすればここでは殺されると思い、参加するのを控えました。それほど雰囲気は厳しかったですよ。

さて今話題になっているのは3月に就任2年目に入ると言うことですが、それもお祝いというより大臣の交代に関してです。私が大統領なら、大臣職につけば4年の任期中全員が手を組んで働こうとしますが、今のチリではだれが変わるのかを見守っているようです。野党がボリッチに大臣交代をお願いしますと頼んでいます。もちろん馬鹿にしているのでしょうね。
ボリッチの奥さんがスペインに行って女性の人権を守ると言うことで面談しましたが、その中でチリの現状として話をしたのをユーチューブで見ました。彼女はインテリなのでしょうが、話をするのに慣れていないのか、聞いている人を説得することはなかったようです。

北部のボリビアとの国境で不法に入国してくる外人をチェックする役割で配置した軍隊を撤退することにしましたが、それを見守る仕事を内務大臣が実行しました。
彼女はボリビア政府と不法移民の件で話をしたいとしています。ボリビアの国会議員が私たちはいつでもその件についてチリ政府と話し合えるとしています。チリ側としてはボリビア側から自由にチリ側に越境してくるのを何とか抑えられないか、不法移民を追放するときボリビア領土に行かすことは可能かなどを話ししたいのでしょうね。

前大統領のピニェラが「現与党(そのころは野党ですが)は私の政策に反対運動をしていました。その一例は軍隊の使用で、緊急・特別の場合は軍隊を使用するのは当然です。私が軍隊を使用すれば彼らは反対でしたが、この1年間、ボリッチはあちこちで軍隊を使用していて、自分の言っていたことは間違いだったと思っているのでしょうか?」とコメント。当たっていますね。
2)失業率
11月から1月の失業率は8%で1年前より0.7%アップになっています。まだ下がる傾向がはっきりしないわけですね。
民間健康保険イサプレの会社の一つのバンメディカがこのままでは全イサプレの会社が経営困難になるだろうとコメントしました。そこは経営危機なのでしょうね。
イサプレがつぶれると国の健康保険に重圧がかかりますが、保険料は下がるけれどサービスの質も落ちるわけできっと社会騒乱になるでしょう。

(経済)

1)銅価格と為替
1日は 1ポンド4.11ドルと大きくジャンプしました。残念その翌日、今日ですが4.03ドルと落ち込みました。そのためペソは818ペソになっています。
2)物価上昇率
昨年は12.8%で終わりましたが、それは過去31年で最高の数字でした。最悪の数字かな?
2月の予想は0.3か0.4%の予想で、過去12か月では12.5%とほとんど動かない状態です。
もう一つは経済成長率です。ここでは中銀発表のイマセック指数ですが、1月の数字の予想は0.4%とプラスでした。4か月間連続でマイナスでしたが、やっとプラスに。
今年はマイナス成長と言われていたので、嬉しいニュースです。プロの人の予想も当たらないのですね。IMFの発表では今年マイナス成長が予想されるのはラテンアメリカでは2か国だけ。
それはハイチとチリです。それほどチリがひどいなんて、ボリッチがんばってくれと言いたいです。
関係ありませんが旅行業界もコロナの前に戻ってきているとか。この夏シーズンで12月から2月ですが、サンティアゴの空港を利用した乗客は590万人にもなっています。チリ人の国内旅行はコロナ以前に戻ったとか。なんでもコロナ問題以前に戻ってきたと言うのはうれしい知らせです。

(一般)

1)山火事
あまりパッとしたニュースはありません。ほとんどの山火事は消えましたと言いたいですが、そんなニュースは出てきません。消火活動中は26ですから、先週より増えていますね。死亡者が25名から26名に増えました。家に火がついたとき逃げられなくて重症になり、病院で死亡したとか。厳しいですね。
簡易ハウスを週に100軒建設して被災者に渡したいとコメントされています。延焼した家屋は2000以上ですから、簡易ハウスを完成させて渡すのに半年以上かかりますね。
秋・冬になって雨が降り出せば火事は消滅しますが、被災者の苦しい生活は継続ですね。
2)テントの撤去
町の中心地には、公園や道路わきで、多くの人が路上生活をしています。テントを張るか木材や鉄板で簡易住宅を作っています。最近の事ではなくかなり前からですが、それを政府は撤去するよう指示を出し、今週実施されました。なんでも92%が撤去されたとか。昨年は何も手を付けず、急にそれを実行したのはどういうことなのでしょうか?よくわかりませんが。ホームレスの人がすんでいたホームを失ったわけです。

3)コロナ問題
先週と同じで2000名を超える患者、10%を超える陽性率が記録されています。
4)社会騒乱
3日の金曜日からまた昔の騒乱が戻りそうです。ほとんどサンティアゴですが、各地でデモがあり暴動が予想されています。
そのころ、ピニェラが警官を前面に出すと、そのグループは警官は市民に暴行を加えるのが仕事かとクレームしましたが、今回はその暴動グループが放火略奪などを始めればボリッチは警官を使ってるのか黙って見守るのかどうでしょう。で、その後の世論調査では、ボリッチを支持するとするのが激減でしょうね。


以上