チリの風  その938  2021年5月3日―9日

最低気温が5度の日もありました。サンティアゴは冷え込んできています。今日は秋晴れの日でした。
今週はいろいろ用事もあって毎日のように地下鉄・バスに乗りました。
チリ大病院で血液検査をしましたが、静脈血栓症の薬はちゃんと効いていました。
エコノミークラス症候群になってもう10年ですが、死ぬまで薬を飲み続ける必要があります。
昔の部下だった二人から電話が来ました。チリの企業でリキャップタイヤ部門の責任者をしていましたが、その時の工場長とセールスマです。来週にでも私の新しい工場の見学に来ませんかと言うお誘いと、また一緒に客先訪問をしてくださいと言う依頼でした。
コロナが収まれば、そんな仕事も進みそう。これはボランティアで給料をもらう仕事ではありませんが、何か手伝うことがあるのはうれしいです。
久しぶりに山岳公園に行き、自然の中を歩きました。登山靴を履いていたのに下りの時、一度転倒しました。アカン、油断したのかな?
日曜日のマラソン練習は一人で実施。家に戻ってきてベランダの椅子に座り、コーヒーを飲みながら嫁さんの作ったケーキを食べる。至福の時間です。私は有名人にならなかったし、金持ちにも権力者にもなりませんでしたが、人生を楽しんでいますから幸せです。


(政治)

1)ピニェラ動向
 貧困層・中間層への援助プランをすすめています。年金を引き出して残高がゼロになった人に20万ペソのボーナスを振り込むという案は多くの人への援助になるとかで、ピニェラは今週南の州を訪問して大盤振る舞いの、いや真摯な提案をしました。さてテレビの政治番組でいろんなコメントがありました。このコロナ問題で苦しむ国民への援助について、「もし左翼が政権を握っていれば、援助額は今回の数字より低いものだっただろう」。これは私も当たっていると思います。
 それから厚生年金の引き出しについては、2年前の社会騒乱のデモでは必ず現行年金制度をつぶそうと言う声が出ていました。こうして積み立てた額を引き出して、残額がなくなった人の場合は現行制度はつぶされたわけですね。反政府の動きもちゃんと後でフォローをしているというのが分かります。しかし彼らの考えでは新厚生年金制度は政府が運営するのでしょうが、現在より良くなるとはとても思えません。反政府を叫ぶのは簡単だけど、その後の仕事が大雑把では改善より改悪になりそうです。
2)ボリビア問題
 外務大臣ボリビアとの国交正常化を進めるとコメント。どのようにネゴを始めたのか知りませんが、ボリビアの海問題などを除き、貿易・市民の行き来などを正常化するのはそれほど困難ではないと思われますが、どうなるかな?
3)選挙予想
 来週、いくつもの選挙がありますが、その一つ市長選挙の予想が出ました。345ある市で選挙が行われます。前回の2016年の時は現与党グループが146人と43%を占め、野党連合が37%、そして共産党新左翼そして独立派が残りを占めました。今回もその傾向は変わらないとみられていますが、どうなるでしょう。
 新聞の社説に、この選挙で政界地図が書き換えられるか?と書かれましたが、同じ野党でも旧左翼と新左翼共産党のバランスが注目されるわけですね。水曜日に大統領選挙の候補者の最終登録がされます、予想される多くの候補者が全員、登録するのかどうかわかりませんね。
 私は都知事は与党側、ラス・コンデス区長は野党側に投票する気になっています。嫁さんは大統領選挙ならともかく今回はコロナ問題があるから投票所には行かないとか。

(経済)

1)銅価格と為替
  銅価格はポンド当たり4.7ドルになり、歴史上の新記録になりました。専門家はまだ高くなるとみています。この価格が継続すればチリ政府に100億㌦のボーナスが入ると言われています。しかし金価格が停滞しているのに銅がこれほど高くなるなんて不思議ですね。中国のおかげですが。為替で1ドルは695ペソになります。過去2年で最高の数字です。ラテンアメリカで対ドルで一番強い現地通貨はチリペソですが確かに銅価格の上昇は大きな影響を与えますね。これで輸入品の価格が下がるはず。ガソリン価格はどうなるかな?議会で鉱山会社へのローヤリティ税をどう変えるか、もっと税金を払わせるか検討中。もっともそれが国会を通過しても実際に税金が支払われるのは何年か後のことらしい。
2)物価上昇率
  4月の物価上昇率IPCが発表になりました。0.4%、通常です。貿易収支も黒字だったとか。少しづつ元に戻ってきていますね。

(一般)

 1)コロナ問題
  月曜日の新規患者が3198人となり、これは2か月ぶりの低い数字ですと喜びのコメント。それは確かにそうですが、その日のPCR陽性率は9.7.%だったので、検査数は32000人ほど。いつもの半分以下。それを大喜びするなんて。違うかな?火曜日も同じく3791人(10.5%)それが水曜日に6202人(9.1%)、それ以降も6000人台を継続でした。つまり検査数が大きく影響することを言わないで数字の上がり下がりを評価するのはどうでしょう。
  日本の場合は人口はチリの数倍なのにチリより少ない検査数ですね。つまり日本も検査数を増やせば新規患者の数は激増でしょうね。ただ良いニュースはチリの場合、緊急病床の利用者数が少しづつ減少していることです。

  緑のパスポートを政府は考えているとか。2度ワクチンを打った人にそれを渡し何らかの特典を渡すわけですね。例えばレベル1の地区でもそれを持っている人は外に出られるとか。選挙後に詳しく発表するらしい。ワクチンは今週も到着しているし、接種者もどんどん増えています。世界のトップ3にチリは入っていますから。しかし世界各地でワクチンが足りないと悲鳴が出ているのにチリは順調に進んでいることは素晴らしいことですね。ピニェラもよくやっています。
 ところで コロナ問題の始まる前の2019年と病気の始まった2020年を比較すると労働事故は24%の減少、しかし一般社員の精神障害は逆に増加とか。同じ状況でも仕事の内容で各自への影響は違うのですね。
  
2)通行規制
  冬季になると大気汚染がひどくなるのでサンティアゴは今まで車の通行規制をしていました。ナンバープレートの最後の番号例えば月曜日は1と2の古い車は通行禁止と言う感じです。それが今週から開始されました。新聞に「通常ならそのシステムは市民の健康に貢献するが、現在は交通は通常よりはるかに少ないのは自明で大気汚染も騒音指数も低いことは数字で証明されている。従って今年の通行規制は全く意味がない」と出ました。私が考えたのと同じことを新聞が発表するなんて、いや誰が考えても同じと言うことでしょうね。政府はこれに反論して、「コロナの問題がどう終わるかわからないが、それを除いてでも準備をするのが私たちの姿勢です」。新聞社のきついコメントに政府が言い訳をするなんて・・・チリのマスコミは正常ですね。
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3)マプチェ問題
  先週と同じで、マプチェグループと警察が衝突し、トラック、重機が20数台も燃やされる大事件がありましたが、マプチェ・警官共に負傷者がでました。これを読んでいる読者の人は、どうしてチリ政府は何もしないのか、何もできないのかと思われるでしょうね。マプチェが抑えている地区の道路で、彼らが通行する車・人をチェックしていることがあるとか。
  「お前、どうして俺たちの領土に入りたいのだ」と聞くわけですね。
  武装した幾つかのマプチェグループは、ピストルだけでなく機関銃とかも所持し、それが拡大されているとか。それらの費用、またグループの人間の生活費を賄うため麻薬をその方法として利用しているらしい。コロンビアの反政府ゲリラと同じ方法ですね。もうメキシコとコロンビアの麻薬組織がチリに進出しているとか。それは新聞の記事になっていますから。誰でも知っていることです。それから先年、警官にマプチェ青年が殺された事件で、犯人の警官は(元警官)全員が有罪になりました。なんだかアメリカで警官が黒人を殺しているのと似ているのかな?

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は断トツのチームがなく、横一線で並んでいます。勝ち点のトップはアウダックスで13点、2位は12点でラ・セレナ、カトリカ、オヒギンスの3チームが並んでいます。チリ大は5位、コロコロは9位です。今週の人気チームの結果はコロコロは敗戦、カトリカは勝利、チリ大学も勝利でした。
 リべルタドール杯の参加している2チームは3試合が終わった段階でカトリカは1勝2敗でグループの3位、ラ・カレラは0勝2敗1引き分けで4位と両チームとも振るいません。同じように南アメリカ杯に参加のチリの2チームも不調で、今までの成績の合計を他国と比べると、首位はブラジルで65%の勝率、チリは25%とべネスエラと並んで10か国の最下位。そこまでひどいとは思わなかったですが。


以上