チリの風  その839  2019年6月10―16日

今週はマラソン、登山とたっぷりスポーツを楽しみました。ただサンティアゴは木曜日に雨になり、24ミリでしたが、各地区で停電、街路樹の倒木、立体交差の地下通路に水がたまり通行不能など、何時ものように問題が多発しました。金曜日も夜になって雨でした。                                 
土曜日の登山教室はこのため中止でがっかり。一人で登るのも楽しいけど、子供と歩くのもうれしいですからね。そこでその日の午前中、太陽が出たのを利用して近くの丘に登りました。アンデス山脈はもちろん、向こう側の海岸山脈も雪で真っ白でした。雨でスモッグが消えたのでサンティアゴの街が遠くまでくっきり見えました。                         
日曜日のマラソン練習は最低気温がマイナスになった寒い日でしたが、仲間と練習。10キロを60分は切れなかったけど完走してニッコリ。

(政治)

1) ピニェラ動向
第2次内閣改造を実施。6名の大臣が交替しました。その理由として国民からの支持を失っているのでそれを回復するためイメージの変化が必要だったらしい。経済成長率が期待したほど伸びないことからピニェラ政権に対し国民の間に不信感、疑惑が膨らんだのが原因と言われます。
ただ大臣の交替だけで、大統領府の内務大臣、内閣府長官など3名は動かず現状通りでした。多分、この1週間、この改造をどこまで動かすか彼の頭はいっぱいだったのでしょうが、中改造の規模にしました。  
大臣の中では大蔵大臣は不動でも経済大臣は交換でした。財界と何か裏工作をしたのでしょうね。外務大臣が変わったのは意外でした。厚生大臣はインフルエンザの問題が大きく大統領は首にしました。彼は日曜日の新聞特集で、計画はしっかり実行してきており、突然の交替に納得がいかないと悔しさを見せました。教育大臣は役に立っていないと思いましたが、ピニェラは交替させず据え置き。    
国民が政府に期待するのは上位から犯罪の防止、年金改革、国民の健康問題となっています。
世論調査で彼を支持するは25%、不支持は50%、残りの25%はどっちでもないとなりました。人気の下り勾配はバチェレットの時よりひどいですね。                            
同じ世論調査で、国民が期待する政治家のランクでUDIのラビンが圧倒的な首位を占め、期待するがなんと56%、次いでバチェレットが38%、そしてオサンドンが37%で続きます。伝統左翼の社会党やPPDからの上位はなく、野党側では新左翼だけ。旧政権の崩壊が明白です。
何や、それなら次の大統領選挙はラビン対バチェレットに決まりか。そして与党側の2連勝か。  
ところで隣国のアルゼンチン、ブラジルで元大統領が汚職で裁判になっていますね。ペルーは元大統領、ほとんど全員が裁判沙汰。バチェレットもどこかから怪しい金を受け取っていたということはないのかな?息子夫婦が裁判になっていますが、彼女にまだ黒い疑惑は出ていません。  
ところで、彼女は来週、国連代表でべネスエラ入りし、実態調査をします。どんなレポートを書くのかな?
この内閣改造で新大臣になったメンバーに最右翼UDI党から一人も入っていません。怒り狂っているでしょうね。ピニェラ1次政権の時、彼は中道右翼RN党メンバーだったので、UDIから脅されるような事態もありましたが、今回はUDIは表立ってピニェラを批判することはありません。力関係の変化ですね。                       
ところで野党のDCと与党のRNが国会議員数の削減に関し党首を含む会議を開きました。これが進むと次の選挙で共通候補を立てようということになりますね。

(経済)

1)銅価格と為替
今週は1ポンド2.63ドルと低値安定、為替は1ドル698ペソとペソ安継続です。チリの最大手鉱山の一つになるコデルコ銅公社のチュキカマタ鉱山がこの金曜日からストに突入。会社としては非組合員を使って少なくとも50%の生産を続けたいとしています。生産が減少することで銅価格の上昇が見られれば、少しは喜びかな?
チリの経済状態に関し上記の市民調査で、現状を質問すると、チリの経済は悪い(落ち込んでいる)と考える層は高所得層では10%、中間層では28%、貧困層では40%になっています。自分の懐に影響しているのでしょうね。
2)新車の販売
今年1―5月のチリの新車販売が発表されました。売上の上位はシボレー、スズキそしてキアでした。しかし上位10ブランドに日本から5社。総売り上げの3分の1は日本車です。立派なものですね。ただ売り上げ数は対前年で6%の減少。厳しいです。
3)天然ガス
チリの天然ガスの使用の原料は39%が隣国アルゼンチンから来ています。この調子では40%、50%に到達するのは短期間とみられています。チリは毎日2200万M3の天然ガスを使用しています。昔、両国の間で調印された条約を一方的にアルゼンチンが破り、チリは大慌てで遠い国からの輸入に変更した事実がありますから、近いからと言ってあまり信用はできないですが。

(一般)

1)インフルエンザ
現在まで20名が死亡。今週がそのピークと言われています。厚生省は病気に対抗するため予防注射を打つよう呼び掛けました。でも病院に行くとその予防注射のワクチンが足りず、あちこちでもめました。政府のおすすめで病院に行ったらワクチンがないなんてどういうことだと怒る患者の姿がニュースになりました。緊急手配をして10万人分のワクチンが用意されたとか。もしかするとこの失敗が原因で、厚生大臣が更迭されたのかな。
2)殺人犯の強制送還
もう30年も前のことになりますが、UDI党の創設者ハイメ・グスマンが暗殺されました。その犯人の一人、極左組織のマヌエル・ロドリゲス戦線のラウル・エスコバルはチリから亡命し、偽の証明書でメキシコに住み着きました。そこで誘拐事件を起こし逮捕されました。今週、60年の刑が確定し刑務所に入りますが、チリの要請で、チリに強制送還しチリでの犯罪の責任をチリの裁判所で調べることになりそうです。右翼・左翼と言っても犯罪組織は同じですね。
3)自然災害
チリでは地震津波だけでなく自然災害は頻繁に起こります。水害、火事、突風など多くあります。ところでそれに対し、準備態勢ができているかどうかの調査が行われ、全国に346ある市・区・町・村などでわずか69だけが国家緊急安全局が要請する体制が存在することが認められました。わずか20%ですね。大雨で水害になった時は、どの地区が危ないのでどこに避難させるとか明確にする必要があるわけです。ピニェラも今までの政権もその管理があやふやだったことが確認されました。
 先日のビオビオ州の竜巻で屋根が吹き飛ばされ、その後の雨で室内が水浸しになった例など、政府が復旧に後押しをすると言っても現実に被害にあった人が苦しんでいる事態が継続です。
4)未成年の妊娠
妊娠の数が大きく減少しています。約20年前、2000年に20歳未満で妊娠したのは40312人、それが2017年に17299人に減少。2000年に妊娠した女性の合計は248893人ですから、未成年者は16%。それが2017年には総合で219186人ですから8%。確かに妊娠する女性の数が減少していますが、それ以上に未成年の妊娠が減っています。
 

(スポーツ)

1)サッカー
アメリカ・カップ戦が始まりました。チリは初戦を日本と明日の月曜日に。日本は若手を優先して東京オリンピックに備えるようですが、その目標ならこの大会で勝っても負けても意味があります。まぁ、そう言わないで3試合のうち一つは勝ってほしいけど。チリはチーム内での仲たがいに加齢も進みこの大会2連勝の実績は発揮できそうにありません。少なくとも1回戦は勝ちぬくでしょうが。そううまくは行かないかな?
    女子のワールドカップは日本が順調なのにチリは最悪です。


以上