(政治)

1) キリスト教民主党DC
今週の一番の話題はDC党首で大統領候補のゴイッチが復帰したことです。先週末の党総会で、彼女がリンコン議員の再立候補を認めないとしたことに関し、総会会議の投票でそれが否決されことから、彼女は大統領候補を一時据え置きしました。党の中は大混乱になりましたが、大多数は彼女を支援する方向で固まり、彼女の決断が最終決定になるとし、彼女の復帰を待ちました。彼女の作戦が通ったわけです。そこで彼女は再度候補者として活動を始めると発表しました。 
もちろんそれで党の公認候補を外されることになったリンコンは、彼女が全く大統領選挙で勝てそうもない地位にいるのに、党首の席を利用して、党を与党連合の新多数から切り離し、中道勢力にすり寄ろうとしているのは明白。これは今までDCが与党の中心政党として担ってきた責任を放棄する恥ずべき行為だと鋭く追及。さてどうなるでしょうね。 
もちろんこれは彼女一人の考えではなく、党の中心グループがバチェレットが共産党を与党に入れたことを快く思っていないことへの最終結論ですね。
今までの市民調査で彼女に投票するとしたのはわずか1%でしたが、この大騒ぎの後、急に人気が上昇、6%になりました。今週の世論調査の結果はピニェラが40%、ギジェルとサンチェスが同点の20%、ゴイッチが6%。これが10%まで上がれば、与党内もDCに対する見方が変わりますね。
2) 与党連合の候補者ギジェルが正式立候補
彼は以前から与党の大多数の党が推す候補者でしたが、独立候補になる為市民の応援のサインを集め、それを選挙管理委員会に持ち込み正式候補になった訳です。もっとも市民の人気は多くの党が推す彼と新左翼のサンチェスが全く互角で、面目がありません。
ピニェラは「11月の第1次選挙で自分が過半数を占めれば決選投票は無いですね」とコメントし、政府側から大きな顔をするなと噛みつかれています。
3) 軍隊の不正問題
先週の続きですが、2問題が出ています。先ずは年金問題
そして新しく不正支出問題が出てきました。年金では幾つもの種類の年金を一人の元軍人が同時に受領していることで、最高額は一人月に1万ドル以上とか。怪しい年金受領者は300名以上と言われるので元中堅幹部以上は全部怪しいみたい? その中には身体障害者年金を健康な人間が受け取っていたことも明らかになっています。
政府は不正は認めないと言いますが、そういう不正を長い間放置していた責任を取るべきでしょうね。年に100億ペソが不法に渡されていたとか。それを全部、取り返して国庫に納め、普通の人の少ない年金に上澄みすればよいのでは。 
もう一つは軍の不正支出です。1976年以来、コデルコ銅公社の売り上げの10%を軍隊が確保する法律が確立し、それが民政化しても変更されていないので、軍は大きな資金を自分たちのモノにし、それを不正に使用していたわけです。
つまり今の政府は同法案を変えることもできず、その使用の中身のチェックもおざなりだったわけです。
それは120 億ドルと言われる巨額です。領収書を受けとり支払いを済ませたのに商品が届いていない、上司の決裁がないのに支払っている。 5億ペソもかけて車のメンテをするはずが費用が何に使われたか分からない。いやはや。
陸軍の長官として君臨していたチェイレは軍事政権の時にラ・セレナで陸軍の中堅幹部でしたが、逮捕された左翼関係者を暴行したとして裁判になっています。軍事基地で逮捕された左翼関係者が、拷問を受け、死者を出した事は歴史上の事実で、問題はそれにその元長官がどう関連していたかと言うことです。
4) 外交
話題はベネスエラとボリビアですが、まずベネスエラから。
ベネスエラが新憲法を設定し従来の国会を無視することが可能になりそうですが、世界中から反対の声が上がっています。政治に口を入れないはずのバチカンも新憲法に反対とコメントするほど。チリ政府も外務大臣ははっきりと拒否の構えでカラカスのチリ大使館に亡命を要求して駆け込んだ数人の要人を客人として認めています。ただチリ共産党は他国の政府の姿勢を批判せず、独自性を認めるよう要求しています。
ボリビアに関するニュースは盗難車の問題です。チリのテレビ局がチリから盗まれた車を追ってボリビアに入りました。2012年の数字ではチリから1500台が盗まれ、そのうち600台は元の持ち主に戻ったとされています。どうして5年も前の数字しかないのか知りませんが、最近はもっと増えているでしょう。先日、チリの警察官がボリビアで拘束された時、ウユニで釈放された彼らを空港に移送するボリビア政府の車の1台がチリで盗まれた車でした。 
ボリビアの町を捜すとチリナンバーの車があり、その運転手に「いつ、チリに戻るの?バスが見つからなくて困っているので、バス代を払うからこの車でチリまで連れて行ってほしい」と聞くとチリには行かないとか。そこでじゃ何故チリのナンバープレートをつけているのかと聞くと慌てて発進。 それからガソリンスタンドでチリの車にはガソリン代を2倍要求するとか。クレームすると嫌なら出て行けと冷たいあしらい。厳しい現実ですね。
今日はボリビア独立記念日でモラレス大統領は国民を鼓舞するコメントとチリを批判するコメントを出しました。