(政治)

1) 世論調査
今月の世論調査でバチェレットを支持するは26%、反対は63%、一方政府を支持するは19%、反対は71%でした。まだ政府には反対だが、おばちゃんは好きと言う人が7%もいるわけですね。私は逆に政府は嫌いではないけど、バチェレットは嫌いです。アルゼンチンやブラジルの大統領よりましだと思いますが、彼女がテレビに出ると気持ちが悪くなります。愛想笑いが目について。
先週、与党のグループPPD党を辞任したぺぺ・アウスはテレビの番組でバチェレットの人気が急激に落ちたのは息子夫婦の不正問題に対応する姿勢が拙かったから、もし来週、大統領選挙があれば野党側から出るピニェラ前大統領に与党側代表は誰も勝てないだろうと厳しい批判をしました。
今週、彼女はプンタ・アレナスを訪問しました。先週はイースター島ですから、チリの辺地を飛び回っていますね。サンティアゴにいるより落ち着くのでしょう。
さてそのプンタ・アレナスですが、チリで住みやすい地区のランキングで上位に入賞しました。いつものように首都圏のラス・コンデス区やビタクラ区がトップですが、チリ最南端の街が上位ランクに入るのは素晴らしい。この1月に1週間ほど私も滞在しましたが、あちこち歩き回っても貧民街が見当たりませんでした。冬なんか日照時間がほんの数時間と言う厳しい環境ですが、住民はしっかり生きているわけです。
2) 今週の話題は三つあります。
先ずはチリ南部、特にチロエ島の住民デモでした。例の赤潮で貝類が全滅となり、食べると食中毒になるとか。それを職業にしていた小規模漁業者とその家族などが道路を封鎖し車が動けません。島の入り口の突堤を封鎖しているので本土からガソリン、食料が入らず、島のストックは日に日に減少。島民全員の問題になっています。
政府は関係家族に当初月10万ペソ、赤潮が終わり、就業できるようになるまで援助金を渡すと経済大臣が確認しましたが、彼らは40万ペソ出せと喚いています。
この問題は自然が原因です。赤潮がいつ起きるか終わるか誰にもわかりません。どこかで聞きましたが、それなら保険として政府・漁業組合などが組合員の収入の一部を積み立てる方式を取れば、今回のような大規模な赤潮にも対応できるのではないでしょうか。
問題が解決しない理由の一つに政府の援助が誰にわたるかはっきりしません。漁業組合のメンバーならすぐにその数が確定されますが、自分も貝を集めて生活していたと地区住民が全部申請しているとか???市場で貝類を販売していた人もそうですね。貰えるものはもらわなくてはと言うわけですね。それはチリらしい。
チロエの応援でサンティアゴでデモ。かなりの人がアラメダ通りを埋めました。この連帯感もチリらしい。      
道路封鎖デモが1週間も続いて観光で島に来ていた人は家に戻れません。トラックの運転手も毎晩このトラックで寝るのは厳しいと悲鳴。まだ警察隊の介入はありません。
しかしたんに赤潮の問題だったのが、先年の第11州のアイセン問題のような社会問題になり、島の発展のための政府の基本方針が聞きたいなどコメントが出ています。
赤潮の原因になったと考えられる死んだサーモンの海への投げ捨てを調べ、サーモン業界に責任を取らせるべしとか、先日来問題になっている賄賂の絡まった漁業法案の見直しを要求する声も出ています。こうした島民の援助を他の地区の住民が要求すればチリ政府はどう対応するのでしょうね。

それから退役軍人(元陸軍長官)のフエンテ・アルバが高級マンションなどを幾つも持ち、さらに高級車を何台も所有していることが分かり、どこからその資金が出たのか調査が始まりました。彼は40年もまじめに陸軍で働いたのだから幾つかの家屋の所有があってもおかしくないと平然。裁判でも落ち着いていれるかな?
30億ペソ(5億円)の資産と言われています。長官をしていた時期の年収は1千万円ほどです。
さらに問題が膨れ上がりました。チリの軍隊は政府の国家予算ではなく、特別銅法案としてコデルコ銅公社の利益の一部を自分たちの懐に入れる仕組みになっていますが、現在まで秘密が守られ、一体いくら軍隊に金が流れ込み、それをどう使用されたかえ明確ではありません。そこで上記のような疑惑がでてくるわけです。1975年からこのシステムが使われていますが、軍事政権はとっくに終わっているのに、まだ民政化が終わっていないわけですね。           
最後に囚人の釈放問題。毎年、囚人の中から一定の条件を満たした人間を釈放しています。条件付き釈放ですね。
今まで、申請者の数%とほんの一部だったのですが、今年は大半が刑務所から喜びの声を上げて出て行きました。全国で2250名とか。そしてそのうちの何名かは、すぐに犯罪に走り、再逮捕されました。一般市民から、どういう理由で大量釈放されたのか、市民の安全が脅かされているとクレームが上がり、刑務所の方からは、全く反省の見られない囚人を、刑期が半分を過ぎたとかの理由で釈放することに反対するとしています。法務大臣も自分も誰がどの理由で釈放になったのか、よく知らされていないとコメント。
結局、裁判所の人間が、最終決断しているのですが、政府・刑務所・裁判所の間の連携がないわけですね。情けない話。しかし刑務所が小さすぎて囚人が入り切れず、仕方がないから釈放したという声もあります。いやはや。