チリの風  その894  2020年6月29日ー7月5日

水曜日の朝、サンティアゴは雨になりましたが、昼から晴れて太陽が出ました。
寒い冬でも太陽が出るとベランダは暖かくなり、そこの椅子に座って本を読みながらコーヒーを飲むのは最高の幸せです。
そして週末も同じで土曜日はほとんど一日中雨になり、首都圏東部の地区は雪が降りました。西部の低地は道路が川のようになってかなり被害が出たようです。いつもと同じです。 日曜日は逆に太陽が出て気持ちの良い冬の日になりました。もっとも外を見ると車も歩行者もほとんどいません。

(政治)

1)ピニェラ動向
  南米同盟国メルコスールのトップとオンライン面談をしました。

  そして日曜日、多くの閣僚をバックにモネダ宮殿で全テレビ局の放映で演説。中間層援助として4つの案を発表しました。金利無しの貸付金、ローンの支払い延期援助などですが、いつものようにちゃんと機能するかどうかわからないのが問題です。

  ところで新聞の社説にアルゼンチン問題がでました。アルゼンチン政府の怪しい動きと言うタイトルで、アルゼンチンとチリは一触即発の国境問題を1984ローマ法王の仲介で合意に達しましたが、2009年に再度、彼らは国連に同問題を提出しています。そして今また怪しい動きがあると言うわけです。同国は経済的に破綻しており、国民の内政を見る目を外に向けさせる意味があるのかもしれませんが、隣国との問題は世界中どこでも上手く行きませんね。
  今週、クリスチーナKの元秘書の死体が見つかりましたが、彼を使ってクリスチーナKは汚職をしていたと裁判になっています。彼女は元大統領、現副大統領です。

  さて公約の250万個の食料品援助の箱はすべて配達されたと政府は発表しました。
  土曜日に雨で川の氾濫騒ぎがあったマイプ区に様子を見に行った都知事に、同区の区長が政府約束の食料品の箱がまだ全部来ていませんとクレームするともう250万個全部配送済みですと相手にせず???。
  先日、その区長(女性)がコロナウィールスの同区の死亡者数が厚生大臣の発表と違うとクレームするとマニャリッチ大臣は彼女を嘘つきと言いましたが、彼は罷免されました。嘘をつくのはまずいですね。

  例の一人10万ペソ援助の件も野党側からクレームが出ているのにピニェラは知らん顔です。
  いったい何家族に渡ったのか詳細は分かりません。
  これもいつもと同じことですね。
2)議員歳費の削減
  国会議員の給料が25%下がることになりました。これでOECD国の中の議員の給料として上から2番目だったのが7番目に下がります。今までチリの議員は世界のトップクラスの仕事をしていたのでしょうか。まさか。
  最右翼UDIの女性党首は議員の給料を下げても国民に喜ばれることは何もないと言っています。そして彼女は市長・区長の再選問題で、何か新手はないか仲間と考えているとコメント。自軍の中の古手の区長・市長を助けるためにピニェラに圧力をかけるつもりですね。
  大統領特例を出せというのでしょうね。これに関しピニェラは決められたことを覆すつもりは無いとし、同党と距離を取っています。与党連合の中で歩調が合わず、ぎくしゃくしていると良く報道されますが、この状態が続くと次の選挙は厳しいでしょうね。
3)葬式
  もしかすると今週の一番の話題は93歳の老女の死去かもしれません。アンヘラ・ヘリアは前大統領バチェレットの母親です。自分の娘が一国の大統領になるというのは誰にでもあることではないですが、彼女の人生は波乱万丈でした。夫アルベルト・バチェレットはチリの空軍の長官。しかし軍事革命が起きたときピノチェットと同調できず、拷問されて殺されます。アンヘラも逮捕され拷問されましたが、その時、「お前のおかげで大将(アルベルト)は狂ったのだ」と責められました。彼女はアジェンデが大統領になるとき援護をしていました。拷問の後、国外追放処分になり、家族は東独に亡命。その中に大統領になったミッチェル・バチェレットも入っています。そして時間がたって落ち着いてからチリに帰国しました。どうやって東独で生き抜いたのでしょう。同国政府の特別援護があったのでしょうね
  スイスの国連事務所で働いているバチェレットは母親の死去を聞いて即時、空港に向かい、翌日チリに到着。ラ・レイナの自宅に戻りました。14日間の謹慎措置になるのかな?
4)年金積立金
  将来の年金のため、チリでは各自が毎月給料から積み立てをしていますが、今回の緊急事態に対応するため、過去に積み立てられた金額の10%まで、払い戻しを要求することを認めるのはどうかと議論されています。
  多くの機関は、将来の年金受給額が下がるわけで、勧められるわけがないとしていますが、もしかすると承認されるかもしれないとか。そうなれば年金問題が一層複雑になりますね

(経済)

1)産業生産指数
  5月の数字はマイナス15.3%と過去最悪の数字でした。鉱業が1.2%上昇しましたが、それ以外の工業はマイナス17%。
  6月の数字はもっと悪くなるのは明白です。頼みの鉱業も落ち込んでいますから。今年は厳しいですね。
  コデルコはエル・テニエンテ鉱山の一部操業停止を発表。コロナウィールス問題関連で操業はこれからますます難しくなりますね。
2)銅価格と為替
  ポンド当たり2.72ドル、1ドルは803ペソ。今のところ落ち着いています。
3)失業率も近年にない悪い数字が出ています。
  それから年初と比べて収入が減ったとする家族が全体の3分の2とか。
  大半の家が、収入減の詳細はわかりませんが、家計に苦しんでいるわけですね。
  幼稚園が9月に倒産するところが出始めると言われますが、零細企業の幼稚園経営者はこの状況に耐えられないわけですね。
  新車の販売は4-6月で前年対比71%の減少。年末にかけてもっと下がりそうです。

(一般)

1)コロナウィルス
  感染者数はイギリスを抜いて世界7位まで上がっていますが、それはチリの場合PCRテストの数が多いからで、チリのテスト数は120万人です。
  死亡者数はイギリスは44131人、チリは6308人です。
  昨日の新規患者は3685人、合計で295532人、死亡者数は昨日は116人、合計は6308人
  です。もっとも死亡者数は10159人と言うコメントもあり。それはPCR未確認者を含む数字です。
  7月2日までだった8週間続いたサンティアゴの自宅待機令はさらに1週間継続で、いつまで続くか分かりませんね。
  
2)雨量
  6月の首都圏の雨量は106ミリと15年ぶりの雨でした。でも今までの雨量は過去20年で下から2番目の少ない量です。
  何だか矛盾しているようですが、今年の1-5月は何とたったの7ミリで、6月までほとんど雨は降っていません。
  年間平均雨量は350ミリですから、下半期に240ミリ降らなければ平均まで行きません。
  さぁ7月も雨は降るかな?昨日は40ミリで、最初の週で70ミリほど降っています。
3)そのほか、反政府運動の再発、マプチェの暴動。移民難民
  近郊のメリピジャでデモ隊と警察が衝突、死亡者1名が出ました。マプチェの暴動は今週も放火などの事件が記録されました。移民難民のニュースは消えていますから、収容所内で帰国の機会を待っているのでしょう。
4)旅行
  コロナウィールス問題が出る前はチリから43路線の海外便が飛んでいました。今は2だけ。最近の3か月では前年対比、乗客数は97%減少とか。旅に出たい人の数は同じでしょうが、今は旅行に出る時期ではないですね。


以上