チリの風 その1022 2022年12月12日ー18日

いやー、サンティアゴは暑い日が続いています。連日30度を超える暑さです。なんと木曜日は37度まで上がりました。

それでも今週もスポーツを楽しみました。マラソンは事故以来2か月ぶりに10キロを完走。事故の前の週より1分遅いだけ。ばっちりです。
登山は仲間と3人で第3展望台へ3時間の歩き。金曜日でしたが、上から見ると郊外の森林火災のため街が赤い煙で覆われていました。それから3人とも日本にいるとき、富士山に登頂していました。
土曜日はサッカー教室。今年最後ですが、練習最後の試合で盛り上がりました。
日曜日のマラソン練習は仲間3人と練習しました。
今夜、近くの公園でクリスマス音楽の演奏会があり、聞きに行きました。
今年は大きな事故があったのに、こうして楽しく終われそうです。いつまで続くかわかりませんが幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
クロアチアの大統領ソラン・ミラノビッチとモネダ宮殿で面談しました。彼はボリッチに両国が国交を結んで30年の記念をこうしてお祝いできるのは何よりの喜びとしました。それにボリッチにあなたはクロアチア人としました。これは少しおかしいですね。ボリッチの祖父はチリのパタゴニアに入った最初の欧州移民10名の一人ですが、祖父はユーゴスラビア人でしたから。プンタ・アレナスに立派なユーゴスラビア人会館がありましたが、それがクロアチア人会館に名前が変わりました。それは同国の国内紛争の結果ですね。
彼はそのプンタ・アレナスにも訪問予定とか。なんでもチリ国内に30万人ものクロアチア人とその子孫がいるらしい。
でも彼がチリにいる間にクロアチアはサッカーのワールドカップ準決勝で負けました。怒り狂ったか、泣いてしまったかのどちらかでしょうね。それでも最後は3位になりました。

ボリッチは警察に227台のパトカーを渡しました。3年前は警察はデモ隊をいじめるとクレームしましたが、今は警察と固く手を組んでいます。
彼は市民との集会で皆さんの安全を第1にする政策を実施しますとコメントしました。もっともそれをどう実施するか疑問視する意見と遅すぎるという批判も出ています。警察と軍隊を組んで犯罪グループに充てると言う考えもあるとか。これも問題になるでしょうね。彼は新左翼ですが、最近、かなり右翼ぽいですね、
南部でマプチェに対して特別区を設定し軍隊を派遣していますが、それを北部でも実施するかもしれません。
不法移民が多く入り市民の安全が脅かされている北部に今週、トア内務大臣が訪問し、アリカで軍隊の派遣を示唆しました。今までと同じくペルーとの国境から不正に入国する移民が後を絶ちません。その辺りには地雷が置かれていますが、車がその地雷で破壊されたのが映りました。
乗っていた人がどうなったかはわかりません。さてそのペルーですが政治不安から国が機能せず、大勢の観光客が自国に帰れない状態です。チリの外務大臣も同国に残されているチリ人をどう保護するか考慮中とか。
ところでペルー国内でチリに奪われた土地(アリカなど)の返還を要求しようと言う声が出ているとか。太平洋戦争でチリに負けて取られた領土ですね。ボリビア国際法廷に訴えたのと同じことです。

ところで、ボリッチがチリに住み始めたバチェレットと手を組んで歩いているのがテレビに出ました。彼女の知恵を借りるのでしょうか。
またボリッチは森林火災視察のため隣州のバルパライソに出向き警察軍のヘリコプターで上から火災を見ました。そして消火に当たって負傷した消防員を見舞いました。これがしばらく続きそうです。
2)新憲法
とうとう各党の間で合意事項が出ました。それを国会で最終確認をしますが、投票時期設定も考えられています。
前回の新憲法委員会の議員を全員選挙で選んだ失敗を避け、議員・専門家それに一般市民の3つのカテゴリーになります。
専門家の中に前・元大統領を入れるか討議しているとか。なんでも上下院議員24名、専門家24名そして一般市民委員50名の構成とか。
これらに関する投票は自由ではなく義務制にすることを考えているらしい。義務制でなければ、投票所に行かない人が大勢出ることは間違いないでしょう。
ところで新憲法案が少し進んだこともあってチリ国の安定性は6月末以来、最も良いランクになりました。落ち着てきたとみられるわけですね。
政府はこのアイデアに関し細かい点には問題があると言われても全般としては大きく一歩前進したと評価しています。
ところで、日本は防衛に関し大きな変化をしていますが、それは憲法違反ではないでしょうか。誰も言いませんが。
3)検察総長
ボリッチは女性のマルタ・エレナを推すことにしました。彼女に関して詳しいことは知りませんが、議員の中からどうしてこんな人を選ぶのかとする批判が出ています???
野党側から、右翼ですが、前回と同じく新左翼と関連があるように見られる人を検察長官候補として推薦するのかとのコメントが出ています。また拒否されるだろうとするわけです。明日、上院で投票されますが、また拒否されたら、政府は検察長官になりたい人は立候補してくださいと逃げるかな?
ドイツでは選挙の時、最低投票数として投票の何パーセントを取れなかった党を認めないシステムがあるそうですが、それを使えば現行のチリの新左翼はほとんど全部が政党になれないとか。
私はボリッチ政権が始まった3月から、彼の基盤の新左翼共産党をあまり良く感じていませんが、多分、一般市民も同じで、次の選挙では両方とも大きく落ち込むでしょう。私の予想ですが・・・。

(経済)

1)来年の経済予想
 新聞の特集で来年の予想が出ました。全体的にはチリの経済成長は来年はマイナス成長だとみられています。ラテンアメリカで唯一マイナス成長になるのがチリとか。そのマイナスのベースですが、一つに政治不安定性があります。新税制の問題とか消費税IVA問題も。
 何と新左翼議員が各自が積み立てている厚生年金を引き出す権利を認める案を出しています。これで6回目です。これはチリ経済にマイナスの動きになると政府は反対していますが新左翼は全く気にしていません。
 そして来年マイナスになった場合、その次の2024年はV字回復できるのか話題になっています。

 ところでガソリン価格は最近10ペソほど(約1円ですね)下がっていますが、来年はメプコシステムのため毎週10ペソほど上がる由。
 ディゼルの方は3週間ごとに30ペソ上げるとか。

2)銅価格と為替
1ポンド当たり3.73ドルと先週よりかなり下がりました。がっかり。為替はほとんど変わらず1ドル875ペソでした。

(一般)

1)暴力行動
マプチェの攻撃を抑えるため国会で南部の特別地区の認定がされ軍隊の駐屯が認められました。もう日常的ですね。
近年の多くの事件の中で印象に残るのはリヒンゲル・マカイ夫婦殺害事件です。老夫婦を家に閉じ込め放火で焼き殺したのですが、それで逮捕され18年の刑で刑務所に入った犯人が、刑期半分もたたないうちに条件付き釈放になりました。しかしテムコの地方裁判所は一般市民と違った考え方をしますね。
高校生の暴力デモ
またバスに放火する事件が起きました。今までに130人が逮捕されています。419件の暴力デモが起きていますが、有名高校の近くで起きたのはIN高校が94件、INBA高校が89件と目立っています。先週に書きましたが、今年は学生数が5万人ほど減少しており、それもいれて文部大臣は何をしているのかとする批判の声が上がっています。
2)山火事
先週の予想通り、山火事が継続です。もうこの先しばらくは山火事問題がコロナ問題よりチリにとって重要問題になりそうです。
今の段階で95か所で火災が起き、そのうち5か所はまだ火災が継続です。8000ヘクタールの火災で死亡者が2名、88の家屋が燃えました。
 昨年より161%も高い数字です。それに関連して放火の疑いで一人が逮捕されました。
その火災のため煙が街を覆い、そのため首都圏で戸外に出ないようにしてほしいと言うコメントが厚生省から出ました。日曜日はそれが解除されました。

3)コロナ問題
感染者数1日4000名、感染率13%くらいが続いています。バスに乗ってもマスクをしていない人の方が多いです。
チリではコロナ問題はもう重要な問題と思われなくなってきました。


以上