チリの風 その979 2022年2月14日ー20日

なんと木曜日は最高気温が34度迄上がったサンティアゴです。まだ真夏ですね。来週は少しは暑さが和らぐかな?
私にとって今週の最大の話題はなんと言ってもパタゴニアの講演です。カマラ月例会に参加の100名の会員を前にちゃんと40分、話しました。
参加者の方からメールをもらいました。内容は知らない事ばかりで役に立った、面白かったとされました。うれしいです。
そして足の手入れに行きました。角質を削ったりしてもらいましたが、私は他の人より足を多く使っているので傷も多いのでしょうね。それから靴の問題も指摘されましたので、マラソンシューズを新しいのに変えました。
また、もうすぐ帰国する方を招待して話し込みました。チリの思い出を胸に日本で頑張ってほしいです。
土曜日のサッカー教室は中止になりました。なんでも関係者に陽性者が出たので学校から中止を要請されたからです。この先、どうなるかな?
日曜日は仲間と3人でマラソン練習。新しい靴で楽しく走りました。

(政治)

1)ピニェラ動向
バケーションから少し早く帰ってきました。 もう少しで任期が終わるから、ここで夏休みを取る必要はないと思いますが、彼はちゃんと規則を守って2月の初めからバケーションに入りました。もっともオンラインで仕事は続けていたらしい。そして早めに休みを終え戻って来たとか。彼の考えが良く分かりません。
地下鉄の新路線7号線の建設が開始されます。25億ドルを投資するとか。ピニェラはその記念式典に参加し、サンティアゴの発展に寄与する新路線の開始は喜びですとしました。
パラグアイの大統領がチリを訪問してきてピニェラと面談。南米の仲間として共同活動を進めたいとしました。
任期は 残り僅かになりましたが、彼の今回の政権を支持するはほんのわずかで、拒否するが50%を越え、民主化してからの歴代政権で最悪の数字になりました。彼の第1次政権はこれほどひどくはなかったのですが。
新聞の特集記事で「彼の政権を潰した2年前の社会騒乱 」と言う記事がありましたが、確かに地下鉄の駅を壊して運行を止めるなど常識外れの騒乱で、チリの社会が一気に崩壊しました。それにピニェラも付き合わされたのですね。
さて北部の不法移民問題で、4郡に特別令が発令され、軍隊が不法入国をチェックしています。
南部のテロ事件と同じように警察だけでは対応できないと考えられたケースです。
2)ボリッチ動向
彼は夏休みを取って太平洋の孤島フアン・フェルナンデス島(別名ロビンソンクルソー島)へ飛びました。もう観光客ではないですから、護衛の人も大変ですね。 いや喜んでいるかな?
それから3月からの新居が決まったらしい。サンティアゴ中心部にある旧市街の大きな古い家です。
3)新憲法委員会
今まで討議してきた事項をどのように新憲法に入れるかの投票が始まり、毎日何件も結論が出ています。
国の形、国会の仕組み、裁判所の運営、先住民問題とか議題は山積みですね。
中道左派で一時チリの政権を握っていた政党の中の一部のグループが、その中には共産党新左翼も入っていません、この新憲法委員会の批判を始めました。このままでは国民のための新憲法が用意されないと言うわけです。

(経済)

1)チリ経済の見込み
先週、南米の中で経済的にもっとも安定した国の地位をウルグアイに取られたチリについて、世界銀行の主任経済者レイナルトが語った特集記事が出ました。チリの地位が落ちたことは昨年、アメリカのフィッチ社などの評価が下がったことと関連しています。
さてその中で彼女は「2020年は世界の経済が大きく下がった。従ってそれの回復を図ることが各国にとって最重要項目になった。チリの場合、2021年に前年に落ちたのをほとんど回復している。さらにチリの場合、大きな負債が無かったのも幸いしている。また1980年代の世界的経済危機の時に国内経済体制を立て直したのが今回の早期復興に役に立っている。
インフレの問題はチリだけでなく世界各地で起きており、原油の価格が上昇するなどチリが簡単に対処できない項目も関連している。2021年はチリにとってうまく行った年になったが、2022年がどうなるかは新政府の対処方針も関連するわけで様子を見る必要がある」としました。
同じく、ヘリテージ機関の発表でチリの自由貿易度の世界順位は昨年の19位から一つ下がって今年は20位でした。しかし2016年は7位でしたから、大きく落ち込んだことが分かります。バチェレット政権の後期からチリの経済政策は精彩を欠き始め、ピニェラで落ち込んだわけです。
これをボリッチが何とか立て直せるのか、このまま低迷するのか注目ですね。
2)銅価格と為替
銅の価格は4.54ドルと先週とほとんど変わりません。超高値が安定継続です。そのため為替は1ドル799ペソと800ペソの壁を割ってペソ高になっています。
3)水不足
 高温と雨が降らないことから首都圏の水道が危ないとされています。特にラス・コンデス区など東部の区で断水が予想されています。それを防ぐためアンディーナ水道社はマイポ地区の水利権を購入して貯水に充てることにしました。これで今年の冬の断水は無いだろうとのことです。

(一般)

1)コロナ問題
この1か月間のPCR検査数は以前の2倍になっています。それで新規患者数も2倍になっています。
ワクチンの接種者数ですが、3回接種したのは人口の66%、2回は87%、1回だけは90%です。逆に言うと人口の10%はまだ1回も接種していないわけです。
陽性率はこの1週間、25%前後で動きません。こんな状況の時、以前は首都圏は自宅待機になりましたが、今年は全くその動きはありません。
私個人としては、1週間自宅で待機させられるのは耐えられない苦しみでしたが、病気が全然おさまらないのも困った状況ですね。 厚生大臣は今回のピークは越えたとコメントしました。もしそうなら、昨年の自宅待機令は不必要な強制だったと
いう可能性もあります。いや、ワクチンの接種が進んだからだと切り返すなら、どうして今回これほど患者数が増加したのかと言わざるを得ません。
さてオミクロンの変種その2がチリで少しづつ見つかっています。
こうして患者が増え、病床が殆ど満員になってきました。地域によっては空いたところがなく、首都圏に移送されるケースもあるらしい。
さて来月から今年度の授業が始まります。今年は全校が通常授業になるはずでしたが、コロナがおさまらず3月にどうなるか予断を許しません。
2)不法移民
北部の4郡で特別令が敷かれ、不法移民の侵入を防ぐことになりました。不思議なのはそれが始まった日、テレビカメラの前を数百人もの移民が侵入してきました。テレビ局が分かるなら軍隊もわかるでしょう。どうしてそんな大勢の人間が入ってこれるの?
それが放映された翌日からガラッと流れが変わりました。移民が入国してくる地点に銃を持った軍人がたち、マイクでここから入国はできませんと警告。移民の流れがパタッと止まりました。
さて不法移民をボリビア側に追放した件に関して、ボリビアはその「不法侵入」移民の入国を認めないとかで(その中にボリビア人もいましたから、それらのボリビア人だけは入国を認めるが、それ以外は拒否の方針)そのボリビアから拒否された移民は再度、兵隊の隙を狙って夜間にチリ側に戻って来るとか。
しかしその不法移民の人たちはよくそんな動きを続ける力がありますね。食べ物も寝るところも無く、高地の寒さ・雨にも襲われるのに。 2,3日はともかくそれ以上の期間では命にかかわりますね。
テレビカメラの前で「私は家族のために戦っています」とコメントしていました。
内務大臣は特別令でうまく行かなければ外出禁止令を敷いて、どんな時間でも、外を歩いていると逮捕することも考えているとしました。
全般的な事実として、2016年からチリで働きたいとする移民の数が急に増え年間で14万人、それが2017年に30万人にもなりましたが、コロナ問題で2020年は2万人に、そして2021年はマイナス3万人になりました。それは今年になったまた増えてきているわけです。最も多いのがべネスエラ人です。
さてその正規の移民の他にイミグレを通らず、不法に入ってくる移民は、分かっている所ではこの5年間で9万人、そしてべネスエラ人が6万人で断トツです。
次期政権のボリッチは国境を閉めるのかオープンにするのだろうかと新聞に書かれています。

3)陸軍の不正問題
元陸軍長官のイスリエタが公金横領の罪で裁判になっていますが、彼が自分の財産を娘などに隠して移したことが分かりました。それに二人の判事が関連している・関与したとして調査が始まりました。彼を後ろから助けようとしたのでしょうか? その事件は悲しいですが、それが公になって裁判になるのはうれしいです。公明正大は必要ですから。
4)人気観光地
チリでどこが観光地として素晴らしいかと言う投票があり、それで選ばれたのは1位がパタゴニアのトレス・デル・パイネ、2位はイースター島、3位はアイセン州のトルテル、4位にチロエ島世界遺産の教会が選ばれました。

(スポーツ)

1)サッカー
人気3大グループの結果ですが、カトリカは勝利、コロコロは引き分け、チリ大学は明日の月曜日に試合です。
この結果、3試合が終わって、首位は3連勝のカトリカになりました。
もっとも明日、チリ大学が勝てば、首位に並びます。
2)ゴルフ
ニーマンがロス・アンジェレスのPGAツァーで優勝。これは2回目の優勝です。このまま世界のトップレベルに迎えるかな?
3)冬季オリンピック
北京の大会が終わりましたが、チリは一つもメダルを獲得できませんでした。
ちゃんとスキー場もあるのに銅メダル位取ってほしいです。


以上