チリの風 その1036 2023年3月20日-26日

もう秋分の日が来ました。落葉樹の紅葉が目立ちますが、最高気温は34度まで上がる日もあってサンティアゴはまだ夏みたいです。
国税局からメールが来て、税金を支払うようにと書かれていました。その内容がよくわからなかったのでその事務所に行くとなんとそのメールは偽物で、それを触るとひどい目にあうことがあるとか???私には滞納税はないと言う書類を渡してくれました。
いろんなことがありますね。
ラソン練習も2度ちゃんとしました。日曜日の10キロは今年の新記録でした。登山も仲間と第3展望台に登りました。それは3時間コースですが、2時間45分で戻って来ました。私も仲間も高齢者ですが、まだ普通の人の速さで歩いていると言うことが分かります。スポーツはいつもの通りばっちりです。
それから今月下見の旅をしたグループは8月の本番に向けて用意をしていますが、サンティアゴとラパヌイ間の航空券が日本では手に入らないと依頼されここで手配すると、何とそれが手に入りました。つまり本番実施が可能になりました。日本とチリの文化交流になりますね。

火曜日、首都圏でかなり派手な揺れがありました。M5.6の地震でした。
さて日本のニュースがチリのテレビに出ました。野球の話ではありません。東京の桜の話です。満開の桜を多くの人が楽しんでいるとか。

毎週同じことを書いていますが、こうして毎日することがいろいろあって人生を楽しんでいれる私は幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
ボリッチは南部のニュブレ州に向かい、火事の後に建築された避難者のための家屋を見学しました。それから週末はドミニカ共和国を訪問しイベロアメリカ会議に参加しました。 サンティアゴにいたくなかったのでしょうね。
その国際会議ですが、ボリッチの演説は移民のコントロール問題とニカラグア批判がメインでした。ニカラグアの独裁政治で国民が苦しんでいるとしましたが、その国の外相から他国のことに干渉するのは止めてもらえないかとクレームを受けました。移民問題に関しチリの外相はボリビア・ベネスエラの外相と面談した由。
その他に、チリにいるときテレビ電話でウクライナのゼレンスキー大統領と話をしました。

さて今週は、彼の周辺に大きな出来事が二つありました。
まず、彼の実施した大統領恩赦に関し憲法法廷で、それは違法ではないと言う結論になりました。もちろん裁判官の中でもいろんな見解がありますが多数決でボリッチに憲法違反はなかったとされました。左翼の大勝利と言われます。右翼側はすぐに諦めないでさらなる動きを用意しているとか。
強盗を何回もした人間が、左翼として右翼と戦ったので左翼の大統領が恩赦するは不自然ですね。
この結審が出る前に、今までの政府のコメントとは違う話が出ました。それは内務省次官のマヌエル・モンサルべがテレビの番組でボリッチは恩赦された人間の過去の歴史をすべて把握していたと言うものです。政府側は彼はすべての過去を知らなかったとして彼に責任が行かないようにしていたのですが、その次官はボリッチはすべてを知ったうえで恩赦の手続きをしたとしました。
元大統領のラゴスはこの恩赦についてボリッチを批判するコメントしています。いつものように与党内の対立です。共産党新左翼中道左派の争いですね。
歴史的に見て民政化してからの32年間、毎年のように恩赦は行われています。合計で1665人ですが、最初は極端でした。初代大統領のエイルウィンは943人を恩赦しました。軍事政権に逮捕された左翼活動家の釈放ですね。これはエイルウィンにとって一大事でした。表向きに軍事政権を批判すればピノチェットがどう反応するか心配だったからです。それに比べると今年のボリッチの15名はそれほどの重要性はありませんが、これほど話題になるのは彼の大統領としての能力が低い証拠ですね。しかし識者からこの問題に関し二つの見解が出されました。恩赦という制度はチリにとって必要なのか、またそれが必要ならどうして大統領が決断するのか、政治的判断になる大統領より検察長官にそれを任せれば国民が納得する結論をとれるのではないかとされました。確かに新見解ですね。
もう一つの話題は各自が積み立てた年金基金の一部を自己貸し出しとして引き出すことを認める議論が国会でありました。政府は、大蔵大臣を先頭に多くの大臣を議会に送りこみ、 それはチリ国にとっても市民各自にも悪い影響を与えるから拒否するように呼びかけました。ボリッチはその呼びかけをするヒレス議員を恐れているかのように彼女に厳しい批判をしません。
確かにボリッチは議員をしているとき、例えば4回目の引き出し時に、議会で、「私は市民のために働いている。なんとかこの4回目の引き出しを成功させたい」としています。ボリッチは今言っていることと全く逆のことをしていたわけです。ピニェラは笑っているでしょうね。
共産党の議員は賛成に回ったようですが、多数決で 否決され、政府は勝ちましたが、与党の分裂は一層ひどくなりました。ヒレス議員はまだあきらめないで新しい作戦を考えるとか。
先の税制改正案が否決されたのと同じような状況が、国会を動かすのですね。右に行ったり左に行ったり。いつも言うように与党対野党の争いではありません、
2)国会のスキャンダル
 野党のコルデロ下院議員は与党の上院議員カンビジャスは噓つきだと批判しました。3年半前の社会騒乱の時、デモ隊に入っていたカンビジャスは警官の撃った催涙ガスのようなものが目に当たり失明しました。その警官が判明し、裁判の結果有罪になっています。彼女は失明したが国民のため政界に入りたいとしたところ、新左翼系が応援し、当選しました。コルデロは彼女は両眼を失明したとするが、事故の後、携帯を一つの目で見ているビデオがあり彼女が嘘をついているのは明白だとしました。ボリッチはこの問題で、私は常にカンビジャスの横にいることを誓うとしました。
評論家のコメントですが、カンビジャスがデモ隊の前で、この近くのすべてのビル・家屋に火をつけよう、私たちを守ろうとしない現在のシステムを壊しにかかろうと煽っていたとか。最右翼のUDI党の党首が極左に殺されましたが、ボリッチはその殺された人をおちょくったTシャツを喜んで着ていた時期があったとか。
新左翼のレベルが分かりますね。
3)厚生年金
フランスで年金受領の時期を変えるとした政府に国民が大規模な反対運動をしていますが、同じ問題でチリの労働大臣は私たちは年金受領の年代を変更するつもりは全くありませんと確認しました。ただ厚生年金システムAFPが今までの様に順調に進んでいないと言うのがニュースになっています。
2)移民問題
 外務省はボリビアとベネスエラ政府とこの面に関してドミニカでの国際会議でコンタクトを始めました。ボリビアはチリがボリビアの海を返せば話に乗ると言っているとか。両方の国のレベルはかなり理解しがたいですね。
 隣のアルゼンチンが再度、チリの司法を批判しました。アルゼンチン大統領フェルナンデスがチリのソキミチ鉱山の不正関連でマルコ・エンリケ・オミナミMEOを裁判にしているのは根拠のない言いがかりだとするわけです。チリが拒否してもまたクレームを出しましたが、どういう頭なのでしょうか。しかしフェルナンデスもニカラグアを批判するボリッチも同じレベルの人間ですね。

(経済)

1)銅価格と為替 
 銅の価格は1ポンド4.05ドルに上がりました。また4ドルを超えました。良かった。それでペソが強くなり1ドル805ペソになりました。
 アメリカ・スイス・ドイツの銀行が困難な状況にあるようですが、チリ中銀総裁はチリの銀行にその問題がどう影響するか検討を始めているらしい。
2)リチウム
10年前はリチウムの輸出は2.5億ドル(GDPの0.1%)でした。それが価格が上がり量が増えたので、昨年は78億ドル(2.5%)と急上昇。したがってこれをどうコントロールするかが政府の最重要項目になっているとか。来月中に政府案が発表されるとか。中国の名前がまた出てきますね。
 それとは関係ありませんが、中国のTIK TOKが世界で問題になっていますが、チリではその活動を制約することはないと政府はコメントしています。


(一般)
1)麻薬
 チリの大きな問題ですが、今週の話題として次の二つがあります。
 先ずバルパライソで麻薬組織の大物の葬式がありました。その組織の人間が怪しい・危ない行動を起こす可能性があると予想されたので近くの15の学校(小学校から大学まで)がその日休校になりました。それに関し内務大臣が遺憾の意を表明しました。すると学校の授業を保証するのは政府の責任で、「授業が出来なかったのは残念です」と他人事の様にコメントするのは何事かと厳しい批判の声が上がりました。確かにそうですね。
もう一つはサンティアゴのフロリダ区で「麻薬の家」を壊す作業があり、組織の人間ともめました。もう今年に入って4軒目の処置ですが、住民が警官とぶつかったのは初めてです。なんでもその麻薬組織が近くの住民にいろんなプレゼントをしていたとか。例えばパーティを企画したり。
麻薬組織が力をつけているのは明白で、それを抑える・つぶす仕事を政府は実施するべきですね。その区長カーテルは右翼で、次の大統領選挙に出馬したいとか。
同じような関係で麻薬組織から4人の区長が脅迫を受けていて、警察はその4人を援護する係をつけているとか。
2)山火事
44万ヘクタールが燃え、2514軒が消失とか。火事の合計は290か所でまだ5か所の火が消えていません。
3)コロナ問題
今週は新規患者数は3000人台、陽性率は12%ほどでした。PCR検査数が低め安定なので、患者数も伸びることはないでしょう。
厚生省も市民ももう病気のことは忘れたみたい。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦はお休みです。と言うのは明日、チリ代表対パラグアイ代表の国際親善試合がサンティアゴであるからです。
チリ代表は過去7試合と長い間、勝ったことがありません。
明日はどうかな?


以上