チリの風 その146 2023年5月29日ー6月4日

先週と同じく初冬の日が続くサンティアゴです。天気予報では金曜・土曜日に雨が降るはずでしたが全く外れました。
買い物にモールに行くと青年が近づいてきて、私に話しかけてきました。あなたはマラソンを走っていますね。父と二人で何回も見ました。しばらく話し込んだ後、父にあなたと会ったことを伝えたいので二人の写真を取らせてくださいと言われました。知らない人に写真を撮らせてほしいと頼まれるなんて。
私は目が悪いので、今週. 眼科に行って定期検査を受けました。指示された目薬を使っているので、昨年より両眼ともに良くなったとか。嬉しい。
スポーツは運が悪かったです。山歩きに山岳公園に行くと5月31日はお休みですとされました。何かメンテナンスをするのでしょうが。それで戻りはバスに乗らず家まで歩きました。もちろんその他の丘歩きは2か所に行って楽しみました。
ラソン練習も火曜日に10キロを走っているとき途中で蹴躓き、転倒はしませんでしたが、手をついてしまいました。日曜日も仲間はしっかり走りましたが、私はトボトボ。たまにはそんなこともありますね。それからチリ人の友だちを呼んで夕食を一緒にしました。
つまり、運があってもなくても楽しく生きています。
いつも書くように今週も幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
ボリッチはブラジル訪問しました。その理由は南米12か国会議に出席するためでした。
ブラジルとアルゼンチン大統領はラテンアメリカに共通の貨幣を作ろうと意気込んでいますが、そう言ったシステムが出来ればラ米では3大国つまりブラジル・アルゼンチンそしてメキシコに有利な 状況が見込まれます。すると小国のウルグアイやチリには逆風になるとか。
ボリッチは演説の中でベネスエラを援護する方向で発言。それはアメリカやECがその国を制裁しようとする姿勢を咎め、国でなく国民を考えてほしいとしました。国への制裁で傷つくのは国より国民だというわけです。 中道左派ではなく共産党新左翼の立場での発言でした。ところがその後、同国には人権・人道問題があるとコメントしました。これは与党の中道左派の考えです。チリ共産党員の首都圏の区長は他国のことに口を出すな,チリにもその問題はあるだろうと厳しいクレームをしました。ボリッチと共産党は仲間なのか敵なのか良く分かりません。ボリッチの2重の考え方がこうした問題を呼ぶわけですね。
2枚舌ではなく、違う考えが彼の頭の中にあるのでしょうか。

さてチリに戻ってきて、木曜日に今年の年次教書の発表を国会議事堂で実施しました。午前中に始まったのですが、何と3時間半も演説が続きました。過去最高の長さとか。私は気合が入っていないので1時間ちょっとでテレビを見るのを止めました。
そしてその中継を見られなかった人のために夜9時のニュースの時間に全テレビ局で教書の縮小版を発表。半時間でした。他の人には信じられないほどの長時間労働ですが、彼にとってマイクの前で話をするのは楽な仕事なのでしょうね。さすがに翌日はモネダ宮殿には行かず、自宅でオンラインで働いたとか。
さて新聞に教書のエラーが書かれました。例えば、彼は2012年以来新しい刑務所は建設されていないとコメント。(いや。作られている〉。精神病はチリ成人の4人に一人がかかっているが、そのうちわずか20%だけが治療を受けている。(病院関係者がその数字には根拠がないと否定)。それから同じようですが、手術の順番待ちがこの一年間で短くなった(医療関係者がそんな事実はないとコメント)。
しかしチリには報道の自由がありますね。年次教書のエラーをすぐに発表するなんて。
さてボリッチは政府は国民の事を考え必要な提案をし、国会で成立して実施になる。その例として最低賃金のアップ、週40時間労働・・・とかコメントすると議場は大喜びでした。
北部の不法移民問題で、軍隊の助けを得たとし、出席していた陸軍長官に舞台から感謝の言葉を送りました。
リチウムに関しては、近い将来にチリは世界1のリチウム生産国になるとしました。また鉱山のローヤリティ税を増やし国民のために使用するとしました。
今年50周年を迎える軍事革命について、民主主義を守るためチリ政府としてピノチェットの革命を認めることはないと言うと出席者は総立ちで歓声をあげました。
もちろん右翼議員は椅子に座ってブスッとしていましたが。
この教書で一番大事と思われるのは新税制ですが、これが通らないとほとんどの計画が実施できません。右翼はボリッチは増税を訴えるが、私たちはそれに反対するとコメント。議会でもめるでしょうね。
2)新憲法委員会
先の選挙で一番票を集めたのはサンティアゴ共和党のルイス・シルバですが、70万票を超えました。彼は過去50年のチリの歴史を見て、最も尊敬するのはピノチェットだとしました。個人的にも 大統領としても彼のやったことはチリにとって、チリ人にとって素晴らしい業績になっているとしました。共産党はすぐに彼に噛みつきましたが。
共和党はこの新憲法委員会で国民に喜ばれる立派なものが出来なければ、党としては現行憲法を継続することにしたいと発表。そうでしょうね。

(経済)

1)銅価格と為替
 銅の価格は少し上がって3.79ドル。そのため為替もチリペソが強くなって1ドル800ペソでした。
2)4月のGDP 
予想されていた通りかなり沈んでいます。予想ではマイナス0.5%からマイナス1.5%になるだろうでしたが、中銀発表でマイナス1.1%でした。鉱業 より商業が落ち込み、衣服・食料・車などでなんとマイナス7.7%でした。今年の通年でマイナスにならないためにはかなり風を入れ替える必要がありますね。
3)マンションの価格
 ラ米で価格の高い都市は1位がモンテビデオ、2位がサンティアゴ、3位がメキシコ市、そして4位はブエノスアイレスでした。チリもそこまで上がったわけですね。10年前とは大きな違いです。
4)女性の進出
ソフォファ(経団連)の会長に女性のナバロが選ばれました。歴史上初めての女性議長です。チリでは男女の差がずいぶん少なくなりましたね。

(一般)

1)大気汚染
月曜日に首都圏で準非常事態宣言が出され、車の通行禁止拡大や薪などのストーブ使用禁止令が出ました。確かに丘の上から街を見るとスモッグが覆っています。
バルパライソ州のベンタナ地区にあるコデルコの精錬所は汚染問題があります。コデルコは、約60年の歴史を閉じて、その工場を閉めると発表しました。その地区には他に幾つかの工場があります。それらを全部、閉めるのかと聞かれた自然保護省大臣は検討中ですと回答しました。
2)発砲事件
とうとうチリもアメリカみたいになりました。首都圏の学校で14歳の生徒が教室で発砲しました。死傷者は出ませんでしたが、警察に逮捕されました。彼の家をを捜索すると武器のほかに麻薬が見つかりました。
教書でボリッチは犯罪抑制は最も重要な仕事になると言っていますが、こうして犯罪事件は増加しています。麻薬組織の動きは目を見張るほどとか。それから今週は南部のマプチェの事件が17件も起きました。その一つですが、学校に放火があり、建物が燃え上がりました。
それに関し内務大臣が新しい手を打つとしました。現在、特別区として軍隊の駐在を認めていますが、それだけでは問題解決にはなっていません。詳しい数字はしりませんが、同地区に駐在する兵隊の数はチリ全土の5%にもならないでしょうから、現行の2倍にすればもっと監視ができるかもしれません。それからいつも言うようにその暴力組織の収入減になっている麻薬関連の捜査をもっとやれば彼らの暴行を抑えることになるのでは?

(スポーツ)

1)テニス
全仏オープンが始まり世界35位に位置するニコラス・ジャリーは初戦を勝って2回戦に進出。2回戦も勝って3回戦へ。それにも勝ってベスト16になりました。
月曜日の試合に勝つとベスト8です。久しぶりにチリのテニスが目立ちますね。


以上