チリの風 その1025 2023年1月2日-8日

昨年の大みそかに少し雨が降り気温が下がりましたが、サンティアゴのその後はいつものように最高気温が30度を超える日が続いています。

メールで世界各地の仲間と新年のあいさつをしましたが、ほとんどが私と同じ中高年ですから、日常生活にいろんな問題を抱えているようで若いころのような楽しい人生ではないみたい。それでも頑張ってくださいと言いたいです。
さて私は今年も今までと同じような毎日が続いています。
日本は大学駅伝が話題になりましたが、私も学校代表で兵庫県高校駅伝に参加したことがあります。そのころ10キロ32分でした。
後で後輩にそれを言うと「おじさん、30分を切らないと補欠にもなれませんよ」と軽く馬鹿にされましたが、60年近く前のことですからね。
今週の山登りは、今月の登山教室の目的地5時間コースのビスカチャ山に登りました。私を抜いていった青年と頂上で話し込みましたが、彼は昔、日本に行ったことがあるとか。なんと彼は片言の日本語を話しました。大阪で聞いた日本語は東京と違ったと感じたと言うので日本の方言について説明しました。山頂で日本語の方言について話するなんて。
土曜日はサッカー教室。十数名の参加者で楽しく練習。最年少の子供は幼稚園生でした。すごい。
もちろんマラソンも練習しました。10キロを走っています。
いつまで続くかこの元気ですね。頭も身体もまだ少ししかボケていません。幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向

先週の予想通り囚人の恩赦が問題になっています。彼はマヌエル・ロドリゲス戦線に所属していたホルヘ・マテルナの恩赦をしましたが、それに関し、裁判内容に何か疑問が見えるとコメントしました。裁判所が間違って無罪の彼を有罪にしたと言う気配でした。彼は銀行強盗をしたのですが、左翼ゲリラが活動経費を得るために強盗をするなら、彼らを援護する共産党に資金援助を求めればよいのでは。
裁判所はボリッチのコメントに即時に反応して大統領は三権分立を知らないのか、裁判の内容に口をはさむのかとクレーム。ボリッチは裁判所のクレームにはそれはその通りですねと軽く 回答しました。
実はこの件に関しまだ話があります。ボリッチがまだ議員だったころ、刑務所に入っている彼を訪問しているのです。そして国会議事堂の前で彼らの戦線を応援したいと過激なアピールをしています。昔、そのグループはチリの最右翼党UDIの創設者を暗殺しています。そんな新左翼の考え方・行動が3年前の社会騒乱を引き起こしたわけですね。如何にボリッチがその運動とかかわりあっていたかが証明されています。

しかし裁判所も大きな顔はできません。マプチェの犯罪です。ルシンゲル・マカイ夫婦の殺人事件で18年の有罪になったホセ・トラルカルが刑の途中で条件付き自由を地方裁判所から認められましたが、それを最高裁判所は認知できないと取り消しました。いやはや。
国会で右翼がボリッチを憲法違反で訴える予定です。大統領府はそうした意味のない行動をするのは止めましょうとコメントしています
しかしピニェラの時代に左翼がピニェラを憲法違反として訴えたことと同じで、自分たちは正義のためにやったが、右翼は嫌がらせのためにするとします。いやはや。
法務大臣リオと社会厚生大臣ジャクソンが同じように憲法違反で訴えられそうです。リオは辞任するか更迭されると言われています。
金曜日にここまで書きましたが、土曜日に何とリオ法務大臣が辞任と発表されました。辞任が更迭か分かりませんが、大統領府の発表は彼女の辞任要請を大統領は認めたと書かれています。国会で憲法違反になると公職に何年も就けなくなるので、ここで辞任して来週から新しい仕事を探す方がよいと考えたのだろうと言うコメントもあります。何年かしてから、自分の問題は大統領が突然に恩赦の数を変えたことから起きたと発表するでしょうね。ところで右翼の党は辞任した彼女をさらに憲法委員会で取り調べしたいとしています。
同じようにボリッチの補佐官をしていたマチアス・メサも辞任しました。彼はボリッチの一番近くにいたようで、大統領とコンタクトしたいときは彼を経由するのが一番手堅いと言われていたらしい。その彼もこの恩赦事件で大統領府にいれなくなったのですね。新聞にボリッチ政権の最悪の事態と描かれています。
先日、ボリッチは新大統領の就任式にブラジルを訪問しました。今日、ブラジルで前大統領の応援団が最高裁判所と国会に侵入しました。アメリカでも似たような事件が起きていますね。ボリッチはすぐにルラ大統領応援の声を上げました。

しかし全般を見ると、それほどひどいボリッチ政権でもラテンアメリカ諸国の中で安定・汚職・腐敗などを比較すればチリはそこそこにいると思います。3年前から比べれば落ち込みましたが、まだましです。甘いかな?

ボリッチは就任後、初めて川州を訪問しました。マプチェで問題になるアラウカニア州の南に位置する州です。その州都はバルデヴィアですね。州の知事や市町長などと面談して現地情報を集め中央政府の考え方を伝えました。

憲法
もう私とすればほとんど興味はありません。これは個人のことですが、私の感触はチリの一般人のそれとよく似ていますから、チリ人も新憲法にそれほど注目しないでしょう。5月に新憲法委員会のメンバーを選ぶ選挙があります。強制選挙なので投票に行く必要があります。また誰に入れるか選択する必要があります。

新検察長官
3人目の候補者が出ました。アンヘルバレンシアです。彼はモネダ宮殿を訪問し、内務大臣・法務大臣と面談。さぁ国会がどう判断するかな?
明日に議会で賛否の投票があります。

(経済)

1)銅価格と為替
 銅の価格は1ポンド3.79ペソで先週とほとんど同じでしたが、為替は1ドル842ペソとかなりペソ高になりました。
 株式市場IPSAは2.6%ダウンと苦しいスタートでした。
 さて12月の物価上昇率IPCは0.3%で、2022年の年間指数は12.8%となり1991年以来過去30年で最悪の数字でした。
 これが影響して、給料が上がっても物価上昇率より低いと実質賃金はマイナスになります。最近4か月間、実質賃金はマイナスになり過去4年で最低とか。ローンを組んでいる人はこの上昇率が支払額に直接影響し12.8%アップになります。厳しいですね。
 ただ12月のIPCは低かったので、今年は年間3%くらいに落ち着くと言われます。
 もっともインフレ問題より重要なのは経済成長率が低迷していることだとするコメントも出ています。
 外国人の失業率は9-11月で8.3%とチリ人と変わりません。

2)新車の販売
 昨年の新車の販売は42.6万台で新記録でした。意外ですね、チリ人もかなり余裕があるのですね。

(一般)

1)コロナ問題
 もうほとんど話題にならなくなりました。今週も1日5000人ほどがピークで、陽性率は18%が一番高い数字でした。火曜日は感染者数がわずか1305人でしたが、PCR検査数はたった6067人。コロナがひどかったときは10万人以上がPCR検査を受けていましたから、現在、新規患者数が減るのは当然ですね。
2)入学手続き
 私立の学校は入試がありますが、公立の場合は入学要請を受付けます。今週、話題になったのは有名校の前に前夜から寝袋で列を作って順番を待つ人です。なんでも2晩泊った人もいるとか。人数制限があるから並んだ順番なのかその後で抽選があるのか知りませんが、大変ですね。
 私は子供が二人いるが同じ学校に入れなかったので送り迎えが厳しいとこぼしている人がニュースに出ました。
 会社員の時代、学校が休みに入ると車の量が目立って少なくなったのを思い出します。日本と違って子供が歩いて登校するのはチリではありません。スクールバスに乗るか親が送り迎えをするわけです。
 さて大学入試の結果が出たので、学生は自分の勝ち取った点数をもとにどの大学のどの学部に入れるか探しはじめました。日本の一発勝負より落ち着けますね。
3)山火事
 まだ19の山火事が続いています。それでも今年の山火事の数・焼失面積は昨年とほとんど同じとかで、消防部隊が頑張っているようです。

以上