チリの風  その961  2021年10月11日ー17日

今週は晴れた日が多かったですが、火・木曜日のサンティアゴは曇って、少し小粒の雨が降りました。
土曜日、登山教室があり大人子供合わせて22名が集まりました。今回は第1展望台が目標で小さな子供も頑張って歩きました。3時間半の歩きでした。自然の中で野鳥や野原の花を見ながら歩く楽しみを覚えてほしいです。珍しくコンドルが飛ぶのを見ました。
もちろんマラソン練習も継続です。週日のほかに日曜日に仲間と3名で走りました。ただ残念なのは4年前にハーフマラソンを走っているのに今は10キロでヨレヨレになります。この2年間、コロナ問題でちゃんとしたトレーニングができなかったのでレベルが落ちたのでしょうが、悲しい事実。まぁ、それでもまだ走れるのがうれしいと言うべきでしょうね。
さて金曜日、イタリア広場の近くに用事があって嫁さんと行ってきました。そこは毎週、金曜日にデモ隊と警察がぶつかる場所です。地下鉄バケダーノ駅は一つだけ残して全部出入り口が閉まっていました。用事が終わって戻る時、まだデモ隊はいませんでしたが、テレビを見ると5時半から騒ぎが起こりメーン道路はデモ隊が抑えて車の通行はできませんでした。また駅は閉められそこでの乗り降りは不可能でした。どうして毎週同じことが起こるのかな?来週は社会騒動2周年記念のもっと危ない週です。

(政治)

1)ピニェラ動向
彼を糾弾する動きは国会で取り上げられました。それは決定的なものになるかもしれません。つまり最悪の状況で任期を終えることになりそうです。任期が終わってから裁判になるとか???
検察は新しい情報を手に入れたとコメントしていますから、安易に時間つぶしをして逃げる可能性はないようです。
今週の彼の動向の最大の話題はマプチェ問題のある第8州(ビオビオ)9州(アラウカニア)の各2地区に緊急事態宣言を出したことです。
つまり同地区で軍隊の行動を認めることになりました。期間はまず15日、その後必要ならさらに15日が追加されます。軍隊は組織を警察軍の下に置き、活動を行うことになります。随分前からその必要性が訴えられていましたが、ピニェラ政権の最後になって実行されました。どんな結果が出るのか、15日は正常〈有効)な期間なのかが注目されます。
この宣言が出てすぐに彼らは反応し、トラックや重機のほかに家屋にも放火事件が起きました。捕まえられるものなら捕まえてみろと挑戦しているわけですね。
これらに抗議するトラックの道路封鎖ストは第9州だけでなく第8州に飛び火しました。いつまで続くのかな?
2)大統領選挙
月曜日、候補者の討論会がありました。7名の候補者の内、一人はアメリカから帰国できないので6名で実施されました。
現在の一番人気の新左翼の若手ボリッチは政治の現状に関し、「大統領が不正を疑われ、警察軍の前トップの二人が裁判所に行くなんてどう考えても通常ではなく、それを改革するのは正常だろう」と改善をすることを訴えました。
ところで候補者のスキャンダルが出ています。
与党側で予備選挙に勝ったシーシェルが以前の選挙の時の選挙資金で不正をしていたと言うものです。彼はそれを否定していますが、もちろん関連なしとは思えません。もちろん、そんな情報は以前から分かっていたのでしょうが、それを少しづつ出していくタイミングを狙っていたのでしょうね。
予備選挙で与党側の代表になってシシェルがこうして下落していくので、与党の中から彼を外して、もう一人の右翼候補カストを推すと言う声が出ています。ところがそのカストもパナマを使って商売を行っていたらしい。彼はそれは自分の兄弟のことで私個人は外国での投資は全くないとコメント。こうして右翼側の二人は不味い情報が明るみに出て大変です。
もちろん野党側のプロボステも弁護士の夫が何かの不正事件に関与していたと言われています。彼女は大統領の候補は私で夫は何の関係もないとコメントしていますが・・・
こうして右も左も政治家は汚いと言うイメージが固定していきます。
で、結論はどうなるのかな?
今まで中道左翼は3大政党があり、それはキリスト教民主党DC,社会党、そこから分離した民主主義の党PPDです。そこが民主化以降ほとんどの政権を出してきました。新左翼共産党はその他大勢の中に入っていたのですが、今回はそこが主流になり、3大政党はDCが何とか候補者を出していますが、ほかは沈んでいます。
今日発表の二つの世論調査の結果は大きく異なっています。まず一つ目は上から人気のある順でボリッチ、カスト、プロボステそしてシーシェルでした。しかしもう一つの調査の結果は1位はカスト、2位がボリッチでした。チリ人で自分は左翼だか、今回は右翼に投票すると言う人がいます。
日曜日の新聞の特集で共産党と組んだ新左翼のボリッチが勝てば、べネスエラが歩んだ道をチリも歩くことになるとする厳しい論文が掲載されました。
外国からの投資が激減するのでしょうか。
大統領だけでなく国会議員の選挙もあるのですが、全く盛り上がりません。


(経済)

1)IMFの発表でチリの今年の経済成長率は12%になるだろうとのこと。もう何度もあちこちの機関で予想されているので間違いないでしょう。
今年は持ち直すけど、来年はどうかな?これが最重要項目ですね。
大統領選挙の結果で大きくチリの将来は変わるでしょう。
2)中銀金利の上昇
チリ中央銀行は公定金利を一気に1.25%上げました。つまり1.5%だったのが2.75%になったわけです。もちろん家屋の販売など銀行から借り入れを考えている人には大きな影響がでます。銀行は家屋購買の貸出期間を30年から20年に縮めています。
なんでもチリの金利上昇は今年度世界4位だとか。1位はブラジルですが、そんなケースでブラジルとトップ争いはしてほしくないです。
3)銅価格と為替
銅の価格は金曜日13年ぶりと言う急上昇を見せました。1日で5.86%上げて1ポンド4.79ドルになりました。中国経済が順調と言われますが、本当ですかね?
為替は1ドル817ペソで終えました。
4)年金システム
マーサー社は世界の年金システムのランクを発表しました。上位は北欧の国ですが、チリは12位と上位を占めました。アメリカや日本より上位です。
チリ方式は各自が積み上げた基金を年金会社が運営し、それが将来の各自の年金になるわけで、少子化や老人層の増加などは各自の年金に影響しません。もちろん積み立てた金額が少なければもらえる年金も少ないわけで、こんな年金では生きていけないと言うクレームは良くあります。
しかし9月のチリの年金運営結果は全ランクで赤字だったとか。一番危険だが利益の可能性も高いAランクから、利益は少ないが安全なEランクまでの5段階がありますが、それがなんと全部赤字でした。つまりすべての人の積み立てた金額が減少したわけですね。
チリではこうした数字が分かりますが、日本の年金制度でもこれらの数字は公表されているのでしょうか?

(一般)

1)コロナ問題
新規患者数が1000名を超える日が三日続きました。一日、少し良くなりましたが、また上がり、7月23日以来の1703人を記録しました。
そして陽性率が2.45%まで上がり、それは85日ぶりの高い数字。一時期の5倍まで上昇です。
すると今までの規制を全部外し、例えば深夜まで飲んだり食ったりするのを認めたのはエラーだったのかと言うことになります。このまま落ち着くのかまだ上昇を続けるのか。もう外出禁止令の復活は聞きたくもないですが。
入院患者の数字も、もちろん、上がってきています。
2)移民問題
この3連休で3人も不法入国者が死亡しました。ボリビアから不法入国した女性2人と乳幼児1人が健康不全で地区の病院に運び込まれ手当てを受けたのに死亡したとか。高地の夜は極端に冷え込みますから、用意の足りない人には厳しい条件ですね。
そして不法移民グループのガイドをしていた人間が逮捕されました。いつものことです。しかしそんな情報は不法移民希望者に伝わらないのでしょうか。自分たちは命を懸けてチリに入り込もうとしているなんて。
さてアメリカの各国の移民状況です。2020年の数字ですが、トップはカナダで住民の21.3%が移民、アメリカは3位(15.3%)そしてチリは5番目で8.6%。
チリの移民数130万人で一番多いのはべネスエラ人で52万人、次いでペルー、ハイチでした、
3)そのほか
世界各国の健康寿命のランキングが発表されました。世界1位は日本で男女平均で74.1歳。チリは世界30位で70歳でした。
つまりその年齢を超すと一人では生きていけない(介護が必要になる)のですね。私もその危ない時期に入っています。

(スポーツ)

1)サッカー
国際戦として、この木曜日、世界大会の予選が行われ、チリはホームでべネスエラと対戦しました。2対0で勝ちました。先週からの2連勝で8位だったランクを2つ上げ6位です。まだワールドカップの参加資格はないですが、そのレベルに近づいています。南米4チームが自動的に参加可能。5位のチームは他の地区の代表との最終戦に参加になります。
11月に行われる2試合に勝てばチリは4位になると言われています。甘いかな。
国内リーグ戦は先週の予想どうり2位のカトリカが勝って首位コロコロとの差を2点に縮めました。今月末の両チームの対戦で順位が入れ替わるかもしれません。


以上