チリの風  その956  2021年9月6日―12日

火曜日の夜、雨になって周りの山は雪をかぶりました。水曜日の朝、廊下のガラスを見ると露で曇っていました。その日の最低気温は1度でしたから、外と中の温度にかなり差があったのでしょうね。
さて今まで日本人にチリの歴史を話してきましたが、それに加えてこれからチリ人に日本の歴史の話をするつもりです。
その中で侍の部門がありますが、一般的な話の後に、有名な武士として宮本武蔵の話をしました。最後に巌流島で佐々木小次郎と戦いますが、その時、武蔵がわざと遅れて行って小次郎を怒らせたとすると、チリ人は「その作戦は不愉快だ、小次郎を応援したい」とか。私の話し方が悪いのかな?
土曜日は今年度1回目の登山教室。今回は麓歩きでしたが、20名の参加者で楽しく歩きました。一人で山に入るのも、仲間と歩くのも、子供を連れて行くのもうれしいです。
もちろん日曜日は仲間とマラソン練習。こうして楽しく毎日を送っています。

(政治)

1)ピニェラ動向
  スペインでサンチェス首相、フランスでマクロン大統領、そしてイタリアでマックルジュ大統領と各国で責任者と面談しました。そしてローマでカトリックローマ法王とも話し合い、最期にイギリスに渡ってジョンソン首相と面接しました。派手にがんばりました。
彼は今回は一人で出張し奥さんはチリに残りました。するとスペインの新聞に彼らの仲は最悪だ、大統領職が終わる段階で離婚するだろうとのコメントが載りました。余計なお世話だと言いたいですね。
2)新憲法委員会
委員の二人が先住民関連事項で議長にクレームして議会を退場。議事が中断しました。新聞に今週の委員会は今までで最も混乱があったと書かれています。    
素人の私が見てもこの委員会のレベルは低いです。新憲法を情熱をもって作成すると言う雰囲気は感じられません。
先週問題になった嘘つき委員は医者の診断書を提出して15 日間の自宅休養になりました。それも嘘でしょうね。  
彼は自分は犯罪者ではない、どこでも出頭して釈明すると強気の姿勢。37歳の彼は目と耳にピアスを付け頭は髪の毛をすべて取っているのでどこかのラッパーみたいな雰囲気です。民衆リストのリーダーの一人です。がん患者でも市民のために働くと主張して立候補し、選挙を勝ち抜いて委員になり、そのあと同僚を説得してグループ代表で副委員長になりました。これから死ぬまで民衆の側に立って政治を続けると言っていたのですが。
2年前の社会騒乱の時の主要メンバーでイタリア広場で逮捕されたこともあります。
たった1年くらいの期間の委員会ですから,会のルールの中に委員の解雇などの条項はありません。嘘つき委員をどうすればよいのでしょうか。
ところで155人の委員の中で12名は政府の貧民援助を受けています。それを聞かれるとその委員の一人は、この委員会に入る前に申請しましたと知らん顔。
所で厚生年金の第4回目の引き出しの国会議決が遅れ、18のお祭りの後になるとか。いやはや。
3)大統領選挙
9月22日に第1回公開討論会が開催されます。
いつも軍事政権を応援してきた一番右のUDI党と一番左の共産党には投票しないと思ってきましたが、今回与党側の公認候補になったシーシェルは最近、UDIに接近しているのが明白です。それから新左翼のボリッチに予備選挙で負けた共産党が接近し、君たち新左翼組織力がないから政府は作れない、したがって組織のはっきりしている私たちが助けてあげると後ろから抑えています。
じゃ、その二人を除けば誰が残るのかとなると私の好きでないDCのプロボステしかないです。彼女は嫌いだけど彼女に投票します。
4)区長の汚職
既に東部地区のビタクラ、ラス・コンデス、ロ・バルネチェアの3区で前区長の怪しい行為が問題になっていますが、今週はニュニョア区がそれに加わりました。巨額の金がどこかに消えています。他にも出てくるでしょう。そしてその大半は訴えが正しく旧区長が逮捕されることになるでしょうね。
アルゼンチンやブラジルと違い、チリは不正は少ないと思っていましたが、それは私が知らなかっただけですね。がっかり。

(経済)

1)貿易収支
 8月の貿易収支は600万ドルの黒字でした。輸出は7822百万ドル輸入は7816百万ドル。輸入は新記録で過去最高、昨年より73%もアップ。輸出の中では銅が4383百万ドル、銅のその数字は昨年より40%上昇で、いかにチリが銅に頼っているかが分かります。中国は俺たちは銅を買ってやるから、お前らは車を買えと言うのかな?チリと中国との仲はかなり深いですね。

2)経済成長率
 チリ中銀の発表で、過去12か月間継続してプラス成長で、今年は10.5-11.5%の成長を予想しています。来年度は2,3%に下がる見込み。専門家は4回目の年金引き出しがされれば、物価上昇率の上昇と経済停滞が予想され、チリにとって最悪の行為になると警告しています。
 

(一般)

1)コロナ問題
 毎週同じことを書きますが。他の国ではコロナ問題がぶり返しているのにチリは問題縮小に向かって真っすぐに前進です。
 今週も毎日新規患者の数は3桁でした。例えば月曜日は435人でした。PCR検査の数は45000人でしたから。昔の様に10%の陽性率なら4500人の新規患者になっていますね。一日・二日数字が下がるのは偶然と言う可能性もありますが、チリの場合、新規感染者数が1000人を割っているのが、なんと1か月を超えました。つまり9000人まで行った感染者数が10分の1以下になってそれが継続していると言う証拠です。
毎週、新しいワクチンが到着していますが、来週は11、12歳の子供が対象です。 
そうそう公衆保健局はシノバックのワクチンを6歳以上で12歳までの子供に接種することを承認しました。もっともそんな小さな子供の接種が必要かどうかはまだ世界的に確認されていないようですが。
チリでは癌による死亡者が毎年2.8万人と言われますが、コロナ問題と同じような数字ですね。コロナで死亡となった人が、ほかの原因だったという例もあるでしょうが。
チリは自宅待機令などを緩め、正常生活になっているのに感染者が増えていないのは事実でコロナ問題が収まってきているわけですね。
ところでラ・レイナ区で若者のイベントがありました。あまり人が集まらないよう入場口を閉めたのですが、周りの塀を乗り越え、結局1万人が集まって踊っていました。逮捕者は出ませんでしたが、それがコロナぶり返しす原因にならないよう願います。
19日は軍隊を祝う祝日ですが、恒例の軍隊パレードをオヒギンス公園で実施するかどうか揉めています。多くの人が集まるのは避けるべきですから。同じように18のお祝いの日、カトリックの大聖堂でミサが行われ、大統領が参列しますが、それもどうなるでしょう。
2)国境問題
 ボリビアとの国境に近いコルチャネでボリビア陸軍兵3名が逮捕されました。国境線ではなくチリ領土に何キロか入った地点です。不法侵入で逮捕されるとき、彼らと銃撃戦になりました。けが人は出たけど死者はなく全員逮捕されました。チリ領土で車両を盗んでボリビに持っていく予定だったらしい。
しかしそんなことがあるのですね。
ボリビア側の反応はありません。ボリビアに送り返すのかチリで裁判になるのか、どうなるでしょう。3人は留置されています。
毎週同じですが、今週もマプチェ地区の放火騒ぎが2件ありました。どうして犯人が捕まらないのでしょう。本気で捜査していないか、犯人が分かっても泳がしているかのどちらかでしょうね。
ところでその警官でショックなニュースがありました。他の南米の国ではよく聞くことですが、チリでは珍しい出来事です。何かの件で警官が運転手に見逃してほしいんなら金を出せと言いました。それがちゃんとビデオに残っています。警察は即刻その警官を解雇し、裁判になりそうです。
3)911
 9月11日は世界的にはアメリカの飛行機によるビル突入事件が有名ですが、チリでは911と言えばピノチェットなどの軍隊のクーデターの記念日です、1973年ですからもう50年近く前ですね。
 今年もモネダ宮殿の前にあるアジェンデ像の前で記念式典がありました。そのほかに国立競技場の前でロウソクを灯して犠牲者にお祈りすると言う儀式がありました。革命が起こった時そこで多くの人が収容され、暴行・殺人事件が起きています。
街のあちこちでデモ隊が警察とぶつかりました。多分、そのグループの一部が公共バスを襲い、バスは全焼しました。20数名の逮捕者が出ましたが、例年よりは抗議活動は少なかったとか。

(スポーツ)

1)サッカー
 今回の国際戦の最終になる第3戦が木曜日にコロンビアでありました。南米で下から3位のチリは勝たなければ意味のない試合ですが、結果は1対3の惨敗。下から3位は変わりません。チリより下の国はボリビアとべネスエラです。
10月にまた試合がありますが・・・
私なら、黄金の時代と呼ばれるアメリカ杯に2連勝したころの30代後半の選手をすべて降ろし、若手のチームに替えます。それで一時はレベルが下がりますが、次の世界大会を考えれば必要な犠牲でしょう。

国内リーグ戦は19戦目が終わった今までの所、首位から順にコロコロ(勝ち点37)、アウダックス(34)、カトリカ(32)、ラ・カレラ(32)、そしてチリ大学(30)です。まだ後10試合以上ありますから上位チームには優勝の可能性が残っています。
さてパラリンピックの選手が帰国してきました。金銀銅合計で6つのメダルを取りましたが、サンティアゴの飛行場で拍手で迎えられました。うれしいニュースです。


以上