チリの風  その842  2019年6月30日―7月7日

日食ツァーから戻ってきました。ラ・セレナから約100キロ奥に入った丘の上の観測地ラ・イゲラは最高の環境で、グループは持参したカメラを設置し、天気に恵まれ、皆既日食を堪能しました。その時、地上波が私の立っていた地区の周辺で揺らいだのは驚きました。全く知識がなかったからですが、自然現象と言うのは人間が想像するより奔放ですね??
しかし重いカメラ・部品を持って丘に登り、そのセッティングをし、撮影をするメンバーの情熱は素晴らしいです。地球の反対側にそれを見るために来るのですから。気力・体力そして経済力もあるわけですね。ほとんどの人が、5回10回と日食を追って世界中を回っているとか。
仕事が終わって家に戻ってきたら、嫁さんが作った肉入りカスエラ・スープが用意されていてレストランで食べる料理よりおいしかったです。
もちろん、5日間の仕事の後、週末はいつものようにトレッキング、日曜日は仲間とマラソン練習をしました。

(政治)

1)ピニェラ動向
ペルーに飛んで太平洋同盟国の大統領と面談。チリ・メキシコ、コロンビアそしてペルーの4か国。しばらくするとエクアドルがこの組織に入るとか。自由貿易協定の維持・発展を確認しました。
その外遊の前に彼はラ・イゲラで日食を楽しんでいます。同行したのは教育大臣で、野党から教員ストが終わってないのに遊びに行く暇があるのかと批判が出ました。ピニェラは私たちのいた場所の近くで日食を観察したのですね。
明日の月曜日、再度教員組合と教育大臣の面談が予定されています。ピニェラは自分が先頭に立ってこの問題解決にあたるつもりはないとしています。そんな態度だから彼の人気はいつまでたっても低いです。
新しく厚生大臣になったマニャリッチは国営健康保険の契約者で病気になって働けなくなった人の給料保障が上手く機能せず何か月も未払いが続くと患者が涙を流して訴えている件で、短い期間に未払金を支払うとし、希望を与えました。ピニェラもこの件では大臣を支持しています。
新聞の風刺漫画にピニェラがでました。彼は悩んでいます。「もう日食は終わったのにどうしてチリは暗い日が続くのだろう」笑ってしまいました。
先日G20で訪日した時、チリは日本と条約を交わしたそうですが、それは日本の中高年層を扱う知識をチリに教えるということでした。年末にチリから関係者が訪日し勉強するとか。現在のチリの人口で60歳以上が19%、2050年にはそれが31%まで上がりますが、ラテンアメリカで最も老人層が多い国になっています。日本はさらにその先を歩いていますね。先生の日本に何を教えてもらうのかな?
2)野党会議
各党の代表が集まり面談。多くの自己批判が出ました。自分たちは野党としてピニェラ政権に何をしなければいけないのかよくわかっていない、一般市民が野党に何を期待しているのか理解していない、野党として与党に立ち向かうのではなく各党が独自に動いているのはおかしいなどです。
3)ベネスエラ状況
先日、同国を訪問した国連高官のバチェレットの報告書が発表されました。現行のマドゥロ政権は数年人の反政府メンバーを殺したとなっています。彼らは報告書には多くの過ちが見られ、一方的な見方しか書かれていないと反発しました。一部にエラーがあるのは当然でしょうが基本的に反政府運動を認めないやり方は民主主義とは言えないでしょう。いつものようにチリ共産党はバチェレットの報告書を批判しました。少し前は彼女の後ろに従っていたのですが。
この先もこれが続くならますます同国から他国に逃げ出す人が増えるのは自明。チリは、その中でチャベス・グループの入国は認められないとして、約100名の名簿を発表。チャベスの仲間・その後任のマドゥロとの仲間がチリに移民するのは拒否するわけです。
この先1,2年でまた30万人が同国からチリに押し寄せると政府は想定し、それを全部受け入れる余地はないとしました。つまり正規のビザを取ってきた人以外は観光でも入国できないわけです。
4)裁判官の自殺
検察・裁判所と司法機関で混乱が起きているのはかなり前から報道されていますが、今週はランカグア地方裁判所の裁判官が自殺しました。彼は地位を利用して情報収集、使用を行っていたとして取り調べを受けていました。つまり不法行為ですね。自殺したのは、自分の銀行口座、電話の記録などを調べられると犯罪行為が明白になるとして、有罪になる前にこの世から消えていったのでしょう。彼以外に同じような罪状で調べられている裁判官は落ち着いて眠れませんね。

(経済)

1)経済成長
5月の成長率は2.3%と発表され、予定の3%からは大きくかけ離れています。チリの命綱の鉱業が伸び悩み全体を下げています。大蔵大臣の予想と違い今年はかなり厳しいですね。ピニェラの不人気はますます増加します。
2)銅価格と為替
今週は1ポンド2.66ドルと下がり、1ドル683ペソとペソが弱くなりました。
3)物価上昇率IPC
IPCの数字にエラーがあると発表されましたが、それが計算エラーだったのか、人為的に数字を変えたのか明らかになりません。
もちろん誰かが抑えているのでしょうね。

(一般)

1)貸自転車
サンティアゴでは貸自転車に人気があります。ラス・コンデスやビタクラの東部の区が中心ですが、少しずつ広がっています。自転車だけでなく電気スクーターも人気があり、合計で12500台ほどが置かれています。会員になって、自転車を使うわけですが、道にあるそれを使いどこにおいてもかまわないという仕組みです。

(スポーツ)

1)サッカー
私は、見る目がないですね。アメリカップでベスト4に残ったチームの中でペルーのレベルが一番低いと思ったのでチリの決勝進出は間違いないと思いましたが、なんと0対3の惨敗。主力メンバーのビダルは「彼らの実力が上ということはない、ただ彼らはチャンスを上手くいかしただけ。」それが1点なら、そういう見方もあるけど3点も入れられれば実力の差は明白。おまけに3位決定戦でアルゼンチンに負け4位沈没。
つまりアメリカップ2連勝が記憶に残り、今回も活躍できると想像したのですが、それより新しい先年のワールドカップで南米代表になれなかったわけで、それが現行チームの実力です。つまり今回の敗戦は不思議でなく当然でメンバーを入れ替えなければ、次の世界大会も落選ですね。

今月末から国内リーグ戦が始まります。国際試合ではチリ人が全部落ち込みましたが、国内リーグ戦ならだれかが喜べますね??

以上