チリの風   その878  2020年3月8日―14日

サンティアゴは、昼はまだ30度になりますが、朝晩は涼しくなりました。トレッキングで山に入った時、半そででしたが、登り始めの時は肌寒かったです。
今週もスポーツは週に4日といつもと同じですが、仕事は違いました。予定が入っていたガイドの仕事は中止になりましたが、昔の部下から仕事を手伝ってもらえないかと電話が入りました。そして彼と一緒にユーザーを廻り、「昔は私が上司でしたが、今は彼の助手です」と笑って説明。しかしチリで30年以上働いた私の経験・知識がまだ役に立つと言うのがうれしいです。
来週は日本訪問の変わりに妻と二人でパタゴニアの旅に出ます。どうかな?

(政治)

1) ピニェラ動向
水曜日に民主化30周年記念行事がありました。30年前のこの日に軍事政権から民主政権に代わったわけですね。DC党首だったエイルウィンが民主化の最初の大統領になりました。 
毎回、同じ日に政権は変わりますから、その日、ピニェラは4年の政権のちょうど半分で、任期はあと2年になりました。彼を支持するはいつも10%ほどで、右も左も彼を信用していません。民政化の後の最悪政権の候補ですね。
今週、彼は全テレビ局を通してコロナウィールスに関する対策を訴えました。なんでもフェーズ3になったとかで、今までより感染源が複雑になり、対応策が困難になったわけです。このため特定国からのチリ入国に制限が設けられ、入国後14日間は自宅もしくはホテルで自主隔離義務になります。それらの国からの観光客は来れませんね。その中に日本も入っています
2) 女性省大臣の辞任
野党から女性を保護すると言う仕事をしていないと厳しく批判されていたピアは今週、辞任しました。先の教育大臣のケースと同じです。二人とも最右翼UDI党の党員ですから、ピニェラとUDIの関係は最悪でしょうね。
与党の2大政党、UDIとRNの関係は最悪で常にいがみ合っています。あと2年どうなるか、そしてその後の大統領選挙で協調できるか未定です。

(経済)

1) 大不況の始まり?
銅価格は2.5ドルと過去3年で最低を記録、ペソは対ドルで最悪の855 ペソまで記録、チリの株式市場は2016年以来の低いレベルと厳しい状況になり、今年のチリの経済成長率はゼロになるだろうと予想されています。
もちろん、コロナウィールス問題は一時的なものですが、それがどこまで深くチリ経済に影響するかは誰もわかりません。
チリの最大手の航空会社ラタムは乗客減少から海外線の航空便を3分の1減少しました。ガラガラで飛ばしては経費だけ掛かりますからね。いつまで続くのかな?

(一般)

1) 暴動騒ぎ
毎週同じですが、今週は月・水・金と暴動が頻繁でした。水曜日の略奪騒動に巻き込まれたスーパーマーケットはこれで昨年10月以降5回目とか。店員も店長も泣きますね。
高校生の暴動も目立ちますが、テレビカメラの前で高校連合のリーダーが「これは私たちのためにやっているのではない、貧しいチリの国民のために行動しているのだ」とコメント。ロシア革命とかキューバ革命のような英雄になるのを夢見ているのでしょうか。
元の部下と働いたのはサン・アントニオと言う街でしたが、そこからサンティアゴに戻るとき、道路が封鎖され、置かれたごみに火がつけられました。彼が乗っていたのは軽4貨の車でしたので、何とか通り抜けましたが、普通の乗用車ならそこでストップになり警官が彼らを排除するまで多分1時間以上動けなかったでしょう。それも高校生グループのようでした。
同じようなことがサンティアゴの大通りアラメダで毎日あるとか。道を封鎖して交通遮断をするわけです。バスがこないので家に帰る労働者がいつまで待たされるのかと泣いています。
これは極左グループですが、それに対抗する極右グループも動き出しました。そのグループは武器をUDI党の事務所に保管しているとか。いやはやですね。ピノチェットの時代に戻るのかな?
それから先週8日の国際婦人デーの参加者の数が、主催者発表では200万人、警察発表では15万人、新聞社によると120万人と大きく違っていますが、テレビのニュースを見る限り100万人くらいが妥当と私は思います。それだけ多くの女性が要求していることを女性省大臣は理解する・援助する必要があるわけですね。
2) 強盗
数年前と同じですが、またサンティアゴの飛行場でドル・ユーロの大金が奪われました。バンクオブアメリカからチリの各銀行に送付された現金が、わずか3分の犯行で消えました。死傷者はゼロでした。盗まれた額は1200万ドルと100万ユーロでした。これはチリの犯罪史で最高の額になります。犯人がそれを使って派手な暮らしを始めると警察の目に留まるのでしょうね。
3) コロナビール
今日までに75名の発病が確認され、そのほかに2千名の人が検査の結果待ちとか。首都圏がほとんどですが、チリ南部にも病人は出ています。毎日1度、厚生省から発病者についての数字が発表されます。
サンティアゴでビタクラ区のサン・ジョージ学校がこの病気関連で閉鎖されました。教育委員会は学校閉鎖に反対しましたが、政治的見解で明日から2週間チリのすべての学校、大学、幼稚園が閉鎖されます。
さてチリに何隻かのクルーズ船が来ていますが、その取り扱いが注目されています。そのうちの1隻には既に患者が見つかっています。日本でもアメリカでも同じ問題は起きていますね。

(スポーツ)

1) サッカー
国内リーグ戦は多くの試合は観客無しで実施するらしい。国際戦のリベルタドール杯は延期、ワールドカップの南米予選も今月末から始まる予定でしたが、それも延期になりました。
同じようにサンティアゴラソンも9月に延期になりました。今日行われるはずのビーニャマラソンは中止になりました。
さて国内リーグ戦は7試合終わったところでカトリカの首位は動きません。明日の月曜日に同点2位のカレラとクリコの試合が無観衆で実施されるとか。しかしこのように今年は週末だけでなく、次の週に回したり試合の中止・延期も多くどうなっているのかよくわかりません。運営がでたらめですね。人気のチリ大は4位、コロコロは12位です。
それから選手か監督に患者が出れば国内リーグ戦はもちろん中止でしょうね。

以上