チリの風   その875  2020年2月17日―23日


今週も暑い日が続いていますが、日曜日は最高気温が28度に下がりました。それで散歩をしていて私の一番好きな街路樹リキダンバルに紅葉が始まっているのを見つけました。夜に暗くなるのも早くなってきたし秋もすぐそこですね。                  
私にとって今週の最大の話題はマチュピチュ同好会でした。20名ほどの参加者で、南米の古い文明の話とアンデス民謡の演奏をしました。仲間と一緒に練習した成果がでたのでホッとしました。                       
日曜日のマラソン練習はいつもの4名で楽しく走りました。昔はこの時期、週に50-60キロを走っていましたが、今はその半分。力の落ちているのは隠せません。
それでもこうして今週も仕事と趣味の世界を楽しめました。

(政治)

1) ピニェラ動向
夏休み中の彼は別荘の近くの村を訪問し、老人を集めて皆さんの年金がこれから増えていくよう努力をしていますと宣伝。老人の嬉しそうな顔が大統領府の広報に載りました。
ところでそのフツロノの別荘近くを彼が自転車で走っていると反政府の人間が出てきて、彼を罵倒したとか。
その南部の町に過去何度か行ったことがありますが、湖の周りに小さな村が点在するのんびりした地区です。
今週の地下鉄駅の放火事件の後、「暴動騒ぎに国民が統一して立ち上がる時が来た」と彼はコメント。そうなってほしいけど、そんな雰囲気は全くありません。
3週間の夏休みを終え明日の月曜日から彼はまたモネダ宮殿で仕事を始めます。仕事は山ほどあるけど、彼は立ち上がらないでしょうね。
2) 最右翼UDI党議員の問題
先週の汚職問題で話題になったハズブン元議員をUDI代表が、彼を応援すると公表。党を挙げて汚職問題はなかったと反論する様子。
そこの党員で次の大統領選挙の右側候補で一番人気のあるラビン(現ラス・コンデス区長)はそれに反対し、司法の問題に政治的介入をすべきではないとしました。つまりUDI党内で分裂が起きています。
その問題で証人として裁判所に呼ばれている経済大臣は、UDI党員の資格を当分凍結すると発表。党に迷惑をかけたくないとしたわけです。
3) 新憲法
4月の投票の前に3月から改正是非の宣伝がテレビで行われますが、各党・組織がイエス・ノーのどちらに登場するか、その順番はどうするかが決まりました。議員数の多い党は1分以上スペースを使えますが、一番小さな組織はわずか1秒とか。それなら写真が写って「はい」と言うと切り替えられるわけですね。
ある記事にこれは32年前の軍事政権可否の論争と似ているとありましたが、私にすれば1988年の時の緊迫感・興奮はありません。

(経済)

1) 新憲法
これは政治マターですが、チリで銅鉱山を持つアングロアメリカン社が新憲法になって自由な外国投資を制限するようになればチリの経済に大きな影響を与えると警告。同社はチリに30億ドルの投資を計画している由。
2) 銅価格と為替
為替は大きく動きました、1ドル810ペソとペソが大きく下がりました。銅価格は1ポンド2.59ドルと低め安定。中国が新型肺炎から立ち直る気配を見せないのでこの先3ドルに向かって上がっていくとはとても思えませんね。
3) 物価上昇率IPC
1月のIPC計算にエラーがあったとかで国家統計局の局長が辞任しました。もちろん解雇されたのでしょうね。しかしも何十年も計算しているのにどうしてエラーが出るのか素人の私には理解できません。まさか誰かの指示で数字を改ざんしたのではないでしょうね。
4) 株式市場
昨年の10月18日以降の国内株式取引でチリの5大銀行は100億ドルを損失したとか。半端な数字じゃないですね。銀行だけでなく、投資信託などそれに投資していた一般市民も泣いていますね。

(一般)

1) 地下鉄駅の襲撃
昨年は毎日のように駅を襲う事件がありました。それは少し治まっていたのに、今週、再度、覆面部隊の放火事件が発生しました。顔は隠しているけどテレビのニュースに暴れている男の姿は鮮明で、上半身裸の男はどこに入れ墨があるかもバッチリ写っています。どうしてそういう犯人が逮捕されないのか不思議です。
第5州のバルパライソにあるプラット像に覆面グループがペンキをかけるなど乱暴狼藉。それは海軍象徴の像ですから、海軍長官は全力でその像を守る、2度とデモ隊に接近させないと固い決意を見せました。首都圏でデモ隊が集まるイタリア広場の近くの文芸喫茶店が放火されました。店内に図書館があります。行ったことがありますが、良い雰囲気の店でした。デモ隊にはそんなことは何も関係ないのでしょうね。
共産党のハヅエ区長はこれについて「民衆には自分たちを守る権利がある」とコメントをしています。政府はこれに厳しく反論しました。
2) 新型肺炎
チリ人で最初の患者が出ました。なんと横浜です。彼女はクルーズ船の乗務員で多くの患者と接触をしていて感染したわけですね。運が悪いと言うか仕方がないと言うか。
サンティアゴでも一人患者が見つかったと言われますが、詳細は報道されていません。厚生省はコロナビールスではなかったと言っています。   
それから交換学生で中国に行っていた女子大生がチリに戻ってきました。しばらくの間コンセプシオンの自宅で静養をするとか。無事に戻って来られて良かったですね。
3) 27F
これは2月27日と言う意味ですが、チリでは10年前の大地震の意味です。地震でビルが倒壊して多くの死傷者を出しましたが、それだけではなく緊急局が津波は無いとしたので非難しなかった海岸地方の人がツナミに襲われ死亡したことは忘れられません。バチェレットのエラーですね。それで今はそんなエラーは防げるかどうかテレビの番組に取り上げられていました。
4) ビーニャの音楽祭
この日曜日から始まりましたが、一部のテレビ局は朝からこのニュースばかり。そんな局の番組は私は見ません。
ところが今日、その音楽祭の出演者など関係者が泊まるホテルに攻撃があり、1階のガラスはみな破られ、近くに駐車していた7台の車が放火され大騒ぎ。有名歌手は違うホテルに逃げたらしい。
チリではサッカーだけでなくどんな催し物でもその覆面部隊が来て乱暴狼藉です。
ラテンアメリカで最大の音楽祭と言われますが、今年の司会者のあいさつは政治的で、チリは性差別のない国、素晴らしい明日を目指して協力しようとか言っていました。
初日の今日はリッキー・マルチンなどが出演しました。広い会場は満員の観客、そこまでデモ隊は入っていません。
5) 火山
チリに92ある火山で一番危険なのは南部のビジャリカ火山とか。噴火が始まると近辺の地区は火山灰で大きな被害を受けますね。
全く関係ないですが、山火事の一部はまだ継続中です。
6) 外人観光客
1月は前年対比18%の減少とか。これは簡単に説明できます。チリに来る外人観光客で一番多いのは隣国のアルゼンチン。そこが破綻寸前なので、その数が激減。そのために入国者数が減りましたが、アルゼンチン以外からの国からは増加しています。
7) 不法占拠                      
先日、ピニェラが訪問したテムコを中心としたアラウカニア州で各地に不法占拠が始まっています。もう50カ所くらいとか。そこにテントなどを持ち込み多くの家族が住んでいます。しばらくすると彼らの手による簡易建築の家が建つわけですね。政府はどう対応するか考えています。

(スポーツ)

1) サッカー
先週ですが、試合中のファンの不祥事で試合が中止になったコロコロ対カトリカは、結局その中止になった時点の数字を最終数字にすることが決定になり、カトリカが2対0でコロコロを破りました。
そのカトリカは先日、ホームで試合をした時、ファンが暴れたので、今週のホームでの試合は観客を認めるが、その次の試合は罰則として観客ゼロで実施することになりました。
カトリカは今週も勝って5戦全勝で首位の座は堅いです。2位は4勝でラ・カレラが続いています。チリ大学は今週は引き分けで3位になりました。
負けが混んでいる(今まで1勝3敗)人気のコロコロは明日に5戦目となります。

2)テニス
クリスティアンガリンはリオの大会に勝ち、ATP2連勝です。来週は世界ランキングの18位に上がるとか。


以上