チリの風  その879  2020年3月16日―22日


サンティアゴは一気に秋になりました。土曜日、晴れていたのに最高気温は22度でした。今までの記録破りのあの暑さは思い出になります。
さて南の旅から無事戻ってきました。しかし新型肺炎は南米最南端まで大きく影響しています。今回の旅の目標だったアルゼンチンのカラファテにあるペリト・モレノもチリのトレス・デル・パイネもそのため行けませんでした。もちろんプエルト・ナタレスとプンタ・アレナスの町はあちこち歩きまわりました。嫁さんと二人で一日17000歩も歩きました。旅行記を書き始めています。それでもコロナ・ウィールス騒ぎが終わるまで次の旅は据え置きです。        
日曜日のマラソン練習はいつもの通り、仲間と走りました。そのうちマラソンは禁止になるかもしれませんが・・・。

(政治)

1) ピニェラ動向
非常事態宣言を出しました。今のところ3か月間の予定。
コロナ・ウィールスのレベルがフェーズ4まで進んだためピニェラはこの宣言を採択しました。軍隊を町に出し警察と共同で警備に当たります。
各区の区長はそれより一歩踏み込んだ自宅待機指示を全国に出すように(少なくとも首都圏)要求していますが、政府はまだそこまで踏み込んでいません。それでもパブ・ディスコ・レストラン・ジムなどの閉鎖が進んでいますから、遅かれ早かれ全面待機になりそうです。
最も首都圏では在宅勤務が進み、サンティアゴの地下鉄は乗客が今までの半分くらいになったとか。地下鉄の労組は私たちも自宅勤務にしてほしいと要求中。メトロが止まるかな?
外出禁止令が今日から始まったので最終電車が午後7時半でした。今まで夜の10時11時まで操業していましたから大きな変化ですね。市バスも早く運行を終えます。      
隣国アルゼンチンの首都ブエノスアイレスはこの指示が出たためほとんど死の街になっているとか。エクアドル、ペルー、ボリビアも全土に自宅待機を指示しています。病院、薬局、スーパーマーケットに行くときだけ自宅の外に出られるわけです。
もちろんそれが病気の拡散を防ぐのに有効とされるわけですが、それで外に出られなくなった住民は病気に対する抵抗力がさらに低下すると思いますが、違うかな?
チリの夜間外出禁止では夜の10時から朝の5時まで外を歩けません。これを破ると刑務所・罰金が待っています。その時間に必要があって外を歩くには特別許可証を申請する必要があります。私は夜間に町に出ることはありませんが、一日中、自宅待機を命じられると気持ちが悪いですね。外に出てマラソン練習ができなくなったら、買い物袋をもって近くの丘に散歩に行くつもりです。
ピニェラはチリはイタリアより新型肺炎に対する準備はできていると胸を張っています。そうでしょうか?    今晩、彼は全テレビ局で演説し、「チリの現状はたやすく扱えるものではない、だからこそ団結・情熱・愛国心が必要だ。それでチリは独立を勝ち取り、太平洋戦争に勝ち、民主化を進め、現在のように発展してきたのだ。もう一度全国民が一致して難局に立ち向かおう」としました。
今日までの感染者数は632名、死亡者は1名です。死亡したのは82歳のおばあちゃんで、親戚の人が外国から帰ってきて家族パーティをしたら感染したとか。      
これから患者数が大きく増えるのははっきりしていますから、患者を収容する病院が必要です。その例の一つですが、先日、音楽祭のあったビーニャで出演者などが泊まっていたホテルが襲撃されましたね。ビーニャの市長はそこを借り上げて新設病院にすると発表。うまく機能するかな?
2) 新憲法
4月に投票が行われるはずでしたが、この病気のおかげで10月25日に延期になりました。与野党とも異議なく同意に達しています。

(経済)

1) 117億ドルの特別出費
このコロナウィールスに対抗するため経済活性化の特別出費として117億ドルが認められました。一部は国家特別財源から残りは借金ということになります。
2) 銅価格と為替
銅は1ポンド当たり木曜日に2.13ドルに落ちましたが、金曜日は少し戻して2.2ドル。それは今年に入って21%の下落。1ドルは864ペソになり今年に入って108ペソの大幅下落です。                     これが近い将来に今までのレベルに戻るとは考えられませんから、今年のチリ経済は極めて厳しい状況にあることは自明です。つまりどこまで落ちるかが問題です。
同じように原油は23ドルと1991年以来の低いレベル。 チリの株式市場は3152ポイントと1週間で16%の下落。この落ち方は2008年以来のひどい数字です。一番ひどいのはラタム航空で1週間で半値になりました。そのラタムは労働者の給料を当面半額にさせてほしいと労組とネゴ中です。ダイレクターは無給になるらしい。他の2社と合わせてチリの航空3社は政府とどのようにこの苦しい状況を切り抜けるかネゴをしています。助けてくれと言うことですね。

(一般)

1) 道路閉鎖
もう毎週のニュースですが、今週は少し変わっています。首都圏の隣の第5州の海岸地方の町が、例えばアルガロボで住民がタイヤを燃やし道路封鎖。それはサンティアゴからウィールスを持った観光客が海辺に遊びに来るのをやめさせるためです。そんなことが、これから何か月も続くのでしょうか。なんでも海岸地方にある別荘に住むのは止めるよう指示が出たようです。
2) 海外のチリ人救助
チリは陸海空で国境を閉鎖しました。もちろんそれは外国人のことでチリ人とチリ在住の外国人は入国できます。
同じように外国に出たまま戻れないチリ人が政府の援助を要請しています。カリブのドミニカ共和国で230人のチリ人が悲鳴を上げています。家族を連れてバケーションに来たのに戻る飛行機の便がキャンセルされ飛行場から動けないとか。似たようなケースがペルーのリマとクスコ、そのほかにブラジル、オーストラリア、アメリカのマイアミにもあり、チリ人が集まっているとか。政府はチャーター機を用意する必要がありますね。

(スポーツ)

1) サッカー
しばらくこのニュースはなさそうです。と言うのは新型肺炎問題で試合は全部中止になりました。2週間の休止と言われますが、国内リーグ戦はいつ再開するかまだ分かりません。もしかすると何か月もかな?国際試合は全部中止・延期です。


以上