(政治)

1) 新税法
これが現在のチリの最重要課題ですが、野党に攻撃されるばかりではいけないと政府はビデオを作成し、「税金が増えるのは大企業だけで中小企業には影響しない、そして高額所得層には影響しても中間層には影響しない」と発表しました。
金持ちから税金を取って格差の少ない社会を作ろうとする私たちの方針を攻撃してくる野党の話には耳を傾けないようにとコメントしています。野党はすぐに同じようなビデオを作り、政府の掲げる数字はすべて誤りで、この税法では中小企業にも多大の税金が覆いかぶさってくるとしています。  前バチェレット政権時の大蔵大臣で、今回の大統領選挙に出馬したべラスコは、公の場でこの新法案では中小企業にも増税は影響するとしています。バチェレットとすれば、「社会の不公平を是正する」と叫び続けるしかないでしょうね。
2) 刑務所の火事
2010年の12月にサン・ミゲル刑務所が火事になり81名の囚人が焼死した事件がありましたが、その時の刑務官などに多数の死亡者を出した責任を問う裁判が結審しました。
結果ですが、刑務官など訴えられていた全員が無罪になりました。これに怒った家族などが警官、裁判所の護衛などと衝突、多数の逮捕者を出しました。消火施設が十分でなかったのは政府の責任で刑務官に直接の責任はないと言うわけです。火事が出ているのにカギをかけたままにして囚人が部屋から外に出ることを不可能にしたなど、その晩の当直の刑務官にも責任はあったと私は思いますが、裁判所の判決は別でした。その大火災の後、他の刑務所も調べたらチリの既存の刑務所の大半は決められた消火設備を保持していないことが分かりました。じゃ、次の火事が起こり、法務大臣などが逮捕されれば政府も重い腰を上げるのですかね。
ところで南部のアンゴル刑務所に収容されているマプチェの人間がハンストを実施していますが、彼らの応援でマプチェが刑務所事務所に乱入し占拠しました。その中に前大統領選挙に出た人も加わって。政府はその勢いに呑まれたのか、大統領恩赦まで考えているらしい。しかしその犯人は強盗殺人で刑務所に入っているのですから、マプチェなら何でもできると言うのはやめてほしいです。