サンティアゴは落ち着いた初夏の日が続いています。近くの道路に街路樹として植えられているジャカランダの紫の花が道路にたくさん落ちています。
今週も話題は幾つもあります。
一番うれしかったのは月曜日に学校で、仲間と二人で、中学生に特別授業としてチリの歴史を話したことです。
以前にも何度か実施していますが、昨年はコロナで中断したので、久しぶりでした。生徒に喜んでもらえたのがうれしかったです。
その前の土曜日にアポキンドの滝に行きましたから、わずか3日の間に今年の大事な思い出を二つも手に入れました。
それから病院で白内障の手術をしました。15年ほど前に右目の手術をしたのですが、月日がたって今回は左目。中高年ですから身体のあちこちに問題が出てくるのは自明。でも手術でそれ以前よりくっきり見えるようになったのは感激ものです。
このため今週は、山歩きもマラソン練習もサッカー教室も全部中止になりました。来週から元に戻れそうです。
(政治)
1)ピニェラ動向
APEC2021のテレビ会談でピニェラはチリは太陽光発電を大きく伸ばし、200ー600GWほど輸出することも可能としました。海底ケーブルを利用してですね。そんなことが出来るのかな?素晴らしいニュースですが。それから経営者連盟の会議に参加し皆さんの活躍がチリの発展を推し進めるわけで、その皆さんを助けるのは政府として大事な使命ですと話しました。
2)国会
今週の国会の議題の中心は下記の四つです。
大統領糾弾
2022年予算
厚生年金の4回目の引き出し
軍隊の南部特別駐屯
下院と上院で独自の日程で討論が行われますが、特に目立ったのはピニェラ糾弾の件です。
月曜日に最終投票が実施される日程でしたが、それでは新左翼の議員の一部が議会に来られません。
それはボリッチがコロナで陽性になり。その彼と濃厚接触をしていたとしてその仲間の議員も短期間の自宅待機になったからで、火曜日から自由行動が認められました。つまり最終投票が火曜日なら投票に参加できるが、月曜日なら不可能です。
こういう状況で野党は何をしたかと言うと、一人の議員(ナランホ社会党員)が演説を始め、延々と話します。そんな長い間、話を続けるのは不可能ですから彼は書いたものを読みました。何のレポートだったか知りませんが。
それが15時間も続き、月曜日の夜中、つまり火曜日になるまで話し続けました。その間に新左翼議員は国会に入り、火曜日になってから投票が行われたので、ちゃんと投票しました。世界的に有名になりそうなあほな話ですね。
そうして下院では法案は成立しました。
もちろん上下院の両方で合意しなければ法律にはなりませんから、すぐには結果は出ませんが、チリの国会はレベルが低いと言えそうです。
今日の新聞の社説に、こんなバカげたことを認めないように新憲法委員会は準備してほしいと書かれました。私の考えと同じことを新聞社も考えています。
年金の4回目の引き出しに関しては上院で否決されました。これはチリの経済に大きな影響を出しました。安定化が望めると言うことですが、このため、厚生年金運営の中の一番安全な部門になる国内投資が急上昇し、10月は3.9%の損失だったのが11月は今までの所、全く逆の3.9%の上昇となりました。そのまま続くかな?
3)大統領選挙
大統領と国会議員の選挙があと1週間になりました。それだけ投票日が接近しても一向に盛り上がりません。候補者に魅力がないのか、民衆に興味がないのか分かりませんが、今までの選挙の熱気は消えています。
以前は候補者が駅前で演説するとか、選挙運動カーが走るとかがありましたが、今回は立て看板が並ぶだけです。
面白いのは外交関係で、最近ニカラグアの大統領が選ばれましたが、その選挙がおかしいと各国が批判しています。
チリ政府も認められない選挙だとコメントしました。
しかしチリ共産党は同胞のオルテガを讃える方針が固く、チリ政府のコメントを批判しています。ところで共産党が推す新左翼のボリッチは、オルテガの4回連続の当選が公明正大な選挙で確認されたと思えないと批判するコメントを出し、同盟の共産党と真っ向から対決。共産党はもろにボリッチを批判していませんが、一触即発の危ない雰囲気とか。
共産党の議員候補の一人はチリがキューバやべネスエラのように動けばもっと素晴らしい国になると発言しました。
共産党って普通の考えをしませんね。
一番右翼の候補者カストは現政権はその4年間で社会格差の縮小・市民の安全・経済開発などの主要項目で全く成果をだせなかったとしました。野党候補の批判よりきついかな。
彼は不法移民は全員追放とか南部の問題地点には軍隊の駐屯などと軍事政権時代のようなコメントを出していますが、それが一部の市民に受けているようです。おまけになんとニカラグアの独裁政権と違いチリの場合は軍事政権でも市民の拷問・処刑などはなかったとしました。もちろん事実と違うと他の候補者は反論しています。シーシェルは軍事政権を誉めるコメントをするのは民主主義とは程遠いとしています。
チリがブラジルのような右翼政権にならないことを願うと言う論文も新聞で出ました。
ピニェラは自分の政権で大臣をしたシーシェルを応援していますが、世論ではカストがその上を行っていますから毎日、落ちつかない日々を送っているらしい。当初は大統領選挙に積極的にシーシェルを推していましたが、今は口を閉じています。
新左翼のボリッチは南米最南端の街プンタ・アレナスの裕福な家庭に生まれました。法学を学ぶためチリ大学に入り、そこで学生運動にのめりこみました。ペンギン運動と呼ばれたその運動のリーダーになり、すぐに議員に選ばれました。
今、まだ35歳ですから最も若い候補者ですね。
民主化してからチリの政界の中心だったキリスト教民主党DCと社会党はこの選挙の後、分裂すると言う噂が出ています。
グループ内選挙で勝ったDCの候補者を社会党は殆ど応援していません。見下していた新左翼・共産党に逆に見下されそう。
政界は動きますね、いつまでも同じではありません。
(経済)
1)物価上昇率IPC
10月のIPCは1.3%と10月としては2008年以来の高い数字。過去12か月では6.0%です。
このまま物価上昇が続くのか少しは落ち着くのか、政府も企業も、市民もドキドキです。
2)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.46ドルと高値安定。このため為替は1ドル791ペソとかなりペソ高になりました。中国がどう動くか注目されます。
(一般)
1)コロナ問題
悪い方向にどんどん進んでいます。木曜日は感染者数が2950人と数か月ぶりの大きな数字。陽性率も3.5%まで上がっています。陽性率は連日3%以上です。
感染者数は15000人と上昇しています。
このため都市封鎖のアイデアが再燃し、サンティアゴもレベル2まで落ちて週末は外出禁止になると言う噂が流れました。私は、またあの悪夢が戻るのかと落ち込みましたが、木曜日の政府の発表ではそれはありませんでした。危なかった。でも可能性は残っています。来週の選挙には影響しないかな?
2)マプチェ問題
危険な事件は継続です。どうして犯罪グループを摘発できないのかな?市民調査で80%の人が軍隊の駐屯の継続を望んでいるとか。
それからマプチェとは関係ないですが、サンティアゴのイタリア広場の暴動はいつもの金曜日の夕方に起き、6名が逮捕されました。ほとんど趣味で暴動をしているみたいです。
3)学校教育
もうほとんどの学校が授業を再起していますが、まだオンラインのところもあります。
教育大臣が来年度から(来年3月開始)教育はすべて学校で実施されると発表しました。
すると教員組合の代表がコロナの実態を調べず、先生・生徒に危険を伴う授業再開を言うとは何事かと厳しく批判しました。しかし世界にはいろんな人がいるのですね。子供が勉強を学校でなく、オンラインで家でする方が良いと言うなんて。授業だけではないですね、子供同士の連絡・関係がどれほど重要かわからないのかな?