チリの風 その841  2019年6月24日―29日

いつも月曜日から日曜日までの出来事をまとめていますが、今週は土曜日まで。と言うのは明日の日曜日、日本からの日食観察グループの仕事でラ・セレナの方に旅をするからです。悪しからず。
今週のトレッキングは久しぶりにチリに戻ってきた瀬戸さんを加えて仲間と歩きました。一人で行くのとは違った楽しさです。
もちろんマラソン練習もばっちり実施しました。
最低気温がマイナスになり最高が10度ほどの寒い日がありました。その日、風も吹いたので震えましたが、昔、住んだ札幌ではマイナス10度、20度にもなりましたから、零度くらいで寒いとは言えませんね。年から来る衰えが隠せないかな?           
月曜日と土曜日、雨が降りました。首都圏はそれほどでもありませんでしたが、南のビオビオ州では川が氾濫し、死者が出ています。

(政治)

1) ピニェラ動向
今回の外遊は先ず中東。エルサレムイスラエルパレスチナの両国を訪問しました。イスラエル外務省がピニェラの態度を批判しています。まず、イスラエルと提携し、新分野の連携を深めようと言った後、翌日、パレスティナと深い信頼感を共有すると発表したからかな。
普通、アメリカのようにイスラエルひいきとかロシアのパレスティナひいきに分かれますが、ピニェラは自国の大使館をエルサレムに移転させるつもりはないし、両国の対話を願い、チリは中立を保つとしました。それが両国に気に入られなかったようです。
その後、大阪に飛びG20会議に参加しました。会議で彼は自由貿易の振興、環境保全の取り組みについてチリの考えを説明し、今年後半チリで開催されるAPECとCOP25について説明しました。
ピニェラの人気が日に日に落ちているというのはチリの風によく出てきますが、今週の世論調査の結果で、面白いのは前の選挙でピニェラに投票した人が昨年10月には彼を信頼するとしたのが78%、それが今年の5月は61%にダウン。逆に信用しないとしたのは20%だったのが38%に上昇。もちろん彼に入れなかったという人はもっと厳しい見方をしています。
2) 前陸軍長官逮捕
2014年から2018年まで陸軍長官をしていたオビエドが逮捕されました。軍の資金を25億ペソ以上を不正に使用したという疑いです。その前の2010年から2014年まで長官をしていたフエンテ・アルバも同様の罪で逮捕されています。彼は35億ペソ以上の不正使用がある様子。もちろんその二人とも前任者からそれを引き継いたのでしょうね。
内務大臣は司法機関が独自に動き、疑いをはっきりさせることを政府として援護・確認するのは当然だとしています。        
コデルコ銅公社の利益の一部が保留法として、軍隊に渡されることになっています。2014年から2018年までの合計で約50億ドルが、軍隊に渡されました。その一部が長官の懐に入ったのでしょうね。
そうした不可解な事態が起こる事態を改正する必要があるのに、民政化してから右翼も左翼も大きな問題として取り上げていません。
3) 文部大臣と教職員組合の面談
22日間のストの後、初めて教育大臣クビヨスは組合トップを招き面談を始めました。もちろん一度の面談で問題解決になるわけはありませんが、少なくともコンタクトが始まったわけです。
4) 税法改正
キリスト教民主DCと政府の間で同意が成立したようで新法案の作成が進んでいます。前バチェレットの時代まで中道左派政権の中心メンバーだったDC党はここに来て中道右派の現政権と波長を合わせ始めました。もちろん野党内でDCを批判する動きが大きくなり、DC党内でもその右傾化をよく思わないグループが批判の声を出しています。 似たようなことですが、社会党が危機を迎えています。新左翼連合が、今週の社会党党首のエリサルデとの面談を拒否、その理由は彼がやっていることを支持すると市民に思われるのは同グループにとって不都合と言うわけです。   社会党内でもサン・ラモン区以外にそういった怪しい地区はどれだけあるのかはっきりさせてほしいという声が出ています。身内からも怪しまれているわけです。もちろん脱党する党員が増えているのは新聞で報道されています。 現党首を外し、アジェンデ大統領の娘イサベル・アジェンデを党首にすればどうかとの意見が出ています。仲間喧嘩が続けば党の分裂は避けられないですから。
5) べネスエラ問題
大統領殺害未遂事件が起き、マヅゥロはその容疑者を逮捕したと発表。そのグループの後ろに米国、コロンビア、チリの存在を示唆しました。そんなところにどうしてチリが入っているのかな?
チリとペルーの国境に多くのべネスエラ人が入国を申請するため並んでいますが、ビザを持っていないので入国できません。今週はボリビアとの国境でも列が出始めたとか。どこか潜り込めるところはないか探しているのです。でも将来のない母国を捨てて子供を連れて外国に出るのは簡単なことではないですね。

(経済)

1) 銅価格と為替
今週は1ポンド2.71ドル、1ドル679ペソとほとんど動きはありません。
2) チュキカマタのスト
年間30億ペソをチュキカマタの3つの労組に支援金として渡すことを認証しストは終結しました。一人当たりでも1400万ペソのボーナスを提供です。この交渉でだれが勝ったのか負けたのかと言う記事が出ました。コデルコは労働コストを下げたと言われますが、もちろん表向きと裏の取引があるわけですね。
失業率が最近、若干上がっています。経済成長率の話題はいつも出ますが、失業率が上向くのは経済がうまく進んでいない証拠ですね。
5月の工業生産は前年対比0.2%のマイナスですから、確かに停滞は確認されます。

(一般)

1) 皆既日食
何だか最近チリ中がこのニュースでいっぱいのようです。専門家を招いた特別番組もあります。
ラ・セレナ近郊でテントを張って野宿していた人が退去命令を受けました。前の海に船が浮かび、海から日食を見ようとする観光客が大勢いるとか。食事・アルコールを入れて一人8万ペソ(1万円以上)のツァーもあるらしい。漁船も一日でしっかり儲けようというわけですね。
2) 人口の動き
日本では人口減少が言われますが、チリではまだ増加の動きです。2002年に1570万人だったのが、今年は1910万人、2035年には2114万人が予想されています。もっともその増加分の大半は移民でしょうね。首都圏の人口も現在の630万人が880万人になりそうとか。
3) バルパライソの犯罪
新聞の論調に先日のカナダ人殺人事件を「悪いというより最悪のケース」とする論文が掲載されました。世界文化遺産として外人観光客が多く訪れていますが、安全がなければ、その観光客は消えていきます。当然ですが。それくらいわからないのかな?容疑者が二人逮捕されました。

(スポーツ)

1) サッカー
コパ・アメリカは1次リーグ戦の最終戦でチリはウルグアイに勝てず2位で決勝トーナメントに進出。そのベスト8の争いで、チリはコロンビアと対戦。0対0で試合は終わり、その後のPK戦でチリは勝ちベスト4に進みました。全部見ましたが、今回のチリは素晴らしいと思えるレベルではないです。それでも試合に勝ったら、道路を車がクラクションを鳴らして走っていました。
ベスト4に残ったチームの対戦はアルゼンチン対ブラジル、チリ対ペルーです。さぁ決勝に行くのはどこかな?
今までの試合で、私には日本対ウルグアイ戦が一番スリルがあったと思いますが、身びいきかな?

以上