チリの風 その996 2022年6月13日-19日

いつものように今週も楽しく忙しかったです。
山歩きは近くのサン・ラモン公園に行って、川のせせらぎを聞きながら歩きました。
それからカホン・デル・マイポ渓谷に行きました。地下鉄とバスを乗り継いで、2時間かけてその渓谷の中心にある町サン・ホセに着きました。そこから近くの丘に歩き、麓歩きを楽しみました。
土曜日のサッカー教室は大人・子ども合わせて十数名の参加者で実施。少し肌寒い日でしたが、楽しくプレーしました。体力では劣っても小さな子供が大きな兄ちゃんと同じ技術を持っているのが楽しいです。
日曜日のマラソン練習も仲間と楽しく走りました。出発の9時は気温9度ほどでしたが、走り始めるとポカポカするのが面白い。
今日は父の日だったので午後、娘がカップルでお菓子をもって挨拶に来てくれました。ありがとう。
静脈血栓症の薬の効果を調べる血液検査をするため病院に行きましたが、結果はばっちり。死ぬまで薬を飲みますが、血栓症で死ぬことはなさそうです。
こうして毎日幸せです。

来週火曜日が祝日なので、月曜日を休みにすると4連休。20万台の車が首都圏から郊外に出て行きました。
今週は晴れの日が少なくどんよりとした冬の日が続きました。
ただ予想と違って雨は降りませんでした。来週はかなりの雨の様子。予報が当たるかな?

(政治)

1)ボリッチ動向
最初の4日間、体調が悪いと自宅勤務をしました。しかし最後の金曜日は大活躍でした。先ず、モネダ宮殿で新税制について演説しましたが、この新税制は誰かを敵にすると言うのではなく、公正に全ての企業に適応するよう改正したいとしました。
その後、先週話題になった第5州の大気汚染問題で、コデルコが所有する精錬所を閉鎖すると発表しました。
「同地区にある10数か所の工場が大気汚染の源泉になっている。それは50年も前から継続している。つまりその間、時の政府は大気汚染の問題より産業開発の方が重要だと判断したわけだ。しかし私たちは違う。この問題で同地区の住民が病気になり、大気汚染指数が発表されると、近くの学校の授業が中止になると言うのは認めがたい。従ってコデルコ銅公社が所有する精錬所を段階的に封鎖することにした。しかし同工場で働く従業員を解雇するつもりはない。彼らとその家族に問題が起きないよう考慮して新政策を実施する」としました。その日の午前中に同社のダイレクター会議が行われ、「我々はチリを代表する企業だ。また世界最大級の銅会社だ。それが市民に与える問題を抑えることが出来ないのは恥になる」とし、同精錬所を永久に閉めることにしたもの。
同工場の労組は同市の道路を封鎖して、反対の動きをしています。全国的に政府案に反対するデモを実施するとしています。しかしボリッチの提案は大気汚染を防ぎ、そのために起きるだろう社員の解雇は認めないとするわけですから、立派なものです。
完全封鎖迄5年と言われますから、その間に同精錬所で行っていた作業を他の地区に移し、その新工場は汚染を出さない(もしくは少なくする)で現状より良くなるわけでしょうね。そこで仕事が見つかれば社員の問題はほとんどでないでしょう。
この問題は4年前、大問題になりましたが、ピニェラは各企業への政府の検査を入れるとあやふやな結論で終え、結局、改善はされませんでした。
そのコデルコの精錬所は最近、運転を止めていたそうですが、同地区の汚染度はあまり変化がなかったとか。つまり、コデルコ以外の15社の方が汚染指数が高いのでしょうね。彼らは汚染縮小のために何をするか発表していません。

今日の新聞に就任100日のボリッチの試行錯誤として10の疑問点が書かれました。就任する前、ピニェラ政権の反政府側だったわけで、そのころの彼の言動と現在がどう違うかの10の事項が書かれています。まず警察で、3年前の社会騒乱以来、警察はデモ隊に襲い掛かると言うコメントをしていましたが、今では警察はしっかり仕事をしていると評価を変えました。マプチェ問題で現地の安全確保に軍隊を使用していますが、それも昔は反対していました。厚生年金の引き戻しも昔は賛成でしたが、今は反対。移動パスも意味はないとしていたのに、今は4回目のワクチンを打っていないと移動パスが無効になると方向転換。その他の件も入れて、就任後は通常の人間になったようです。
2)新憲法委員会
憲法委員会の最後の日に前・元大統領を招いて記念式典を催すようですが、4人の招待大統領の中で2人は招待を断りました。いろんな考え方があるわけですね。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり4.13ドルとこの1月で最も低い数字になりました。それに関連して為替も大きく動き、1ドルが870ペソで終えました。しかし週日に877ペソと過去最高の数字にまでなっています。
少し前、3月30日は777ペソでしたから、わずか2か月と少しで100ペソも下がっています。
インフレがひどいと言うのは、毎週の話題になっていますが、そのため、今年は貧困層の比率が拡大しそうとか。今まで段階的に減少していたのですが。
2)最低賃金
国際機関の発表で世界の数字を比較した所、チリは下から6番目の酷いランクでした。1時間当たり3.3ドルです。ペソが弱くなるとこの数字が下がるわけです。
8月から最低賃金がかなり上がりますから、次回の発表時にはもう少し良いところになるでしょう。一番低いのはメキシコ、そしてブラジル、ロシアでした。
日本は19位で8.2ドルとか。
同じようですが、国際競争力ランクでチリは64か国中、45位になりました。一番良かったのは2005年で19位でした。世界で19位なんて素晴らしい感じですが、政治・経済の混乱から競争力が低下していったのですね。またいつか上に上れるかな?

(一般)

1)コロナ問題
 金曜日12111人の新規患者が出て、最近数か月で最大の数字。昨年、自宅待機令が出ましたが、その時の患者数を上回っています。今年はその自宅待機令は全国の
どこにも出ていません。つまりピニェラ政権の時は危機状況だったのが、現政権ではまだ許容範囲としているわけです。もちろん私は自宅待機に戻りたいとは思いませんが。毎週、患者数が増えているのは心配ですね。
猿菌と呼ばれる新しい病気にかかった最初のチリ人が見つかりました。その人は欧州から戻って来たとか。21日間、入院します。発熱、背中の痛みが目立つとか。それが新しいパンデミックになりませんよう祈ります。
コロナ問題など病気に関連して、この冬休みを大きく変更します。冬休みの開始を早め、期間を長くします。子供は大喜びと言う雰囲気はありませんが。

2)マプチェ問題
先週の動きは緊張感が上限まで達したと言う感じでしたが、今週も変わりません。ボリッチは軍隊派遣の延期を要請し、国会がこれを承認しました。普通、政府案は与党がイエス、野党がノーとするのですが、この案件では逆で、右翼の野党は全部、賛成で、与党は賛否に分かれました。共産党新左翼は軍隊を使用すると言うのに違和感があり、軍隊を中心にするこの法案は認められないとするわけです。
今週も、マプチェなどの反政府運動は活発に行われ、重機・家屋への放火は日常茶飯事になっています。

(スポーツ)

1)サッカー 
チリ代表チームは3連敗でアジア遠征を終えました。黄金時代と呼ばれるアメリカップ2連勝の代表選手は今回は全部外し、(一人だけ残っていましたが)若手を起用しました。つまり今回負けても2,3年後にまた高いレベルになれると言う計画です。そうなれば良いのですが。
以前、私と一緒にマラソン練習をしていた友人からメールが入り、チリ対チュニジア戦を神戸に見にいったとか。応援のため、ちゃんとチリのユニフォームを着て。
うれしいです、チリのイメージが日本人の心に残っているのが。
国内リーグ戦は来月までお休みですが、それとは別のチリカップ戦が始まりました。それは1部2部リーグのチームが参加するもので、ホーム・アウェーの2試合です決まります。
今週の人気チームの結果はコロコロは引き分け、カトリカとチリ大学は勝利でした。


以上