(政治)

1) 911
チリの場合9月11日は今から41年前の1973年の軍事革命日のことです。その晩、バチェレットはテレビの特別番組で(全放送局に5分間ほどのメッセージを報道させる)「自分の公約の一つ、税法改正が国会で承認された。新税法による増収目標は83億ドルだが、増税される金額の半数以上は教育関係に回し、その他は国民の生活向上に使用される」と喜びあふれる演説でした。しかしその演説の最初は「41年前の軍事革命によって人権を侵害された人のことを忘れず、2度とそんなことが無いようにしたい」と軍事政権側の責任を追及すること、被害者の援助を継続することを明白にしました。二極化の拡大でしょうか。
もっとも世界的に見れば911アメリカの事件ですね。ビルに飛行機が突入する場面を見て興奮したのを思い出します。建築家が「飛行機がぶつかってもビルは崩壊しない。あの崩壊事故は爆薬によるものだ」と発言してもマスコミは無視しますね。日本の朝日新聞の態度は悲しいがアメリカのマスコミも完全に政府の発表をフォローするだけ。昔はアメリカ政府の不正を追及する勇気のある記者(新聞社)がいたのに。
先日からイラク空爆を続けているアメリカがイスラム国との戦争を発表しましたが、それなら逆にゲリラがアメリカに爆弾攻撃をしたときに、驚いたり憤ったりしないようにしてほしい。自分から仕掛けているのだから。もっとも個人的にはイスラム国は拒否したいですが。
バチェレットは今週ウルグアイに外遊。同国はアメリカの要請を受け入れグアンタナモ刑務所に収容されている囚人の受け入れを決定しています。チリにもその要請は来ていますが、まだ未決定。アメリカが敵国キューバの領土を自分の刑務所に使うなんて理解できませんが、その囚人を減らすため他国に送るというのもさらに理解不能アメリカ国内に空いた場所はいくらもあるのに。
ロシアと欧米の争いが一段と過激になってきたので、チリからの同国向けの輸出が大幅増です。農産物が中心ですが、サーモンも再度、大幅輸出に向かい、今年度は昨年より70%アップになるとか。ペソが弱いからチリのサーモン業界にとっては神風ですね。
2) 対軍事政権
軍事政権時の犯罪を徳政令で許す法律があります。1973年から79年までに起こされた人権問題を起訴しないと言うものです。それを今回廃止にする意見が出てきました。左右の対立を深める政府の作戦でしょうね。最近までこれが出なかったことは、現在のバチェレット政権にかなり重大な懸案事項があり、それを論点にさせないため、あえてこの古い問題を出してきて国会、国民の目をそらせようとする作戦でしょうね。何が問題点なのか私は知りませんが。
野党RN党の国会議員が逮捕されました。彼は以前、軍で高い地位を占めており、そのころ左翼狩りをして死者を出しているのが問題になったわけです。裁判所の判決が出るまで議員手当は凍結になるらしい。しかし関係者は落ち着いて眠られませんね。急に風が変わってきましたから。
3) キリスト教
チリの宗教はキリスト教がほとんど押さえています。その中でカトリックプロテスタントがあるわけですが、今週そのプロテスタントの総会があり、バチェレットをはじめ政財界のトップが招待されました。なんでもプロテスタントはバチェレット政権を支持し、彼女はプロテスタント信仰を擁護してくれると大層な感謝の言葉。来週のカトリックの総会では大司教が逆にバチェレット政府は妊娠中絶、同性間の結婚とかカトリックの定義と異なったことを広げようとしていると批判するのかな。