チリの風  その957  2021年9月13日―19日

とうとう18(ディエシオチョ)が来ました。コロナ問題でいつものお祭り騒ぎとは少し変わりますが。
チリではこの日アサード(焼肉)を楽しみます。肉料理はいつでもありますが、アサードを家族・友人とするのは食事をするだけでなく会話を楽しむのですね。
私の所でも、もちろん、友人を招待してアサードをしました。ベランダに調理機を置いて肉をゆっくり焼きます。窓は全部開けて匂いがこもらないようにしながら。
ワインやカクテル(人気のテレモト)も用意しました。バッチリでした。
もちろん18でもスポーツは続けています。
いつまで続くかわかりませんが、頭と身体の健康を祈りながら・・・・。
登山教室の最終目的地のアポキンドの滝(7時間コース)の予行演習を来月に実施します。久しぶりの長いコースなので、楽しみです。
日曜日のマラソン練習も仲間と走りました。

(政治)

1)ピニェラ動向
欧州から戻ってきて大統領府の最初の発表では彼はチリの失業率が減少していることを報告しました。そして金曜日、キリスト教福音派のミサに奥さんと参加しました。この週末は彼はすべて奥さんに同席してもらっていました。
土曜日はまずモネダ宮殿で記念写真。大臣や政府要人だけでなく、職員や警備官とも最後の写真を撮りました。その後アルマス広場に向かい、カテドラルでカトリックのミサに参加。大司教は男女の結婚が家族の基礎とキリスト教としての見解をコメントしましたが、それは同性婚を認めようとするピニェラとは異なる見解です。ピニェラはミサの後、私はすべての家族の幸せを願いたい、その中には同性婚カップルも含まれると自己見解を説明しました。
日曜日は軍隊記念日でした。いつもなら満員になるオヒギンス公園で一般観客を入れずパレード。全テレビ局が同時放映をしました。テレビでその行進を少し見ましたが、特に面白いことはありません。
こうして連日、彼は18関連の行事に忙しく参加しました。
さて彼が今週、特に強調したのは第4回目を迎える厚生年金の引き出しに関し、政府が市民援助を行い、その年金引き出しを抑えたいでした。
引き出し額と政府援助額の差は各自により差がありますが、自分の金を引き出して使うより、政府援助を受け取る方が市民にとって有利なのは自明です。どうして国会でそれを確認しないのかな?引き出しは国民のためと言う新左翼共産党の考えが不可解。
つまりこの件に関し、ピニェラは国の負債を増やしても市民援助をしようとしています。

彼の欧州訪問はマスコミにはほとんど報道されませんでしたが、各国の首脳と面談したのは事実で、その内容の詳しいことは分かりませんが、価値のある外遊だったと思います。どうしてそれをちゃんと報道しないのかな?
コロナ対策では彼はよくやったと私は思います。彼の人気は最近少し良くなっているとは言われますが、それでも下位低迷です。私の眼には彼は歴代大統領に劣らないランクだと思いますが、マスコミはそのようには扱っていません。人気がないからそれを誉めるのは難しいのでしょうか。
2)大統領選挙
毎週、その日が近づきますが、世論調査では人気のあるのは1位が新左翼のボリッチ、2位が右翼のシーシェル、その後にDCのプロボステが続きます。
いよいよ来週第1回目の大統領選挙討論会があります。
今日の新聞に新左翼共産党の争いと言う記事が載りました。先の予備選挙新左翼に負けた共産党が、彼らに「俺たちの言うことを聞け」と言えば、揉めるのは当然ですね。
しかしボリッチが次の大統領になって、極端な政策、例えば鉱山の国有化などを図ればチリはまたアジェンデの時代に戻って大混乱になるでしょうね。それが分かっていても彼に投票するのかな?
3)新憲法委員会
アメリカの雑誌の世界有名人ランクとして「今年の100人」が選ばれました。その中でチリからエリサ・ロンコンが入っています。彼女は新憲法委員会の議長です。外から見るとやっぱり今チリで活躍している人間のトップになるのでしょうね。
彼女は例の嘘つき委員が委員会に戻らないことを願うとしています。彼を追放する手段がなければ、本人が委員会から外れるのを待つしかないのでしょうね。
それから委員会の結論は3分の2の委員の賛成が必要とする点を何とかもっと軟らかい方向に変更できないかと共産党新左翼側は動いています。自分たちの見解で新憲法を作ると言う意気込みです。

(経済)

1)銅価格と為替
銅は1ポンド4.26ドルと高値安定。そのため1ドルは782ペソと落ち着いています。
コロナで失業率が大きく増えましたが、それで職を失った人の80%がまた働き始めたとか。
先月も数十万人もの人が職に就いたと言われています。
正常化が進んでいる証拠ですね。

(一般)

1)コロナ問題
週の初めは今までと同じ方向に進んでいました。この月曜日、コロナによる死者がゼロでした。
今年の年末年始にゼロの日がありましたが、それは役所が閉まっていたので形式的にはゼロでしたが、実際の死者はありました。でもこの月曜日は実際にゼロでした。それは昨年3月にコロナ問題が始まってから初めての嬉しいニュースです。もっとも翌日は8名の死者になりましたが。
ところが週末になってくると風が変わってきました。
それまで陽性率は1%以下と低め安定でしたが、木曜日1.03%、金曜日1.15% さらに土曜日は1.29%とじりじり上がってきています。
新規患者数も500名前後でしたが、金曜日は610人と久ぶりの高い数字です????。
これは18が終わったら、感染者数が急上昇する予兆でしょうか。
ワクチンの接種ですが、毎週、多くの人が接種を受けています。私の嫁さんの父親は90歳で自由に歩けませんが、今週、区役所の人が来て3回目のワクチンの接種がされました。毎回、区役所の人が訪問してくるのです。しかも無料。チリの接種サービスはうまく機能していると思いませんか?素晴らしい。

この先で話題になりそうなのは現行の規制の改正です。
二つありますが、まずは夜間外出禁止令です。首都圏の場合、今まで午後10時から、最近は夜中の12時から翌朝5時まで外出禁止ですが、それを廃止しようとするわけです。もう一つは外国からの旅行者の入国に関し、現行の厳しい案を10月から緩めようとしています。
18が終わってから、様子を見ながら結論を出すのでしょうね。

首都圏から28万台と言われる多くの車が近隣地区、大半はビーニャなど海岸地方に出ていきました。以前と違って移動制限が少ないですからかなり自由に移動できます。もちろんいつものように交通事故で多くの人がなくなりました。酒飲み運転や麻薬運転が多かったらしい。
ところでそのビーニャですが、チリで一番の保養地・観光地です。毎年、夏に音楽祭があります。ラテンアメリカで最も有名な祭りです。ところが今年はコロナで中止。そして来年も中止することが決定しました。
1960年に始まりもう半世紀以上続いています。15000人収容の野外劇場で満員の観衆を集めます。
昔、その劇場で私は歌ったことがあります。観衆の前で歌ったのではなく、劇場には誰もいませんでしたが。

私の家の近くの公園で多くの人が凧揚げをしています。これも18の楽しみの一つですね。

2)移民問題
毎週同じようですが、今週もチリ北部のボリビアとの国境を不法に超えてチリに入国しようとした人が死亡しました。今年になって12人目です。彼らは現地の人に金を払いガイドさせチリ領土に入り込み、近くの町まで連れて行ってもらうのですが、目的地に着く前にいろんな原因で倒れるわけです。今晩のニュースでその地区から満員の乗客を乗せたバスが走ってきたので警察が調べると全員が不法移民でした。50名程の由。
夢のない母国から新しい風を捜して来るわけですが、運がないですね。今週、メキシコとアメリカの国境にも多くの人が移民希望で集合していますね。
3)チリ人の誇り
10年前の数字ですが、私はチリ人であることに誇りを感じますと答えたのが93%、それがだんだん下がり今年は72%。ただし諸外国との比較では72と言う数字はそれほどひどいわけではなく世界の真ん中くらいとか。
2年前の社会騒乱が起きる前、私はチリはラテンアメリカで最も落ち着いた国と思っていましたが、あれからそれほどでもないと考えが変わりました。私と同じ考えの人が多くいるわけですね。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は20試合が終わった段階で、首位から順にコロコロ(勝ち点40)そしてカトリカ(35)、ラ・カレラ(35)、アウダックス(34)そしてチリ大学(33)です。
次の日曜日にコロコロとチリ大学が対戦します。チリでスーパークラッシックと呼ばれる人気2チームの争いです。チリ大学が勝てばリーグ戦がより面白くなりますね。
ワールドカップの南米予選は10月に3試合が予定されチリはペルー、べネスエラそしてパラグアイと対戦します。昔ならホームでもアウェーでも3連勝だったでしょうが、今年は1試合でも勝てばうれしいと言う感じです。
2)テニス 
デービスカップ戦で、チリはスロバキアと対戦。シングルは1対1で、期待がありましたが、ダブルスで惨敗。次のシングルでも負けてやっぱり勝ち上がれません。
昔は世界1次リーグの大会で活躍していたのですが。
もうどこまで落ちるのかな?


以上