(政治)

1) ピニェラ政権1か月目
就任から1か月がたちましたが、政界は大きく変わりました。動きがあります。バチェレットの最後の頃は任期が終わるまでただ日が過ぎていくのを待っていると言う感じでしたが、今は毎日これをどうしようと努力しているのが感じられます。
リマでのアメリカ会議
ピニェラはこの週末ペルーで行われたアメリカ会議に出席。注目されるのアメリカとベネスエラの大統領が欠席したことです。トランプはシリア攻撃準備の為で、マドゥロは出席を拒否されたもの。
シリア攻撃は予定通り実施されましたが、チリのCNNでカナダ・トルコ・日本・イスラエル政府はアメリカの攻撃を支援したと報道されました。日本のメディアにはそんなニュースは出ていないようですが? 
今回の会議のメーンテーマは「汚職収賄」でした。それは資本主義の国の問題だと言う意見がありますが、南米の左翼政権で同じ問題がでていることは右も左もないと言うことですね。
しかし実際の会議の中心はシリア問題だったようで、ピニェラは化学兵器を使うのは許せないとシリア批判をしました。
移民問題
これにも大きな動きがありました。ピニェラは約30万人の正規の資格を持たない移民について、90日間で手続きを進めるとしました。しかし移民希望者からは無犯罪証明書など本国政府が速やかな手続きをして証明書をチリに送ってくれるはずがなくせっかくのチリ政府の善意も役に立たないと言う声が出ています。
ところで今年に入って1853名が入国拒否されました。旅行者として入国する基本的なものを持っていないと言うのがほとんどです。片道切符で手持ちの金もないと言うのでしょうね。その他は正規の旅券を持っていないとか、犯罪歴を持っているとかです。昨年1年で9912名ですから、ほとんど同じリズムですね。
先週この問題に関してチリの風に書きましたが、さっそく日本から次のコメントが届きました。
日本では外国人生活者の排除の話ばかりです。難民の受け入れさえ申請者の0,2%という低さは今後も変わらないと思われます。
それでも国際社会にはいい顔したいらしく、シリア難民を留学生として受け入れるといった小手先の受け入れ策などが細々と行われているようです。
確かにシリア難民は国際的な問題ですが、他国の難民もいるのに何でシリアだけ?これもアメリカの世界戦略の尻拭いのお手伝いでしょうか。
ところで先のサンティアゴ・マラソンで優勝したケニアの選手がチリ政府が私を移民として認めれば次のオリンピックにチリ代表で走りたいと言っています??!!!
2) 法務大臣の失言
最右翼UDI党のラライン大臣はチリの司法界は左翼系が多いとクレーム。もちろん大問題になりました。自分たちの言い分を聞けない裁判官は左翼系と言う感じですが、3権分立とか分かってないのかな?もちろん大反対の声が上がり、後は黙ってしまいました。
裁判官は法律に従って判決を下すわけで、右翼も左翼も関係ないと思いますが。
ただ私が不可解なのは今週捕まった強盗が、すでに数十回同じような犯罪で逮捕されており、逮捕されてもすぐに釈放されてまた犯罪を犯すサイクルが止まりません。そんな裁判官は辞めてもらいたいですが。
ピニェラはその法務大臣は変えたいところですが、まだ新政権が始まって1か月なので様子見をしました。
しかし明らかに前回の第1次ピニェラ政権と違うのは余裕があることです。UDIから少しくらいクレームが出てもあわてません。前回はUDIから俺たちがお前を大統領にしてやったのだから俺たちの言うことを聞けと脅かされればすぐに反応していました。その時はおどおどしていたわけです。
3) カトリカの失態
ローマ法王が少し前にチリを訪問しましたが、その時神父の性的暴行問題が出ていたのに、それを無視し、噂に上がっていたオソルノの司教を愛弟子のごとく彼の側に置きました。記者から質問が出ると、「お前ら、なんか証拠を持っているんか?噂で話をするようなことはするな、馬鹿野郎」というタイプの発言をしました。
それが急に変わり「私に入ってきていた情報は完全なものではなかったようだ」と下手に出て、チリの全司教をバチカンに呼んで討論したいとしました。
正しい情報を隠していた司教・大司教を辞めさせるのが適当と思いますが、この法王ではそうした処置は取れないでしょうね。
4) ブラジル問題
ブラジルの元大統領ルラが収監されましたが、それについて同じく元大統領のディルマ・ルセフはこれは我々の労働党を破壊しようとする右翼の暴力革命だと主張しました。しかしルラが法廷で巨額の賄賂を受け取っていたことが証明されているのに全く実情と違ったコメントを続けるわけですね。
先週ルラの収監について、南米の左翼政治家が彼を支援する動きは理解できないとチリの風に書きましたが、しばらくして今週の新聞の社説に同じコメントが掲載されました。誰も同じように考えるわけですね。
チリでも銀行、鉱山や漁業会社から賄賂を受け取っていた政治家の事件は明らかですから、右翼左翼の別なくしっかり裁いてほしいもの。
5) 妊娠中絶
既にチリでは暴行されて妊娠した場合など、妊娠中絶は合法になっていますが、一部の私立病院、また公立病院の一部の医者は中絶手術は行わないと拒否しています。例えば南部のオソルノ市では公共病院の医者が全員、拒否し、誰も手術を行わないとか。暴行されて妊娠した女性は遠くの町まで移動させられるわけですね。