チリの風 その876  2020年2月24日―3月1日


秋が来るかと思いましたが、サンティアゴの最高気温は今週も30度を超え、今年の夏はまだ粘っています。もっとも朝晩は涼しくなりました。
サン・カルロスの山に入っていつものトレッキング。それから一人で走った10キロは61分。もう少しで60分切りまでは行きますが、昨年から一度も59分になりません。何でかな、気合が足りないの?
土曜日のサッカー教室は、今年は30年目ですが、PTAの懇親会の後だったので、久しぶりに30数名と大勢の参加者。楽しく練習をしました。
日曜日の午後、家の前を自転車が走り始めました。新憲法改正賛成のデモで上り下りの2車線を使って道路を埋め尽くし、笛を鳴らし、大声で叫び、自転車に旗を掲げていました。最初のグループはピニェラの住居を目指し、その他は近くの公園で集会。数キロも続いたデモ隊により半時間ほど交通が遮断されたので車の長い列が続きました。私の家の前では3か月ぶりのデモでした。

今月末に妻と二人で訪日をする計画を立てましたが、新型肺炎の蔓延で延期することにしました。緊急事態に遭遇した時、対応するなら旅先の日本より本拠地のチリの方が良いと考えたわけです。運が悪かったですね。

(政治)

1) ピニェラ動向
月曜日、モネダ宮殿の事務所で閣僚を招集し、これからの話題について話し合いました。最大課題は社会秩序の回復です。昨年の10月18日以来、チリには落ち着いた日はありませんから。
そして2月27日に10年前の大地震の追悼式にタルカワノを訪問。ツナミで亡くなった方々の家族にお悔やみの言葉を奉げました。
週末にウルグアイに飛び、大統領の交替式典に参加しました。
その後すぐにチリに戻ってきてテレビ局に向かい、番組に出演しました。「どうして10月18日から、こんなに月日がたったのに一向に暴動騒ぎが収まらないのか」と言う質問に立ち向かいました。いろいろ言い訳をしていましたが、警官の数が少ない、放水車など古い機械ばかり、軍隊を町に出すと国民から嫌がられるが、軍隊を病院・発電所などの施設を援護するシステムができればその分警察が暴力グループに対抗できる、その為に軍隊の使用を国会で認証してもらいたい・・・とかコメントしました。
その他で最も目立ったのは中国の習近平と電話で連絡を取り新型肺炎に対する共同歩調を確認したことです。チリから専門分野の医師を派遣することになった由。この会話の最後に中国の一帯一路政策がチリでどう実現されるか話し合われたとか。
チリの果物・海産物・銅を買ってねと頼んだのでしょう。
右翼の彼が共産党習近平にすり寄るのがおもしろいですね。右も左もないということでしょうか。日本も同じかな。
2) 新憲法の可否
いよいよ選挙運動が始まりました。地下鉄の駅の側でノーのグループがパンフレットを配っていました。それによると新憲法で社会が良くなるとすると言うのは間違いとされています。その例として、年金が良くなる、犯罪が減少する、就職の機会が増える・・・。もちろんその通りですが、逆に新憲法を拒否しても社会は良くなるわけではありません。
3) 教育大臣の辞任
クビジョスは以前から教育大臣として機能していないと批判されていましたが、今週辞任。解雇されたのでしょうが、新憲法反対グループに入って仕事をするとか。2か月ほどのアルバイトですね。
彼女は最右翼UDI党員でピノチェット崇拝者と言われますが、ピニェラはUDI党大臣を、内務大臣とか、今までもやめさせているから気を使ったのでしょうね。 彼女の助手をしていた教育大臣次官が昇格しました。
UDI党首は「クビジョスは勇気のある決断をした。 新しい仕事もうまくいくだろう」とコメントしました。腹の中は解雇に関し怒りで煮えくり返っているでしょうが。 

(経済)

1) 失業率
10%に近づくと予想されていましたが、11月―1月の間の失業率は若干上がったけれど7.4%で落ち着きました。そこで専門家は10%にまではいかないとコメントしました。
しかし今の新型肺炎問題を考慮すると、素人の私の考えでは近い将来10%まで上がるかもしれないと思いますが、どうでしょう。
2) 銅価格と為替
1ポンド2.53ドル、1ドル818ペソと厳しい状況です。

(一般)

1) 無賃乗車
一時期、無賃乗車は10%台と落ち着いていたのですが、昨年の10月18日以降、急増し、昨年の第4四半期は33%になりました。3人に一人はタダ乗りしているのですね。
「タダ乗りしようぜ!」が学生運動の合言葉でしたからね。
2) 魔の月曜日
明日、3月2日の月曜日は魔の月曜日と言われます。夏休みが終わり、スクールバスが街にあふれ、仕事を開始する社会人の通勤の車が道路をふさぐからです。どの道路がどれくらい混むかちゃんと予想されています。今、半時間で行けるところが明日は1時間になると言うわけですね。
3) ビーニャ音楽祭
6日続いた音楽祭が終わりました。開催側にとって過去の最悪の事態だったと言われましたが、それでも何とか無事に終えました。
サッカー場と同じで音楽祭の会場でファンが叫び始めます。「ピニェラ、この野郎、お前はピノチェットと同じ人殺し」金を払って音楽を楽しんでいるのに、街の道路でデモをしているのと同じです。
それでも音楽・漫才などが良かったのか連日、会場は満席の人でした。
会場の外ではデモ隊と警察の争いです。合計187人が逮捕されました。彼らは逮捕されることを怖がっていませんね。音楽祭の初日にデモ隊にやられたオヒギンスホテルはこの先、営業を続けるか分からないとか。それほどひどい状態なのですね。
4) 暴動騒ぎ
昨年、地下鉄の駅やバス停に爆弾が置かれ死傷者を出しましたが、しばらく治まっていました。それが今週、首都のビタクラ地区で再発。そのグループは政治グループではなく趣味の殺し屋なのですね。自分の置いた爆弾で人が死傷するのがたまらない喜びなわけです。犯人が捕まるまでこれは継続ですね。
10月18日以降の警察とデモ隊の衝突、放火事件を含む暴動騒ぎは今週も継続です。3月はもっとデモが増えると言われ、モネダ宮殿の政府関係者は落ち着いて眠れません。
5) 大学入試
やっと一段落し、大学入試の結果の発表があります。その後、入学手続きが始まります。
それに先立ち入試でトップクラスの成績を出した学生が発表されますが、その数は、今年はいつもの半分だったとか。それは生徒の質が落ちたのではなく、落ち着いて入試ができなかったのが原因でしょうね。私の想像ですが。
6)そのほか
コロナウィールスの問題は連日、大きく報道されています。政治・経済・一般にわたる大問題です。幸いなことに何人もいると言われる患者の中でまだ陽性と判断された人はいません
そして山火事ですが、モリナでは既に11000ヘクタールが焼失し、地区の住民はいったい何時になったら消火できるのかと心配しています。消防車とヘリコプターが消火に当たっています。
それから昨年、南極に向かって消息を絶った空軍機がいまだに見つからず、どうなったのか心配されていますが、政府は全力を挙げて捜索し、原因の追及も行っているとしました。単なる事故ではなく飛行機自体の欠陥があったことも想定されているらしい。

(スポーツ)

1) サッカー
国内リーグ戦の首位カトリカは2位のカレラと敵地で戦い引き分け
このためカトリカは2位と勝ち点3の差を守りました。人気のコロコロは今週も勝てず(引き分け)下位低迷です。チリ大学は勝ってカレラと勝ち点では同点ですが、ゴール差で2位に上昇。

2) テニス
アルゼンチンとブラジルのATP大会で連続優勝したガリンは今週は地元チリの大会に出場、順調に勝ち上がっていきましたが準々決勝で突然棄権しました。疲労から来る腰の痛みのようですが、来週のデービスカップ戦(スウェーデンで)には出場できない見込み。

以上